先日大学生協で標記の本を入手して、ざっと読んだ。木村悠先生には直接に学校で教わったことはないのだが、私の卒業した高校の物理の先生や数学の先生として居られた50年以上前から存じ上げている。
以前に年賀状を頂いていたときには学習法の一言メモのようなものをいつも拝見していた。それがまとまって一冊の本になって出版されていたらしい。2002年の発行なのでもう5年も前のことになるのだが、最近まで知らなかった。
なかなか実践的な本であるが,このように本としてまとまったとき何かまだ物足らないような気がするのだ。これは木村先生の本がいけないのではなく、そういうところが必然的にあるという気がするのだ。この本が実践に基づいたものであり、この種の本はあまりないので貴重な本だと思うが,私の思いはちょっとだだっ子がお母さんに甘えてないものねだりをしているようなところがあり、ほめられたことではない。それを承知ではあるが、そんな感じがするのである。
もっとたくさんの貴重な経験を木村先生はお持ちなのにそれの一部しか出ていないのではないかという感じがどうしてもつきまとう。
これは具体的な内容に触れないで方法だけを述べておられるからかもしれない。もっと物理の内容とか数学の内容にも踏み込んで話を展開されたらもっとよかったのではないかと思う。
本にすると何か物足りない気がするというのは木村先生のことだけではなくて、私の本「数学散歩」にもそう感じている。自分自身に向かって「たったこれだけのことしかお前は話題としてもっていないのか」という問いが自然と出て来るのだ。悩みは尽きない。
久しぶりに木村先生のお宅を訪問してお話をしてみたいと思う。