「キルヒホッフの法則」についての授業のプリントをつくっている。
昨年その内容については自分でノートをつくって話をしたのだが、やはり今年はプリントをつくって渡したほうがいいと判断をした。
全国のほとんどの大学で使っているといわれる、ある有名な教科書の回路図にキルヒホッフの法則を適用して、その回路に流れる電流についての連立方程式を立てて、それを解くプロセスを詳細に書いたものである。
もちろんこの教科書にはそんな詳しい話は書いていない。それは普通には単なる数式の解法で物理とはみなされないからである。それにそういう詳しいことを書いていたら、教科書はページ数だけが増えて困るだろう。
だが、私の教えている学生にはそういうプロセスを詳しく教える必要がある。というのはすべての閉路について広い意味のオームの法則を適用した式を立てるとそれらは全部の式が独立な式ではないことを示したい。
それから実はどの電流とどの電流が決まれば、後の電流はそれらか決まるということを示したい。この方法はもうどこへノートがいったか探さないと分からないが、私が大学の教養課程で聞いた、物理学の講義で取られた方法でもあった。
そのような冗長と思われることをやらないとやはりものごとは分かってこない。合理的な無駄を省いた教え方を考えることは重要だが、ときにはわざと冗長であることも必要である。
(2012.11.21付記) いつか電気電子工学科の元同僚の先生がキルヒホッフの法則を電気電子回路の授業で教えようとして疑問に感じたことがあったと話していた。
私自身は疑問に感じたことはなかったので、そのO先生がどういう風なことに疑問を感じたのか聞こうと思いながら、そのままになってしまった。
もちろん、その先生は私よりは若いし、生きておられるので、聞きに行けば、話してくれると思うのだが、その機会はまだない。なんでもよく考えると疑問に感じることが出てくるということはあり得る。
だからその先生が駄目な先生だとかはまったく思ったことがない。むしろその自分の疑問を率直に表明される方はご自分にある意味で自信をお持ちの方なのであろう。少なくとも私はその方の率直なものの言い方に好感をもっている。