エントロピーSは普通dS=d'q/Tで定義される。ここでTは絶対温度、d'qは微小な熱量である。
昔、ある集まりで熱工学が専門の先生がエントロピーが学生(ひょっとして自分)がわかるようにならないと嘆いたら、ある機械工学の先生がするすると説明をされた。それを正しいかどうか分からないが、再現して見よう。
上の式を変形するとd'q=TdSとなるが、これはd'W=-pdVとよく似ている。というか高いところにある物体がもつポテンシャルエネルギーが運動エネルギーに変わるのと同じように考えるとd'W=mgdhと並行的に考える。すなわち、dS=S_{1}-S_{2}としてS_[1}は物体が高い場所にいることと同じように熱的に高い場所にいる。それがS_{2}では熱的に低い場所にいる。これは物体が高度の低い場所にいるのと類似のことであると考える。
熱力学第一法則によれば、内部エネルギーをUとして、dU=d'W+d'qがなりたつ。ここでd'wとd'qにプライムがついているのは、これはこれらの量がある状態量の微分ではないことを示している。ところがこの二つの量を足したものは状態量Uの微分である。
これがどうしてか不思議でたまらなかったが、これは熱を力学的に定義すれば、解決することはムーアの『物理化学』(東京化学同人)の上巻に書いてある。有名な田崎清明(学習院大)さんの『熱力学』(培風館)の本もその線に沿って説明がなされているのだろうと思う。
エントロピーSを導入して状態を表し、絶対温度Tで状態を表すことを考えないのは相変化が起こるときには温度Tは変化しないが熱的には物質の状態が変わるからである。
相変化とは例えば、液体の水が気体の水蒸気に変わるとか固体の氷になるとかいう場合である。
物理の本でエントロピーSについての分かりやすい説明を読んだことはないように思うが、これは単に私の不勉強のせいだろうか。