力学の形成史に関する本は何冊か出ているのだろうが、それらをほとんどもっていない。
有名な天体物理学者のチャンドラセカールがニュートンのプリンキピアを現代風に解読した本の訳本が講談社から出ていたが、いまでもあるだろうか。これは1万円くらいの高価な本であった。一度もこの本を見たことがない。
さらに、ファインマンがやはり惑星の運動を解説した講義があって、この本の原本はもっているが、それの訳本も岩波書店から出ているはずだが、こちらの方はもっていない。
ニュートンのプリンキピアのラテン語からの訳は河辺六男さんの訳本をもってはいるが、読んだことはない。河辺さんとは彼がちょうどラテン語から日本語への訳をしているごろに知り合ったのだが、その後河辺さんとは年賀状のやりとりするくらいの関係はあった。そのうちに河辺さんは亡くなってしまった。
もう追憶の中にしか河辺さんはいない。彼の運転の車で京都高尾の神護寺に鳥獣戯画を見るのに連れて行ってもらったことを覚えている。
山本義隆さんの「古典力学の形成」「重力と力学的世界」はもっているが、これも読んだことはない。いつか読もうと思いながら、その暇はいままでのところできていない。
山本さんはその後、著書「磁力と重力の発見」(みすず書房)で大仏次郎賞をもらったので、もう知る人ぞ知るという人になった。彼は刑務所にでも入らないと古典力学など勉強する暇などはないだろうなとよくもらされていた。もちろんその後の彼がどうなるかなどは予測もできなかった、よき学生時代のころのことである。
こんなことを書いたのは武谷の三段階論を広重徹が批判した論文を読んだので力学の形成史が気になり始めているからである。