解析接続とは例えばJRの電車の他の線への接続みたいな用語だが、ちょっとちがう。
高木貞治の名著である、『解析概論』(岩波書店)では解析接続のことを解析的延長(analytic continuation)といわれている。
私は「解析接続とはある領域で定義された関数を他の領域に拡張することだ」と考えているが、これが本当の理解なのかはよくはわからない。その解析接続について解説したサイトがあるのを最近知った。
説明は初等的なのだが、ちょっと眼からうろこが落ちたという感じがした。その記事のコメントに「解析接続は無限級数の和をとる以外にもありそうですね」とあった。
これはその通りでいくつかの方法がある。ところがその例をあげた本が少ないように思う。サイトの著者に私の知っていることを述べ、「これについて調べてくださいませんか」とコメントをしたのだが、この人も会社勤めで忙しそうだ。だから自分の問題意識は自分で解決する以外に道はなさそうだ。
解析接続はこれからリーマン面が導入されたりするということで、大事な概念らしいが、初等的な関数論(このごろは関数論は複素解析というらしい)の本にはあまり載っていない。能代清先生の本に『解析接続』(共立出版)と題する本があるのだが、この本は古本で2万円の値がついていた(付記参照)。
もっとも私はこの本の旧版(岩波書店版)をあるところで本当に安く手に入れたのが、これがまた古くて本でカビが生えそうな本でなかなか読む気が起きない。
(2013.12.25付記) この能代先生の上記の書の比較的新しい版もあるとか聞いていたので、いつかE大学図書館に立ち寄ったときにその書を開いてみたが、どうも解析接続の例示が十分ではないという判断をした。
これはこの書をちらっと見ただけの話なので、間違っているかもしれないが、多分その評価は間違っていないと思う。
(2023.3.2付記)
この後にも解析接続のことについてはこのブログに書いたことがあるが、解析接続の方法について述べた書籍は金子晃さんの『複素関数論講義』(サイエンス社)と松田哲さんの『複素関数』(岩波書店)が詳しいことを知ってほしい。
もっとも、もっと豊富な例を書いた書籍とかエッセイがほしいところではある。それはその問題意識をもっている私自身がこのことをエッセイに書くしかないのかもしれないなどと思うこのごろである。