「なぜ対数はわかりにくいのか」と言われて数学のよくできる人はそんなことは事実ではないと言われるだろう。だが、対数はわかりにくいという印象を高校生や大学生に与えているのは事実であるようだ。
私の現在の判断では対数がわかりにくいのはそれを表す記号のせいだとしか思えない。
y=log x という記号はなんだか難しげだ。その点については私はいつもこれは命名の仕方だから、なぜアインシュタインがアルバート・アインシュタインというのかと同じことだと答えている。
しかし、それではことがすまないらしい。ではどうしたらいいのか。途方にくれるばかりである。
y=log_{a} xは結局a^{y}=xと数学的に同値であることが知られているので、対数がわからない人は指数もわからないのだろうか。どうもそうとは思えない。だとすれば、結局y=log_{a} xという記号のせいだとしか思えない。
そのうちに何かいい教え方が考え出されるのであろうが、それまではいつでも y=log_{a} xと数学的に同値の表現である、a^{y}=xに帰って学生に理解をしてもらうようにするしかないだろう。
数学教育協議会でも対数を教えるのに有効なシェ-マはまだ考え出されていないように思う。
指数と対数は同じといったが、指数関数と対数関数とは互いに逆関数であり、同じものではない。念のため。
対数が指数であることを示すために、a^{log _{a}x}=xであること有効に活用する方法はないだろうか。