もう50年以上昔になるのだが、しばらくの間、ある研究所の非常勤講師を勤めていた。そこである高名な学者から聞いた話だが、なんでも独創性をもつ者は圧倒的な少数派であって、多数派を占めてはいないということだった。この学者は自分がいつも少数派でいることを誇りに思っていた。
独創的な考えは少数派から生まれる。それがいつかは多数派になっていくとしても初めから多数派であることはない。この強い信念を持てるということは多分その人の自身の経験に深く根ざしたものであろう。だから天才はいつでも孤独に耐えられるのだろう。そう感じたことであった。
天才といわれる人の中でもアインシュタインとかディラックとかが孤独の影が強い。もちろん彼らがいつまでも少数派でいたわけではないが、やはり研究の姿勢として孤独の影をもっている。
急にスケールが小さくなって申し訳がないが、私自身のつくっているe-Learnigのコンテンツにしても誰がその作成を助けてくれるわけでもない。入力を手伝ってくれている学生とE大学の中で窓口になってくれている友人がいるだけだ。だが、常に思っている。孤独だからつまらないということはないのだと。
私のもつような構想をもつ人が少ないのだろうと思っている。能力のある人も優秀な人もたくさんいる。だが、私のような発想の人は少ないのだ。だから、別に孤独に作業していることを嘆いたりはしない。