物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

配偶者の呼び方

2009-12-17 11:41:03 | 日記・エッセイ・コラム

自分のつれ合いをどう呼んでいるか。私は書き言葉としては妻を使っているが、話し言葉としては女房とか家内である。

これは妻が『うちの女房が「---」といえばいいじゃない』といつも言っているからである。女房自身も私を人に紹介するときに気の張る人になら主人という古風な言葉を使うが、気のおけない仲間には旦那と言っている。

知り合いの弁護士さんには自分の奥様を「かみさん」といっている人もいる。これはテレビのコロンボ刑事がいつもうちの「かみさん」がといっているのを別にまねたわけではないだろうが、それと同じ言い方である。

一回だけテレビでコロンボ刑事の代わりにその「かみさん」が主演したことがあったが、これが「かみさん」という言葉から私たちが想像するのとは違ってチャーミングな方であった。

これは上に述べた弁護士さんの奥様も同様なのである。「うちのかみさん」という語に生活に疲れた風貌を想像してしまう私の先入観がまったくいけないのであろう。

私よりも若い人はと言ってももうかなり年の人たちだが、彼らは自分の配偶者を話し言葉でも自分の夫だとか妻だとか言っているのを聞いてはじめは違和感を感じたがそのうちに慣れてきた。

フラウとドイツ語を使う人とかワイフと英語をつかう人もいる。さすがにマ・ファムとフランス語を使う人には未だ出会ったことがない。それくらいフランス語を勉強した人は少なくて、旧制の高等学校出身の人にはドイツ語の方が親しかったのであろう。

昔の男性では自分の奥さんを呼ぶときに「おい」とか言って呼んだりしたものだが、そういう言い方をする人はさすがにいなくなった。

自分の奥様を名前で呼ぶのがこの頃は普通だろうか。哲学者の鶴見俊輔さんなどは旧姓でかつフルネームで自分の奥さんをその著書などで呼んでいるので、はじめは奥様のこととはわからなかった。

鶴見さんは親しい人の奥様のことを「だれそれの細君」とか呼んでいて、どうも私などの感覚では夏目漱石の小説かなにかで見たことがあるくらいで、どうもなじめないが、これは年の差だから仕方がない。

もっともドイツ語の私の夫はmein Mannで、私の妻はmeine Frauだが、直訳すれば「私の男」とか「私の女」となる。これはフランス語のma femme(マ・ファム)も同じである。夫の方はフランス語ではmon mari(モン・マリ)だが、このmariに男の意味があるのかどうかは調べたことがないが、普通にはフランス語では男はhomme(オム)である。

ついでに付け加えれば、ドイツ語でmeine Freundinとかmein Freundと紹介されたら、大抵一緒に生活をしている相手のことでただの友だちだとは思ってはいけないという。フランス語では恋人の場合にはamiにmon petit amiとかma petite amieというようにpetitとかpetiteの形容詞をつける。

私の家の近所にある美容室は名をオムフェムと看板に書いてあるが、フランス語をより正しくカタカナで書けば、オム・ファム(homme et femme)であろう。femmeはファムと発音する。決してフェムではない。