物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

戦争と外交

2015-08-03 12:13:12 | 日記
安保法制案を進めている安倍政権だが、国際政治学者の見るところではこれは日本の防衛に役立つという風には思えないというのが、正直なところらしい。

先日、松山大学の遠藤さんという、国際政治学者が「安保法制に反対する、愛媛の大学人と文化人の会」の集会で話したところでは、北朝鮮は危機を煽って、外国から援助を受けることが主眼の政治であり、他の国を攻撃する力はないという。

大体、生産性が低く、自国民を食べさせていくのに汲々としている北朝鮮にはまったく力がないとまで言われた。もし、前後の見境もなく日本の国を攻撃でもした暁には世界中から反撃を受けて、自国が滅びてしまうという。そういう無茶な判断をするとは思えないし、もしそのような無茶の判断をする国なら集団的自衛権をもってみても抑止力の役には立たない。いずれにしても集団的自衛は無用の長物である。

一方、中国は軍事的にも力があることは事実である。しかし、空母はまだ1艘だし(最近空母は2艘になったらしいが)、外国、特に日本に攻めてくるという可能性は小さい。また、中国の現在の体制はあと十年もつかどうかだと政治学者の間では言われているとかである。その危機を感じての中国国内での言論弾圧とか人権派弁護士の拘禁であるらしい。

それくらい中国の現政権はピリピリしているという。

それに集団的自衛権を日本が認めても、万一、尖閣諸島を中国が占拠することがあったとしても、それにアメリカが日本の肩をもって軍事的にことを中国と構えるという可能性はゼロだという。

それくらい中国とアメリカの関係は深いのだという。だから、安倍首相がそれとなく触れている中国の脅威を集団的自衛権を認めることによって、アメリカとの関係を深めてみたところで、それが尖閣諸島の防衛の助けになるというのはまったくの幻想である。

では、なぜいま安倍政権が集団的自衛権に固守するかといえば、軍事産業に利益を誘導するという以外には理由がなかろう。戦争の武器をつくることは資本主義社会での一番いい消費である。もっともそれが一番役立たない、無駄な消費であることは言を俟たない。

遠藤さんは言っていた。外交しかその解決策はない。そして外交とは49%と51%といったギリギリのところの外交が一番成功した外交であり、圧倒的に自分に有利な外交とは後、後の恨みを買う外交であり、それは外交としては失敗なのだという。

私たちと一般の人とは国際政治学を専攻している人とは全く見方が異なるということを知ったことであった。

こういう知恵を私たちはもたなければならない。戦争に訴えるということは一見勇ましくて国民の支持を得てもそれは最悪の外交であり、国際政治なのである。というか戦争をするということは外交の失敗を示すものであろう。