物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

TEDのドローン

2015-12-10 17:54:00 | 日記
TEDのドローンって変な題だが、昨夜のTEDのスーパープレンゼンテーションのqaudcopterの動きのよさに妻が感心していた。ドローンの上に棒を乗せたり、水を入れたグラスを乗せたりしても水がこぼれなかった。

スピーカーの話ではグラスの水は特に特別のプログラムを使わなくても水はこぼれないという。しかし棒を立ておいてこれが倒れないようにするためには天井から監視してその位置とかを1秒間に10回の測定し、それに応じてバランスをとるプログラムを搭載して計算してバランスをとっているのだという。かなり長い棒であり、多分1.5mもあったろうか。それがドローンを左右上下にかなり急に動かしてもその棒が倒れないというのはさすがに圧巻である。

ドローンにはプロペラは4つなければならないという。ドローンを自由に操縦するためには。どうやって姿勢制御をしているのか知らないが、多分、四元数で計算しているのであろう。昨夜はよく気をつけてみてはいなかったのだが、前にこの人はETHのある学部の教授だったと思う。

ごく最近の話題では「あかつき」という人工衛星が金星の軌道にうまく乗ったということがある。どれくらい大変なことなのか実感はわかないが、数万通りの軌道を女性研究者が計算したということで話題がまたまた大きくなった。

もっともそのいくつかを手帳に書き留めていたというのが、意外とアナログだという感じがした。こういう計算はなかなか実感として古い記憶が私にもある。もっとも軌道計算のような実用性はまったくなかったけれども。

大学の計算センターでいまのパソコンよりもはるかにはるかに性能がわるいコンピュータ―で夜中に一人計算しては夜中をすぎて2時とか3時にやっと家路につくという生活だった。

Mさんの思い出

2015-12-10 12:15:26 | 日記
M さんは松山出身の実験物理学者であった。学生実験の指導が厳しいとかで学生からはあまり好かれていなかったようだが、私は入試の作問委員会などでMさんに出会ったとききちんと考える人であることに気がついた。

Mさんの考え方がしっかりとしており、徹底していることが好きだった。定年後に松山のある予備校に教えに行かれていたようで、私などが遅い出勤で松山市駅の市内電車に乗り換えるときなどにときどきお見かけした。

私はM先生の学生ではなかったから、とくに圧迫感を感じたことはなかった。いつだったかやはり入試の作問で熱力学第一法則のことで内部エネルギーは経路によらないことを先生の教えから学んだ。

大学を出てから大分経っていたわけだが、大学に勤めるようになってからはまだ数年の頃であった。dU=d'W+d'Qが成り立つが、右辺でdではなくてd'Wとかd'Qとなってこれらは経路に依存するが、これらをたした内部エネルギーの変化は状態量であり、完全微分となっているというようなことである。

このことは私にとってかなり長い間にわたって疑問の一つであったが、ムーアの『物理化学』(化学同人)によれば、熱の力学的仕事の定義によることを知った。しかし、物理を学ぶ人があまり物理化学の本を学ぶ機会は化学系の人ほど多くないと思う。

伏見康治先生のエッセイにも熱力学を大阪大学で教えていて、後年にその当時の学生からまったくわからなかった言われたとか。その後に機会があって化学系の熱力学の本を読んでみたら、明解に熱力学が書かれていることに感銘を受けたというのがあった。

量子統計力学の難しい本を書かれている偉い先生からそういう話を聞くと私だけではないのだなと思う。