大学を退職してから、数年間ほとんど毎日e-learningのコンテンツを書いて過ごした時期がある。その中身はおよそ高校数学の復習というか、中学高校の数学に関係していた。
『四元数の発見』(海鳴社)を発行する以前にその原稿を海鳴社の辻さんに送ったら、かなり本気で出版しないかといってご自分で辻さんが読んでくれた。だが、そのときはまったくその気がなく、辻さんには失礼をしてしまった。
その理由は三角関数に関係した章がまったくなかったからである。最近になってその欠けている「三角関数」の箇所を補って一書にまとめられないかと思い出しているが、なにせ「三角関数」の部分を書くアイディアがとんと湧いてこない。
それで三角関数について書かれた、いくつかの本の章の目次を抜き書きして比べて見たりしている。
ありきたりのものなら誰かの本をひき写しすれば、できるのかもしれない。しかし、そういうものは誰にとってもおもしろくはないであろう。いや自分自身にとっておもしろくはない。
内容として三角関数とはいうものの、三角形とか三角比とかも入ったほうがいい。終わりの方には三角関数のテイラー展開やオイラーの公式についても書きたい。
しかし、途中をどうするか。三角方程式や三角不等式をどうあつかうのかだとか、頭を悩ませている。
振り返って考えてみると、三角関数についてはいろいろな形で書いたことがある。
たとえば、「電気電子工学科ミニマム」には、三角関数の公式とか、三角関数のテイラー展開だとかについて書いた。もっともこれは3ページに足らない短い記述である。
『数学散歩』(国土社)にも
・三角比の定義の記憶術あれこれ
・加法定理の証明いろいろ
・加法定理は三角関数の「水源池」となりうるか
・余弦定理の証明いろいろ
・単振動の合成
・arcsin x+arccos x=(pi/2)を理解する
を書いた。その後も愛媛県数学教育協議会の機関誌「研究と実践」とかメール配布のサーキュラー「数学・物理通信」とかに
・余弦定理の証明いろいろ再論
・cos xとsin xをtan x/2で表す
・Euler公式の導出いろいろ
・sin xの級数展開
・正弦法則と余弦法則 ・・・・ 「正弦定理と余弦定理」した方がよかった
・三角関数の還元公式1、2
を書いてきた。
だから、その数はすくないことはないのだが、まだ核心には入りこめていない。