物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

コンピュータの計算速度が2倍になるのは

2019-08-25 10:50:41 | 数学

コンピュータの計算速度が2倍になるのはおよそ何年かという。これは朝日新聞(2019.8.24)の第1面の右下の方にある「しつもん!ドラエもん」にあった。

解答は29面にあり、「およそ1年半から、2年」とあった。その詳しい説明は以下のとおり。

計算速度が上がるペースの経験法則として1965年に「ムーアの法則」が発表された。半世紀たって、ほんとうに予測通り1oo億倍くらいになったよ。

とあった。あれれ、どうやって計算したんだと思って、森口さん増補の『高等関数表』(岩波書店)を取りにいって、2のべき乗の表を探した。

およそ1年半から2年とあるので、まず2年として半世紀50年を2で割って、2^{25}の数値をみると

  2^{25}=33,554,432

である。しかし、これだと3千3百万倍くらいで、まだ100億倍には届かない。じゃあ、1年半は1.5年だから、50年を1.5年でわって33.3を出して2^{33}の表をみれば、

  2^{33}=8,589,934,592

これだと85億くらいでまだ100億にはとどかない。それで2^{34}の表の値をみると

  2^{34}=17,179,869,184

とある。しかし、これでは170億くらいでoverestimate (大きく見積もりすぎ)である。

 

もうちょっとくわしい値を知りたい。

それなら、対数の出番である。

 y=2^{33.3}

とおこう。これの常用対数をとれば、およその数を計算できるはず。

 log y=33.3*log 2

となる。log 2=0.3010であったから

 log y=33.3*0.3010

          =10.02330

ここで小数点以下は省略して

 log y=10

とすると

 y=10^{10}=100億

となる。いかにもお粗末の一件であった。

(注)log y=10 は y=10^{10} の違った表わし方である。先日もこのブログで述べたが、y=10^{10} すなわち10の10乗の方をわからない人はいないのに、log y=10 の方になると急にわからないという人が少数だがいるのは、まことに残念なことである。