コンピュータの計算速度が2倍になるのはおよそ何年かという。これは朝日新聞(2019.8.24)の第1面の右下の方にある「しつもん!ドラエもん」にあった。
解答は29面にあり、「およそ1年半から、2年」とあった。その詳しい説明は以下のとおり。
計算速度が上がるペースの経験法則として1965年に「ムーアの法則」が発表された。半世紀たって、ほんとうに予測通り1oo億倍くらいになったよ。
とあった。あれれ、どうやって計算したんだと思って、森口さん増補の『高等関数表』(岩波書店)を取りにいって、2のべき乗の表を探した。
およそ1年半から2年とあるので、まず2年として半世紀50年を2で割って、2^{25}の数値をみると
2^{25}=33,554,432
である。しかし、これだと3千3百万倍くらいで、まだ100億倍には届かない。じゃあ、1年半は1.5年だから、50年を1.5年でわって33.3を出して2^{33}の表をみれば、
2^{33}=8,589,934,592
これだと85億くらいでまだ100億にはとどかない。それで2^{34}の表の値をみると
2^{34}=17,179,869,184
とある。しかし、これでは170億くらいでoverestimate (大きく見積もりすぎ)である。
もうちょっとくわしい値を知りたい。
それなら、対数の出番である。
y=2^{33.3}
とおこう。これの常用対数をとれば、およその数を計算できるはず。
log y=33.3*log 2
となる。log 2=0.3010であったから
log y=33.3*0.3010
=10.02330
ここで小数点以下は省略して
log y=10
とすると
y=10^{10}=100億
となる。いかにもお粗末の一件であった。
(注)log y=10 は y=10^{10} の違った表わし方である。先日もこのブログで述べたが、y=10^{10} すなわち10の10乗の方をわからない人はいないのに、log y=10 の方になると急にわからないという人が少数だがいるのは、まことに残念なことである。