一般角の三角関数の加法定理について「数学・物理通信」に書いたことがある。
私のまとめた前の証明とは別の証明を書いた本を前に読んでいたのだが、十分に納得できなかった。それの理解が少しは進んできたのだが、もう少しわからないところがある。これは黒田孝郎さんの書いた『三角法』(ダイヤモンド社)である。
この記述が十分納得できなかったので、やはり同じように古い本である、遠山啓『三角関数の研究』(山海堂)を取り出してきて昨夜遅く読んでみた。前にはこれも十分納得できなかった記憶があったが、これの方の記述が上の『三角法』よりはすっきりしているようだ(注)。
もっともこれも証明がきちんと最後までされているわけではなく、以下同様にという風であった。そこがわからなかったところだが、昨夜一つの思いつきがあったので、それにしたがって証明を完結して見ようかと考えている。
うまく行けば少なくとも2つの方法で新たに一般角の三角関数の加法定理を証明できるかもしれない。
この一般角の三角関数の加法定理の証明についてはインタ―ネットでも十分に意識されており、それを取り扱おうとしたサイトはいくつかある。そのすべてではないかもしれないが、いくつかをプリントしてあり、先日から読みかえしてでいるが、どうもすっきりした議論をまだ見ることができない。
(注)遠山啓『三角関数の研究』を読んでいて気がついたことがある。それは武藤徹先生が三角関数の還元公式と呼んでいる一群の公式の三角関数の偏角の中に \pi+\thetaとか \pi/2+\thetaを偏角とする場合の還元公式に対する言及があまりないということである。もちろん、補角の公式とか余角の公式に対する言及はあるのだが。遠山さんのその後の著書でそういった場合の取扱いに言及してあるのかも知りたいと考えている。
(2024.3.18付記)遠山先生の言いたかったことをようやく了解した。私の思いつきを文書にした後にようやくである。何と私の頭のわるさよ。
同じような趣旨で書かれていた、黒田先生の本に書かれた一般角での三角関数の加法定理の証明の意味がようやくわかった。もっとも黒田先生の本にはちょっと誤解をまねく表現がないわけではないのだが。