四元数 i, j, k とパウリ行列\sigma _{1}, \sigma _{2}, \sigma _{3}の対応について書いた数学エッセイの修正版を書いている。
これらの対応についてはすでに自著『四元数の発見』(海鳴社)で書いたのだが、このときに私は
i ---> \sigma _{1}, j ---> \sigma _{2}, k ---> \sigma _{3}
という対応と
i ---> \sigma _{3}, j ---> \sigma _{2}, k ---> \sigma _{3}
という対応を調べた。
そして、パウリ行列 \sigma _{n}の前の係数がどういうものが許されるか方程式を見つけてそれを解いた。こんなことを指摘した文献など今までどこでも見たことがなかった。
その後『四元数』(森北出版)の本を書かれた横浜国立大学の今野さんが、i, j, k に対応したパウリ行列の前の係数p, q, r(彼は私とちがってa, b, cを使っているが)は1, 2, 3の偶置換のときは(1, 2, 3)のときと解が同じで、奇置換のときは(3, 2,1)のときの解が同じだと結果だけを示している。
しかし、そういう吟味はいままでされたことがなかったらしく、いまユニタリー行列から、i, j, kとパウリ行列との対応を調べて見ると、対応によっては許されないものが出てくる。これをどういう風に取り扱うかでいま思案している。
(2024.3.12付記) 自分の本を先ほど開けて見たら、i, j, k に対応したパウリ行列の前の係数の記号は現在使っているp, q, r ではなく、私自身がa, b, cを使っていた。自分で使っていたのに忘れてしまっていたらしい。