朝日新聞の第一面に哲学者の鷲田清一さんの「折々のことば」が載っている。
昨日今日は写真家の土門拳さんの写真集『風貌』からのことばが載っていた。
気力は眼に出る。
生活は顔色に出る。
教養は声に出る。
土門拳
土門拳はつぎのようにも書いていると鷲田さんは書く。
「本人が欠点と思っているところが、実は案外、唯一の魅力だったりする」
昨日も何か鷲田さんは書かれていたのだが、これは昨日の新聞がもうどこへ行ったかわからないので書けない。だが、これを読んで思い出したことがある。
若いときに半年だけ京都大学の基礎物理学研究所の非常勤講師をしていたことがある。一般の人にわかりやすくいえば、ここは湯川秀樹先生が所長をなさっていた研究所で、彼の定年前の2年前の頃である。
所長室の隣の小さな会議室で昼食を一緒に所長も含めて所員が食べていた。この昼食後のあるとき、湯川さん本人から土門拳の写真をとるときの手法について聞いたことがある。
土門が湯川さんの写真をとるために来たときのことだが、彼は顔を見合わせるなり、腹の立つようなことを言うのだという。これが土門の写真を写すときの手法だったのだろうと湯川さんは述べていた。
怒ったときにその人の本性が現れると土門は考えていたのではないかと。
いずれにしても写真家にはすべてお見通しであったのだろうか。怖い怖い。
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