ドイツ語のクラスでいつもご一緒の I 医師から一昨日「わが書物愛的伝記」(広瀬書院)という本をお借りして読んだ。
木曜日の夜に借りて帰って、その夜から金曜日の午前1時半ごろまでかかって読んだ。もっともこういう本はそのときに読んでしまわないと自分の賞味期限というか関心がなくなると全く読まないものである。
それだから、一気に読んだ。渡辺昇一さんは英語学・英文学者であるが、どうも右翼的な言説で有名であると思っていたので、そういう人の本は読みたくないと頭から思っていた。いわば、食わず嫌いである。
I 医師が私にこの本を貸してくれたのは、先日のドイツ語のクラスでお金があれば、私的な図書館をもちたいと長年の思いを口走ったことによる。I 医師は渡辺さんが同じようなことを本に書いているとすぐに教えてくれたのが、この本は本屋に行ってもすぐに手に入るようなものとは思われなかった。
ところが、木曜の夜に I 医師のお宅に伺う機会がたまたまあり、その本を貸してくださった。
読んで見ると、私などとは桁外れにスケールが大きい。渡辺さんは15万冊の蔵書をおもちだという。私などは数千冊であろう。
ドイツ語のクラスでは私の蔵書は2000 冊といったが、それよりは多いとしても3000冊は満たないであろうか。もっとも本の冊数を数えたことはないので、もっとあるかもしれないが。
それに若くして英語学者ながら、ドイツのミュンスター大学に留学して学位をとられたり、その後の活躍もすばらしい。
巻末に渡辺さんの出された本のリストがあるが、このリストが29ページにわたっている。対談とか座談とかもあるが、これだけの本を出版しながら、研究もしていたとするとなかなかできることではない。
理系の科学者として私の知っているのは地球物理学者の竹内 均さんくらいであろうか。文系と理系ということを抜きにしてもこんなことが一人の人にできるのか、疑問に思うくらいであるが、それをなした遂げたということはある意味で尊敬に値する。
そのためには大学の行政的なことには全く携わらず、政府や官庁の委員とかにもならなかったと書いてあるが、それぐらい努力をしなくてはこういったことはできまい。
彼の著書の書棚に収められた、写真が出ているが、書棚の一区切りに入っている冊数を13冊として、区切りが40区切りあるとすれば、約520冊の著書になる。amazingというべきであろう。
もちろん、本の中身の問題はあるが、それは問うまい。なんであってもこれだけの知的活動をするということはそれなりに敬意を払うべきだと考えている。