[画像]自民党宏池会の上川陽子法相、2017年11月24日の衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
●前置き
衆議院内閣委員会で、大臣所信に対する一般質疑があり、この後、「人事院勧告実施のための一般職国家公務員給与法改正案」(195閣法1号)、「同特別職給与法案」(195閣法2号)「同退職手当法案」(195閣法3号)が審議入りしました。衆・厚労委では、一般質疑の後、「旅館業法改正案」(195閣法7号)が審議入りしました。衆・法務委では、宏池会の上川陽子法相が所信を述べ、 「大平正芳先生の着々推進、洋々万里」と語り、本会議での会長発言とあわせて、宏池会の1993年以来、四半世紀ぶりの政権取りに、頭をもたげ始めました。5年ぶり国政復帰の、元民主党良識派の2009年初当選、希望の党の稲富修二さん、希望の党の白石洋一さんの2人は、各々の一般質疑で、社会保障と税の一体改革関連法を取り上げました。この声、岡田克也さんに届くかな。
●前置きその2、畠山理仁さんの「黙殺」を拝読
前置きがもう少し続きます。きょう、畠山理仁さんの開高健ノンフィクション賞受賞作「黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い」が発売されました。私もさっそく読みました。本の内容はとても充実しているので、ぜひ読んでいただきたい。ただ、私の読後感としては、つくづく、私は、無頼系独立候補とはほど遠い、はるか上のメーンストリームを歩き続けてきたな、と感じました。そこで、私、夜、書き出してみました。私は過去25年6カ月間、おおむね、与党主流が4年、与党傍流が1年、野党主流が11年、野党傍流が8年だったと思います。端数があり1年足りません。与党が5年、野党が19年ですから、これは野党が圧倒的に多い。とはえい、与党でも、野党でも、そのときは、各々主流の時期の方が長いようです。与党でも野党でも、傍流のときも「七奉行」などがありました。今は、我が無所属の会は衆議院野党第3会派ということで、野党傍流になります。ただ、宏池会も24年間政権から離れているわけで、まあ、いずれ、私も与党主流に戻れることもあるだろうと考えます。野党傍流のメーンストリームを、引き続き歩いていきたいと考えます
【衆議院内閣委員会 平成29年2017年11月24日(金)】
●給与法案が審議入り。
梶山弘志・国家公務員制度担当相が、「平成29年度人事院勧告を完全実施する、一般職国家公務員給与法改正案」(195閣法1号)、「同特別職給与法改正案」(195閣法2号)、「同退職手当法改正案」(195閣法3号)の趣旨説明をしました。次回の委員会は、来週、12月1日(金)午前10時から。参議院側では、内閣委が文教委との「加計学園開学認可」で連合審査会を検討しており、成立はおそらく、会期末の12月8日(金)になるのではなかろうか、と私は推測しています。
●一般質疑当日朝に自民候補の地方議員への現金配り、朝日1面
これに先立ち、内閣委では各大臣所信に対する一般質疑がありました。いかんせん11大臣に、7会派ですので、入れ代わり立ち代わり、散発的な質問で、大過なく終わりました。自民党は、大阪府連4人衆ということで、大隈和英さん、大西宏幸さん、岡下昌平さん、神谷昇さんが登場。4人とも、自民党には珍しい当選2回生ということで、大阪府連は特殊事情が多いことが分かります。この中で、神谷さんは、きょうの朝日新聞1面で、総選挙時に自民党府連市議に現金20万円を配ったことが記事になりました。自民党では、解散後に地方議員に現金を配ることはよくあり、実は、政治資金規正法上は合法ということが多いです。神谷さんは市議会控室で現金で配ったということで、「みえみえ」「たった20万円か」ということがあったのかもしれません。参議院全県区での自民党はけた違いの額を地方議員に寄付しています。森友学園の2月9日のスクープから朝日・大阪社会部の快進撃が続いてきた印象ですが、長年の、自民党の、とくに参議院選挙区も含めた実態を、これを機に明るみに出してほしいところです。
●社会保障と税の一体改革3党協議の民主党議員、5年ぶりの国政復帰で施行に言及
内閣委に戻ります。5年ぶりに国政復帰した希望の党、稲富修二さんは「私事で、恐縮ですが、私も当時の民主党にいて、消費税率アップの3党協議を担当した」と話しました。浪人中もそれを考え、今の法律通り上げてほしいと語りました。しかし、自民党政調会長だった、茂木敏光さんは、現在・社会保障と税の一体改革担当大臣なのに「税制抜本改革法では」と財務省用語を駆使して、「委員は私と同じ商社出身ですのでご指導いただきたい」と表面だけの議論に終わりました。
内閣委では、おとといの会計検査院報告を受けて、菅義偉官房長官に対して、森友学園特区についての質疑が相次ぎましたが、交わされた印象でした。上述の通り、次回は、来週12月1日(金)午前10時。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
●旅館業法改正案が審議入り
大臣所信に対する一般質疑がありました。この後、「違法民泊を厳しくする、旅館業法改正案」(195閣法7号)の趣旨説明があり、次回は未定のまま、散会しました。
[画像]橋本岳・自民党衆議院議員、2017年11月24日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
●一般質疑では、加藤勝信大臣と橋本岳さんが、自民党平成研岡山県連でそろい踏み
一般質疑では、まず、自民党の橋本岳さんが登場し、加藤勝信厚生労働大臣に質問。橋本さんが前置きが長くなると、「質問しろよ」のヤジが冒頭から飛びました。橋本さんは、祖父、父、本人と3代連続で、厚生労働省の大臣・副大臣経験者の厚労族。きょうは20年前の山一証券自主廃業の検証が各新聞に載りましたが、橋本さんは、父が問題を軽視し20年デフレを招いた犯した過ちには触れませんでした(関連エントリー
)。質疑は、中選挙区時代の自民党の、「加藤・橋本戦争」の後継者である、岡山4区の橋本岳さんと、岡山5区の加藤勝信さんが、ともに、平成研究会所属の、厚労省の前副大臣と、現大臣というかたちで行われました。自民党が強いはずです。
5年ぶりの国政復帰を果たした、希望の党の白石洋一さんは「将来いくら貰えるか、マクロ経済スライドも反映した、年金定期便が必要だ」と、自ら汗をかいた、社会保障と税の一体改革関連法の施行について質問しました。
維新の足立康史さんは、「立憲民主党の池田真紀さんと希望の白石さんは良い質問をしたが、希望の山井和則さんと柚木道義さんはどうしようもない質問をした」と野党分断工作をはかり、自民党参議院議員の大沼瑞穂政務官に、安保法強行採決時の、顛末について、質問しましたが、大沼さんは答弁を避けました。
最後に審議入りした「旅館業法改正案」(195閣法7号)は、ホテル業と旅館業をホテル・旅館業に統一したうえ、違法民泊を県庁が立ち入り検査し、罰金を引き上げる改正法案。加藤大臣は民泊という言葉を使っておらず、推進派の国交省との省益争いが続いているようです。次回は未定。
【衆議院法務委員会 同日】
まず、平口洋委員長が就任あいさつ。
●上川法相も宏池会シフト強める。
上川陽子法相は「第4次安倍内閣で再任され、第百代法務大臣になった」と切り出し、「法務行政は多くの国民の声に真摯に耳を傾け、次代を見越した取り組みが必要だ」としたうえで、「大平正芳先生の着々推進洋々万里」を口にしました。宏池会の岸田文雄会長は、今週の代表質問で、池田勇人・初代会長の言葉を口にしました。岸田さん、上川さんが、相次いで宏池会会長の総理大臣の言葉を口にしたことで、宏池会が第4次安倍内閣の次の天下取りを目指していることが如実になりました。ここは、宏池会の葉梨康弘さんが法務副大臣に返り咲いています。
その一方、政務三役の末席になる、石破派の3期生でホープの山下貴司さんは「法務大臣の山下貴司です」と自己紹介し、野次を受けて「失礼しました、法務大臣政務官の山下貴司です」と言い直しました。こういう見え見えの間違いは、自民党では散見され、自民党の場合は政府外で、野次を飛ばしてくれる委員がいるからこそできるお約束ですが、自民党内の分裂というのも、これからの2~4年間、注目していきたいものです。でも、ひょっとして、上川さんは、自分が総理大臣になろうと思っていたりして(関連エントリー
)。
宏池会については、希望の党の玉木雄一郎代表も今週、代表質問で言及しています。2015年前半から、岡田克也さん(当時民主党代表)が、宏池会路線を主張していましたが、3年経って、宏池会的な、日米同盟、軽武装、経済第一主義が、ていねいに国民の声を聴く政治姿勢の強調を含めて、頭をもたげてきました。でも、上述の通り、宏池会って、24年以上、与党内与党から遠ざかっているんですよね。
法務委の次回開催は未定。
【参議院 同日】
ありませんでした。
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