NHKは、選挙サンデーの2013年7月14日夜9時から1時間半、9党の参議院議員会長による討論会を放送しました。
このなかで、「参議院のあり方」をめぐる議論で、自公の参院議員会長が「ねじれは悪くない」と発言し、安倍晋三首相(自民党総裁)らが真っ先に訴えている「ねじれ解消による政治の安定」とのスローガンと矛盾するシーンがありました。
参議院自民党では、1986年の第2次中曽根康弘内閣による衆参ダブル選で初当選し、そのメンバーでは現在唯一議席を持つ、中曽根弘文・参議院自民党会長が出演。中曽根氏は2004年に参議院議長就任の予定を、当時の小泉自民党総裁で、扇千景さんに奪われており、9年越しの議長就任が見えています。
その中曽根会長は「ねじれは各国でもよくある。(ねじれそのものより参院の)野党が党利党略に走るのが問題だ」と語ると、民主党・新緑風会の輿石東会長が「自民党は民主党政権時に7本の問責決議案を打ち込んできた」と野党自民党の参院での行動に問題があったと反論しました。
会長、幹事長の引退にともない、参議院公明党を代表して出演した西田実仁(にしだ・まこと)国会対策委員長は「私もねじれそのものは悪いとは言っていない」とし、「私たちは野党時代にも法案を出してきた」と語りました。具体的には、公明党は野党時代に、参法(参議院議員による議員立法)で、「原子力災害の仮払い法」(平成23年法律91号)を浜田昌良議員(現復興副大臣)が自民党の佐藤正久さん(現・防衛政務官=改選)とともに提出し、参院可決、衆院修正のうえ、参院回付で同意して、成立させています。(関連エントリー「ねじれ新国会」は佐藤正久さんが先陣 参院野党提出の新法成立は憲政史上初 仮払い法)。
中曽根さんは「私もねじれは悪いとは言っていない。良いねじれも悪いねじれもある。野党の対応次第だ」と語りました。
「ねじれの解消が安定した政治につながる」 との安倍首相ら衆院議員の演説が、図らずも、同党内の参院議員によって否定されたことになります。
もっと、参議院議員の話を聞いてみたいところです。昨年8月の「社会保障と税の一体改革法」では、参院の附帯決議に「幼児教育の無償化を検討する」と潜り込ませた森まさこ議員が、自民党マニフェストにそのまま入れることに成功し、1期生ながら大臣の椅子を勝ち取ったようです。与党参院議員でもねじれを活用している人は能力がある人です。
私は、おそらく日本でも最も長時間、参議院の審議を聞いている国民だと考えますが、私も衆参はねじれていた方が政治は安定すると考えています。
日本の政治はこれでいいのでしょうか?
離島遊説で、2013年7月9日(火)、二大政党が明暗を分けました。
滋賀選挙区(定数1)の沖島を自民党の小泉青年局長が高速艇で訪問。このもようは、武藤貴也・自民党衆院議員のフェイスブックで公表されました。
香川選挙区(定数1)では、林農相が、自民党の平井卓志・マルチメディア局長と高速艇で訪問。
さらに、この訪問はネット生中継されたと、平井さんがフェイスブックで明かしています。
◇
対する、民主党。
長崎選挙区(定数1)では現職の大久保潔重(おおくぼ・ゆきしげ)候補が、平島に向けてインターネットで演説。このもようは民主党ホームページで公開されました。
このように、ノートパソコンに向けて必死に訴えかける大久保候補の応援演説を細野豪志党本部幹事長が、もちろんおなじくネットでしました。
ノートパソコンに向けて身振り手振りで熱弁をふるう細野幹事長をアシストするように、上で蛍光灯をもって、映りやすくしているスタッフの姿が見えます。
平島では、このようにスクリーンに投影されるインターネット中継で、大久保候補と細野幹事長の演説会を聞いたとして、民主党ホームページは「フェリーが1日1便しかない平島」とのエクスキューズを強調しました。
これではNHKとテレビ東京並みの陣容の違いです。
民主党が手間を惜しんでいるわけではありません。お金がないのです。民主党の2013年予算は318億円で、前年の387億円から大きく減りました。さらに318億円から51億円の総選挙支出をことになってからしており、民主党財政は火の車です。
その結果、人気の進次郎さんの高速艇でのさわやかな表情、大臣自ら小豆島に乗り込みその姿をネット中継する自民党に対して、たすき・はちまき姿でパソコンに語る候補者・党幹事長の民主党という対照的な表情ができてしまいました。
しかし、これでいいんでしょうか。自民党政権がつくった離島便の費用や、漁業用燃料などは、租税特別措置により安く抑えられています。これは法律が切れたとたんに一気に値段が上がります。つまり、自民党を支持し続けないと、一気に生活が破綻しかねないのが離島での生活なのです。
太平洋の向こう側、ベネズエラは世界第4位の石油産出国ですが、9割の貧困層は自分たちと同じ出身の大統領を選んでいます。1割の富裕層は、経済的利益を得られるから我慢しているのでしょう。
同じアジアのマレーシアは、7割がマレー系、3割が中国系ですが、マレー系を優先するUMNOが選挙に勝つことが多いです。これも中国系は経済的に豊かなので、納得できる面もあるのでしょう。
しかし、日本において、物量面で優れる自民党を、出身階層として比較的貧しい人が支持し、民主党をけなす姿勢が多々見られます。
が、小泉さんも林さんも平井さんも世襲議員であり、林さんはガス・タクシー、平井さんはテレビ・新聞と地元経済界のドンです。そういう自民党政治家たちを貧しい人が支持するのは自分のクビを真綿でしめることにほかなりません。
都議選は関係ありませんが、参院選で民主党が議席や得票率を減らすと、さらに政党交付金が減ってしまいます。まさに、民主党は太平洋戦争末期の帝国陸軍の白兵戦のような様相を呈してきました。しかし、玉砕してはなりません。かならず組織を守り抜かねば、日本が潰れます。エセ貴族のマスコミによる誘導報道に負けないで、民主党の財政基盤を、私たちが底支えしなければなりません。1人区自民党全勝は、日本の底抜けを意味します。統一地方選、衆院選に向けて、民主党の金庫を空っぽにしてはいけません。国が潰れます。
ぜひ勇気を持って、離島住民は自民党を拒絶していただきたい。自民党弁士を島に入れないくらいの気概が必要です。
三島由紀夫の「潮騒」で、東京生まれの初江が言ったこの言葉を、すべての離島住民に投げかけたい。
その火を飛び越して来い!
自民党の麻生太郎副総理・財務大臣が2013年7月8日(月)、岩手県岩手郡岩手町(1万5000人)で、住民約300人を集めた集会で、「1人区でどれだけ勝てるかが、今回の選挙の勝敗を決める」「自民党が連敗している選挙区で岩手はダントツ」「自民党が30勝1敗で、その1敗が岩手というみっともないことにならないよう、期待しています」と暴言を吐いたことが分かりました。読売新聞、朝日新聞が伝えています。
日本の国をしなやかで強くするためには、自民党と民主党がともに政権を担える状態をつくることが必要で、「1人区の岩手県だけで自民党が負けたらみっともない」との発言は、アメリカでは通用しない暴言です。天皇陛下をお守りするためには、政権担当能力がある政党が2つ必要であることを、麻生さんは勉強すべし。
これまで自民党は「国土の均衡ある発展」という全国総合開発計画をすすめてきましたが、実際には、安倍首相の山口など中国地方、麻生副総理の福岡など九州地方に、空港や高速道路、中山間地農業などのインフラが集中的に投資されてきました。下の空港分布図をみても、明らかです。
このように同質性を求めるのは、日本人の心の弱さの裏返し。「ほかと一緒でないとみっともない」という心理があるから、世界唯一の顕然たる犯罪組織「やくざ(暴力団)」が「警察庁指定」のお墨付きをもらう非常識国家日本ができたのです。だから、1人区である地方は魅力を失い、ストロー現象で若者がいなくなり、大分・岐阜を除けば外国人観光客がこなくなってしまったのです。
さて、話は変わります。アシアナ航空機がアメリカ・カリフォルニア州、サンフランシスコ国際空港で墜落。16歳の女子高生2人が亡くなりました。中国浙江省といって、ここは、沖縄や東京都・八丈島と同緯度の海のシルクロードとして栄えてきたところです。今は、中韓EPAがありますし、サンフランシスコには「中国国民党アメリカ支部」の看板も見たことがありますから、中国人乗客が大半だったのは当然です。外遊目的は、英語などを学ぶサマーキャンプに参加する予定だったと知って、残念に思いました。朝日によると、1人辺り4万元ということで、およそ64万円ほどかかりますが、すぐに定員が埋まるそうです。アメリカでは、学校は9ヶ月のみ。サマーキャンプに参加できる生徒が全員とは限りませんが、教員の給料も9ヶ月しかでないことから、免許を持つ教員も運営に参加しており、さまざまな経験ができます。
私は、夏、実際の学校の先生の家にとまり、午前中は英会話学習するコースを平成元年、高校1年生のときに、受け、金額もおよそ64万円でした。 家は、グリルあり、BBQセットあり、セントラル空調と、本当に「奥さまは魔女」の世界とまったく同じでした。サンディエゴから電車でいける街に「ティファナ(英語発音だとティウアナ)」があります。これはもう国境を越えて、他国であるメキシコです。休日に行った際、国境の検問所で並びました。アメリカ→メキシコの入国は簡単です(逆はとても厳しい)。アメリカ人は半ズボン姿でティファナに入るだけならパスポートも要らないのですが、私たち日本人はパスポートが必要です。しかし、アメリカ人と一緒なのでスムーズに入れました。国境では、貧しい女の子がコップを持って歌を歌っていました。
そして国境を越えたとたんにまったく別の貧しい世界が広がりました。まず、アメリカでコカコーラを買えば必ず氷が入っていますが、メキシコでコカコーラを買っても氷はありません。そこからして違います。そして、体を引っ張りながら、「中曽根さんいい人」と日本語で物を売りつけてくる人がいます。ちなみに当時の日本の首相は海部さんでした。アメリカ人のみなさんが事前に予約していたレストランは、アメリカ人客しかおらず、タコスを食べて、そこそこおいしかったです。
メキシコを支配する一大政党「PRI(プリ、制度的革命党)」は1929年の結党以来、日本を支配していた一大政党「自民党」は1955年の結党以来、大統領・首相を持ち続けていましたから、平成元年の時点で、PRIが60年間、自民党が34年間。これが世界での長期政権のベスト2位でした(当時既にベルリンの壁は崩壊)。
二大政党の国から国境を越えて一大政党の国になったとたんに、ここまで経済格差が開くことに私は衝撃を受けました。そのころから、二大政党論者でありつづけています。
1993年6月、自民党長期政権を倒すことに成功しました。私も新生党学生部員として歴史に参画しました。
メキシコでは一大政党が続きました。PRIの大統領候補が大統領になるわけですが、サリナス大統領(PRI党首)の後継者には、コロシオPRI幹事長が選ばれました。
[写真]コロシオPRI幹事長、(後ろの肖像画はサリナス大統領(PRI党首))、wikipediaから。
細川内閣が7月に発足した翌春、その「ティファナ」の名前をニュースで聞くことになりました。コロシオが暗殺されたのです。
[写真]コロシオ暗殺の瞬間、wikipediaから。
1994年、3月23日の現地時間午後7時12分、ティファナ近郊の貧しい町の夜の雑踏。ここは首都から一番遠い町なので、頻繁に遊説できるところではありません。庶民派をアピールしようとしたのか、当選確実のコロシオ大統領候補は群衆の中に分け入り撃たれました。
実際には、コロシオは4時間ほど生きていて、側近たちは、ヘリコプターで国境を越えてサンディエゴの病院に運ぼうとしましたが、祖国で息絶えることができました。享年44。
このように一大政党制の国は、経済的に困窮する。これは私は平成元年に感じました。それ以来の二大政党論者ですが、細川・羽田内閣はさきがけらの裏切りで倒され、2009年まで政権交代は遅れてしました。その間に経済力は落ち、中国で64万円のサマーキャンプはすぐに売り切れなのに、日本の高校生は夏休みはバイト。団塊の世代は、外国行きのチャンスを高校生に譲ればいいのに、そういう意識はありません。畢竟、日本はとても貧しい国になってしまいました。
コロシオを暗殺したのは、暗然たる犯罪集団であるマフィアです。日本のヤクザは顕然たる犯罪集団なので、このようなことはできないでしょう。 これには、PRIのサリナス大統領兄弟が関与していたと言われています。サリナスは大統領退任後、アメリカの企業(たしかフォード)の取締役になるなど、メキシコには戻れない状況が続きました。急遽大統領候補になったセディージョ文科相はそのまま大統領に当選しました。つまり、コロシオを大統領にしないためには、選挙で落とせる可能性はなく、殺すしかなかったわけです。
その後、まったく偶然に、私は1996年にメキシコ東海岸のメキシコシティーで、(車窓から)PRIの本部を見たことがあります。縦長の建物で、日本の自民党本部よりも小さかったので驚きました。その後、2000年にPRIは政権を失いましたが、昨年政権復帰しています。もちろん、大統領は青い目をした白人です。
総理大臣を選ぶ選択肢(自民党総裁か、民主党代表か)は、私たち国民が衆議院議員総選挙のたびに持つべきです。
ぜひ、麻生財務相は「30勝1敗はみっともない」などと言わずに、アメリカのように、大統領選に出馬した上院議員の後釜が反対党から選ばれてしまうような政治体制をしっかりととって、天皇陛下をお守りする政治体制を一から学ぶべきです。
さもなくば、2015年9月の自民党総裁選に前後して、「安倍暗殺」「石破暗殺」「麻生暗殺」などという見出しが飛び、世界からバカにされる日本になりかねません。心して、自民党員はその危険性をおしはかるべし。大切なのは、皇統の存続であり、日本国の存続です。
自民党の安倍晋三総裁(首相)は2013年7月7日(日)放送のNHK党首討論会で、「政治は現実ですから」と述べ、「日本国憲法改正草案」(2012年4月27日決定)を修正する考えをしめしました。
安倍さんのNHKでの発言は次の通り。
「私たちは自由民主党の考え方をお示ししています。そのうえにおいて、(衆参各院総議員の)3分の2の発議(ほつぎ)がなければ、国民投票にかけられません。最終的に決まるのは国民投票ですね。一般の法律は、国会の中だけで決まります。憲法はそこは発議だけで、決めるのは国民。ですから、まず国民的議論を高めていきたい。憲法ができて以来、これだけ議論が高まったのは初めてなんだろう、という意味においては、第一目的は達成したと思います」
「次は発議していく国民的議論を高めていくためには我々もっともっと議論を高めていく必要があると思います。『自民党の案ではダメだ』、『ここを修正すればいいよ』ということになれば、当然、政治は現実ですから、そこは考えていきたい」
と語りました。
たしかに、自民党参院選公約では、「憲法改正【原案】の国会提出をめざす」とあり、公約違反ではないでしょう。しかし、政権半年で、衆院憲法審査会(保利会長)を除けば、具体的な動きはなにもしておらず、自民党支持に関係なく、憲法改正論者に腰砕け感を与えるのではないでしょうか。
この草案をつくった「自民党憲法改正推進本部」には、保利耕輔本部長の下、最高顧問として4人の総理経験者、「安倍晋三」の名前も入っています。ところが、どういうわけか、当時の谷垣総裁らの名前は入っていません。そして、本部事務局長は自衛官出身の元防衛大臣、起草委員会事務局長は旧内務省系(自治省)出身の参院議員、副会長には旧内務省系警察庁出身の衆院議員、さらにタカ派で知られる参院議員も複数入っています。
私は民主党員ですが、改憲論者です。
まず、せっかくの高支持率の安倍さんが憲法9条を正面から議題にしないのは残念です。
そして、「96条先行改正論」には、盟友である古屋国家公安委員長の意見に乗った感があります。
少し話がそれますが、私たち改憲論者には、「89条先行改正論」という議論がありました。
[現行89条]公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、または公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、またはその利用に供してはならない。
これでいくと、「公金(税金)」を「公の支配に属しない教育」に「支出してはならない」。
これについて、芦部信喜著『憲法』によると、2つの立場があるとしています。
(1)私的な事業への不当な公権力の支配が及ぶことを防止する規定。
(2)公財産の濫費を防止し、慈善事業等の営利的傾向、公権力に対する依存性の排除のための規定。
としています。
「私学助成金」を定める「私立学校振興助成法」について、芦部先生は(1)なら違憲、(2)なら合憲としています。とはいえ、(2)としても、いちいち、税金のむだづかいの廃止や、私立学校の公権力への依存性の排除を、憲法で規定する必要があるでしょうか? 非常に意味合いが分からない「現行89条」。
これを自民党の憲法改正草案は、次のように直すことにしています。
[改正89条1項]公金その他の公の財産は、第20条第3項但し書きに規定する場合を除き、宗教的活動を行う組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため支出し、またはその利用に供してはならない。
[改正89条2項]公金その他の公の財産は、国もしくは地方自治体その他の公共団体の監督が及ばない慈善、教育もしくは博愛の事業に対して支出し、またはその利用に供してはならない。
としています。ですから、私学は、地方自治体すなわち県教育委員会に、定員などの許可を得ている現状ならば、私立学校振興助成法は合憲になります。幼稚園・保育園や、薬学部、歯学部などほとんどが私立である現状では、現実に沿った改憲案です。
しかし、改正21条のように、非常に問題がある規定があります。これは先の通常国会で、民主党の後藤祐一さんと小西裕之さんがていねいに詰めてきたことで浮かび上がった問題点です。
あらためて改正草案を見ると、「ネットウヨ」「タカ派」にアピールして、政権を取り戻そうという、野党・自民党議員の思惑が透けて見えます。民主党は2009年衆院選マニフェストを実行しようとして失敗しました。自民党は支持者を失望させないために、公約や憲法改正草案を実行せず先送りしようという姿勢が見れます。ぜひ、安倍さんは、予防線を張らず、逆に本音であろう9条改正をしっかりと議論すべきです。第2次内閣なのだから、無私の心で、政権の延命を考えることはやめてほしいところです。
参議院大阪選挙区(定数4)の梅村聡(梅村さとし)民主党公認候補、本人フェイスブックページから。
Google検索で、2007年12月23日付の「【訃報】さようなら山本孝史さん がん告白の参院議員 「基本法」残し」のアクセス数がまた増えてきました。
大阪選挙区で、梅村聡(梅村さとし)候補が演説の中で、言及しているのでしょう。
梅村さとしの6年間。
民主党第1次与党期の政府外議員として、「生活保護受理のさい銀行本店が資産を一括して調査する」という制度を質疑し、その後実現しました。最後の最後に、野田内閣の厚生労働大臣政務官に就任。第2次野党期の今は、「社会保障制度(医療、介護、年金、子育て)の将来像」についての民自公3党合意にもとづく実務者を「第2代年金王子」の長妻昭さんと一緒に担当しています。
6年前の選挙では、現職の山本孝史さんが末期ガンだったため、大阪選挙区から全国比例に転出。大阪選挙区の後継者として梅村聡さんが当選しました。山本さんは混同を避けるために大阪以外の都道府県のみで活動し当選しました。
梅村さんが山本さんから受けついだ「命のバトン」とは何か。
実は「年金の3党合意」というのは、9年前にもありました。 2004年の通常国会で第1次野党期の山本孝史さんは、与党・自民党の小泉首相に対して次のように質問演説しました。
「小泉内閣の七人の閣僚を始めとして国民年金保険料を納めていなかった国会議員が続出し、年金制度への不信を深め、政治への信頼を失墜させたことは誠に残念です」
「次に、3党合意と与野党協議機関についてお尋ねします」
「我が党は、責任野党として一元化を含めた年金制度の抜本改革を実現するために、今回の合意を決断いたしました。(略)責任を持って各党を代表する国会議員が参加をし、学識経験者などに専門委員として参加を求めながら協議をする。もちろん、協議は公開をする。そして、政治主導で新しい年金制度を創設する」
小泉首相(自民党総裁)はこう答弁しました。
「3党合意に基づく与野党の協議機関の在り方についてでございますが、社会保障全般の一体的見直しに関し、先日、自民党、民主党、公明党の3党が合意されたことは大変意義深いことだと考えております」「開始時期なども含め、与野党でまず協議していただくべきものと考えております。いずれにせよ、政府としては、与野党の決定に従い必要な協力を行う考えであり、与野党間で建設的な議論が進められることを期待しております」
この通常国会直後の参院選で、民主党は改選第1党になりました。
翌年の通常国会では、衆議院と参議院の垣根を越えて「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議」ができました。
山本さんは両院合同会議で次のように発言してます。
「基礎年金の性格が、マクロ経済スライドがかかることによって変わりました。マクロ経済スライドを二階にかけることについては私は一定の評価をしますが、一階部分までかかってしまったがために、基礎年金とは何かという考え方が変わった。」
ところが、この10日後、小泉首相は「郵政民営化法案が参議院で否決されて衆参の意見が違っている」「国民の声を聞いてみよう」として、突如、衆議院を解散。民主党は小泉自民党にはしごを外されました。3党合意と両院合同会議は、小泉自民党が民主党をだまして抜き打ち郵政をするための道具だったのでしょう。しかし、私は当時の民主党執行部の判断は絶対に間違っていなかったと断定します。
それはさておき。もう一度上述の2004年の本会議に戻ります。
山本さんは2004年の本会議で、小泉首相に対して、こうも演説しています。
「政府案が成立をすれば年金保険料は毎年上がり、現在よりも3割の負担増となります。一方、給付は一律に15%カットされます。このような大改悪にもかかわらず、政府や与党は国民に対して明確な説明を行っておりません。これは国民に対する背信行為です。」
「政府案では、基礎年金にもマクロ経済スライドが適用される結果、15%カットされ、40年間保険料を払い続けた場合の給付額は現在の6万7000円弱から将来は5万7000円程度の価値しか持たなくなります。そのとき高齢者の基礎的生活を賄う費用は幾ら必要で、満額の基礎年金でその何割ぐらいが賄えるのでしょうか」。
「初代年金王子」の山本さんは、大阪選挙区選出の現職議員として、物価スライドやマクロ経済スライドを発動すると、とくに貧しい高齢者の給付が減るから、すべきではない、と主張しています。
時は移ろい、今も「3党合意」と「国民会議」があります。
そこで議論されていることは何か。
ことし2月20日の予算委員会で梅村聡さんはこう言いました。
「受益の負担と給付のお話、それから持続可能性ということに触れられたかと思うんですが、今日は、私はこの集中審議の中で、医療保険、例えばこれはもう既に五十年以上の歴史があります、あるいは生活保護、これも生活保護法が施行されて既に六十年がたっている、年金制度も五十年以上たっているという中で、本当に今の制度のままで突っ込んでいくことが、これは受益の負担と給付だけではなくて、この国の社会保障の持続可能性の中で本当にもつのかと、そういうことを是非閣僚の皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思います」
このように、梅村さんは「受益の負担と給付」だけではなく、「社会保障の持続可能性」を重視する考えを示しています。
3党協議の実務者である梅村聡さんの「年金の持続可能性」とは何か?
社会保障と税の一体改革に関する3党合意ができあがる20日前、衆院特別委で、現行制度である2004年年金改正法「100年安心プラン」を実現した公明党のある衆院議員は次のように語りました。
「実は、私は、参議院議員の時代が7年間ありますが、そのとき厚生労働委員会の理事を2年半やらせていただきまして、今質問しておりました坂口厚生労働大臣の時代であり、また、マクロ経済スライドが導入されました年金の改革のときの委員会の理事でございました」
「当時を振り返りますと、余りいい思い出がないものですから余り長く振り返りませんけれども、森ゆうこさんとか、今厚労副大臣をやっている辻さんに大分かわいがられまして、一日で理事懇を八回やらされて、小泉総理の年金記録を見るまでは委員会質疑をさせない、こういう激しい状況でございまして、我々、野党になってそこまでは激しくやったことはないと思いますので、ぜひ年金につきましてもしっかりとした議論をさせていただきたいと思っております」
「副総理は今までの御答弁の中で、マクロ経済スライドは厳しい制度だけれども、この年金制度を破綻させないメカニズムとしては非常に重要な改革だったという答弁を、今国会、何度もされているわけでございますが、このマクロ経済スライドは、当然、我々自公政権で導入した制度ですから、それは正当に評価していただいてありがたいお話なんですけれども、一方で、専門家から弱点が指摘されています。それは、今みたいなデフレ状況のもとではこのメカニズムが発動しないために、本来は、中長期的なマクロなスパンの中で、若い、支える、仕送りを送る側の人数が減っても制度自体が破綻しないように自動調整するメカニズムが、景気がデフレ状態だと発動しないという弱点があるわけでございます」
岡田克也副総理・社会保障と税の一体改革担当大臣は次のように答弁しました。
[画像]社会保障と税の一体改革に関する特別委員会で答弁する岡田副総理、2012年、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
「それから、マクロ経済スライドはデフレ下では機能しない、それはそのとおりであります。したがって、何らかのそれが発動できるような仕組みを考えなければいけない。もちろん、デフレを脱却することが第一とはいえ、今後ともデフレということは長いスパンをとれば起こり得るわけですから、そのときに、マクロ経済スライド的な考え方が、今の制度であれ新しい年金制度であれ、発動できないということではいけませんので、それはそれで何らかの改革が必要だというふうに思います。ただ、現時点では、マクロ経済スライド以前の問題として、物価スライドすらしばらくやってこなかったわけで、やはりこれはまずそこをやることが第一というふうに思っております。」
すなわち、
山本孝史さんは、「今を生きる庶民のために、デフレ下で物価スライド・マクロ経済スライドを発動して、年金を減らさないでくれ」と主張していました。
岡田克也さんと梅村聡さんは「今生まれた子供のためにも、物価スライド・マクロ経済スライドを発動して、年金を100年持続させてくれ」と主張しているのです。
実は、両者の言い分はまったく逆なのです。
大阪・船場の自宅で、兄がトラックにひかれて亡くなり、危険と隣あわせの場所に自宅を構え居ていた父の姿を見て育った山本さん。
そして、岡田さんと梅村さんは、大阪教育大学付属池田高校の同窓生です。同校出身の国会議員は意外と少なく、3人だけ。梅村政務官からバトンタッチした自民党の丸川珠代・厚生労働大臣政務官(東京選挙区候補者)と合計3名です。そして、3名とも小学校に通っていませんが、大阪教育大学付属池田小学校では、2001年6月8日、宅間元死刑囚による児童と教員23名が殺傷される事件が起きたということは、あまり表で言わなくても、みなさん心の中では記憶にあるでしょう。(参照・大阪教育大学ホームページ)。
ちなみに、この事件が起きたとき、当時の民主党で、「このような格差社会を象徴する小学校は廃止すべきだ」と主張した人を知っています。民主党というのは、一時が万事、自民党の特権階級議員へのねたみでできてきた政党です。だから、党内から、河村たかしさんも、松沢成文さんもいなくなりました。梅村さんも岡田さんみたいに民主党内でいじめられるかもしれません。しかし、政治家である以上、物価スライドを発動する。小泉内閣のお荷物、物価スライド特例水準を解消する。そのために10月から年金支給額が減ったと面罵されても、100年安心年金を守る。
それが、梅村さとしが山本たかしの命のバトンを引き継ぐ、ということなのです。
参院選大阪選挙区の1枚目(選挙区選挙)には、「梅村さとし」とお書きください。
[国会会議録検索データベースから引用はじめ]
159 - 参 - 本会議 - 20号
平成16年05月12日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=27495&SAVED_RID=1&SRV_ID=8&DOC_ID=8834&MODE=1&DMY=28781&FRAME=3&PPOS=9#JUMP1
○山本孝史君 ただいま議題となりました国民年金法改正法案等について、民主党・新緑風会を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
そもそも年金とは何か、公的年金の守備範囲をどこまでとするか、国民皆年金体制を維持するのか、今、公的年金にはその存在にかかわる根源的な問い掛けがなされています。
参議院は良識の府、理性の府と期待されております。衆議院の審議で明らかにならなかった事項はたくさんございます。本院においては、有識者や年金受給者、保険料支払者など幅広く国民から意見聴取をするため、参考人質疑を数回は行いながら、慎重かつ充実した審議を行い、損得で語られる年金制度から納得できる年金制度へ、損得から納得の年金制度へ再構築する第一歩としたい、そうしなければならない、この民主党の決意をまず申し述べておきたいと思います。
小泉内閣の七人の閣僚を始めとして国民年金保険料を納めていなかった国会議員が続出し、年金制度への不信を深め、政治への信頼を失墜させたことは誠に残念です。衆議院の本会議採決に当たって、未納期間があったにもかかわらず公表せず、国民に謝罪もしないままに賛成票を投じられた与党議員がおられるとすれば、政治家失格と言わざるを得ません。
(中略)
先に申し上げますが、民主党は政府案には断固反対であるとの態度は変わっておりません。このことは三党合意があっても変わりません。なぜならば、政府案は、現在の年金制度の体系を維持したまま給付を下げ保険料を上げるという、これまでの手法を繰り返す内容にとどまっているからです。ここ数年以内に行き詰まることは確実です。だれが喜んで穴の空いたバケツに水を入れるでしょうか。四割もの人が年金保険料の自主的な納付を期待することができない年金制度は、もはや破綻していると言っても過言ではありません。部分的な手直しのみで現行制度を延命させようとすることは、ただ時間を浪費するだけです。
公的年金制度への不信を解消するためには、分かりやすくてシンプルな新たな年金制度を創設する以外に方策はありません。民主党は、そのような考えから年金制度改革推進法案を衆議院に提出し、所得比例年金と最低保障年金を組み合わせた新たな年金制度をスタートさせることを提案しました。そして、法案には、政治主導による年金改革を進めるため、衆参両院に年金改革調査会を設置することも盛り込みました。
年金問題は、本来、国会で徹底した審議を行うべきです。ところが、自民、公明の両党は、数に物を言わせて、五年前の前回改正に続いて、今回も強行採決の暴挙に出ました。これでは国民から負託を受けた国会の責任が果たせません。参議院においては徹底審議が当然です。と同時に、年金改革は一、二か月で、国会審議で成し遂げられるものでもありません。
我が党は、責任野党として一元化を含めた年金制度の抜本改革を実現するために、今回の合意を決断いたしました。これは、超党派議員による年金改革に情熱を注がれた故今井澄議員の遺言でもあると私は受け止めております。
しかしながら、この与野党協議が密室での協議になったのでは国民不在になってしまいます。責任を持って各党を代表する国会議員が参加をし、学識経験者などに専門委員として参加を求めながら協議をする。もちろん、協議は公開をする。そして、政治主導で新しい年金制度を創設する。我が党は与野党協議機関をそのように考えていますが、総理も同じ御意見でしょうか。自民党総裁でもある総理には、与野党協議機関の構成やその運営に関してのお考えをお聞かせください。
また、与党には、本法案の委員会採決までに与野党協議をスタートさせることを求めます。総理の決意をお聞かせをください。
国会議員に未納者が出たことの背景には、議員の公的年金に対する関心の薄さがありますが、年金制度が複雑になっていることも原因です。
一般に、会社員は厚生年金、公務員等は共済年金、自営業者は国民年金と、制度が就業形態によって縦割りになっていると理解されていますが、これは正確ではありません。昭和六十一年の基礎年金制度の創設に伴って、すべての国民がいわゆる一階部分と呼ばれる国民年金に加入することになりました。この一階部分の上に、会社員や公務員には二階部分として所得比例年金が乗っているのです。これが年金制度の姿です。すなわち、年金制度は縦割りではなく、横割りになっているのです。
しかしながら、この国民共通であるはずの国民年金において、自営業者等の第一号被保険者、会社員や公務員の二号被保険者、会社員や公務員の妻、いわゆる専業主婦の三号被保険者と、被保険者は三タイプに区分され、就職や離職、転職の際には被保険者各自の責任において変更の届出をしなければならないため、未納や未加入が多数発生するという構造的欠陥があります。
すなわち、国民共通であるはずの国民年金が就業形態によって依然として制度が縦に分かれたままに運営がされているのです。しかも、自営業者や厚生年金の適用されないパート、フリーターなどは定額の一万三千三百円の国民年金保険料を毎月支払いますが、低所得者には過重な負担であるため四割が未納という状態です。一方で、医師や弁護士など、一千万円を超える高額所得者にとっては一万三千三百円という比較的軽い負担で済んでいます。
会社員は一三・五八%の厚生年金保険料を所得に応じて労使折半で負担していますが、申し上げたように、一階部分の国民年金と二階部分の厚生年金の双方の制度に加入しているにもかかわらず、保険料は一体のものとして支払をしています。そして、第三号被保険者は、自身では保険料を支払っていません。
基礎年金は、給付の仕組みは確かに一元化されました。しかし、負担の仕組みは依然としてばらばらなんです。この保険料の不公平な負担構造を是正して、国民年金保険料をすべての国民が所得に応じて公平公正に負担することこそが今求められている抜本的な年金制度改革につながるものであると確信します。だからこそ、我が党は年金制度一元化を提案したのであります。
自営業者の所得は正確に捕捉できないと答弁されますが、そのような答弁がまかり通ること自体が異常です。自営業者にも所得に応じて所得税や住民税を課税しながら、年金制度については所得が捕捉できないというのでいいのでしょうか。総理並びに財務大臣、厚生労働大臣の見解をお伺いをします。
政府案が成立をすれば年金保険料は毎年上がり、現在よりも三割の負担増となります。一方、給付は一律に一五%カットされます。このような大改悪にもかかわらず、政府や与党は国民に対して明確な説明を行っておりません。これは国民に対する背信行為です。
総理は、衆議院本会議で、公的年金としてのふさわしい給付水準の下限を、平均的な賃金で働いてきた被用者の専業主婦世帯の年金で見て五〇%と設定したと答弁されておられますが、この答弁は虚偽ではありませんか。給付水準五〇%は年金受給開始時のいっときのことであって、その後は年金受給期間が長くなるに伴って四〇%台の給付水準に落ちていくのではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
なお、国家公務員や地方公務員共済には所得代替率によって給付水準を設定するという発想がありません。また保険料固定方式も導入されていないのですが、これらはなぜですか。財務大臣並びに総務大臣の御答弁を求めます。
年金問題の本質は給付率よりも給付の実額であって、とりわけ基礎年金の給付額ではないでしょうか。政府案では、基礎年金にもマクロ経済スライドが適用される結果、一五%カットされ、四十年間保険料を払い続けた場合の給付額は現在の六万七千円弱から将来は五万七千円程度の価値しか持たなくなります。そのとき高齢者の基礎的生活を賄う費用は幾ら必要で、満額の基礎年金でその何割ぐらいが賄えるのでしょうか。現状と比較して御答弁ください。
今後は、介護保険や医療保険、さらには税負担も増えることが考えられますが、そのような非消費的支出の割合は、基礎年金の満額に対して現在はどの程度であり、将来はどの程度になるのでしょうか。
以上、厚生労働大臣の答弁を求めます。
基礎年金の国庫負担率の引上げについてお尋ねします。
財政審に提出された資料によれば、所得階級五千万円を超える者では二四・二%の者が、一千万円を超える者では二一・九%が公的年金の給付を受けています。このような高額所得者に対する基礎年金においても税金の割合を増やすことは妥当でしょうか。厚生労働大臣並びに財務大臣の答弁を求めます。
厚生年金の保険料負担について総理にお尋ねします。
これ以上の保険料引上げは更なる未納・未加入問題を引き起こすと考えるのが当然です。民主党は、国民年金にとどまらず、厚生年金も空洞化が進展していることを深刻に受け止めています。厚生年金の保険料は一五%が限度との主張が聞かれますが、総理の認識を伺います。
無年金障害者の救済策については今国会の閉会までに結論を出していただきたい。厚生労働大臣の答弁を求めます。
最後に、議場の皆様に申し上げます。
年金改革はこの国のありようを決める大事業であります。そして、我々は国民の代表であります。すべてはこれからであります。年金改革について、これからのこの国のありようについて、この参議院において真摯に、真剣に、そして徹底的に議論しようではありませんか。
民主党は全力で参議院での法案審議に取り組むとともに、安心できる新しい年金制度を必ず構築するとの決意を再度申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=27495&SAVED_RID=1&SRV_ID=8&DOC_ID=8834&MODE=1&DMY=28781&FRAME=3&PPOS=10#JUMP1
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 山本議員にお答えいたします。
保険料の未納に関する閣僚の責任の取り方についてでございますが、福田前官房長官はけじめを付ける意味で辞職されたものであり、残念なことでありますが、他の閣僚には引き続き様々な課題に対しての閣僚としての職責を全うするように全力を挙げることでその責務を果たしてもらいたいと考えております。あわせて、今後こうしたことのないよう各人が十分に注意するとともに、先般の三党合意の内容を踏まえ、必要な対策を講じていくことが重要だと考えております。
国会議員の年金保険料納付状況の公表についてでございますが、国会においても様々な議論があり、その公表について各党それぞれの判断により対応しているところであると承知しております。基本的には議員個々人の判断によるべきものと考えております。
なお、今後の議論に当たっては、三党合意にある社会保障制度全般の見直し、年金の未納問題についての改善策など、より建設的な議論を期待しております。
三党合意に基づく与野党の協議機関の在り方についてでございますが、社会保障全般の一体的見直しに関し、先日、自民党、民主党、公明党の三党が合意されたことは大変意義深いことだと考えております。
この三党合意に基づき設置されることとなる与野党による協議会については、国会議員に加え有識者に委員として参加していただく方式や、委員は国会議員だけとするが随時有識者から参考意見を聞く方式など様々な形態があると思います。開始時期なども含め、与野党でまず協議していただくべきものと考えております。いずれにせよ、政府としては、与野党の決定に従い必要な協力を行う考えであり、与野党間で建設的な議論が進められることを期待しております。
自営業者の所得把握についてでございますが、全国民を通じた一元的な所得比例年金を導入するためには、すべての被保険者について公平な保険料を賦課するための基礎となる所得をどうとらえるかが主要な論点であります。
自営業者等の所得把握については、自営業者約一千万人に対し事業所得税を納付している者が約二百万人にすぎず、税法上の所得がないとされる者が多数存在する中で、公平かつ適正な保険料賦課の基となる所得の範囲をどのようにするかなど、幅広い議論を慎重に重ねていくべき問題と考えております。
給付水準の下限についてでございますが、通常、老齢期の生活は現役期の延長線上にあることを踏まえ、現在の年金制度の仕組みにおいては、引退して年金を受給し始める六十五歳の時点においてはそれまでの賃金上昇を反映して年金額が算定され、それ以降は物価スライドによりその購買力を維持することとしております。
したがって、これまでも、現役の平均手取り賃金と比較した給付水準については、引退して年金を受給し始める六十五歳の時点における割合で示してきており、この点は今回の改正においても同様でありますので、答弁の内容に問題があったとは考えておりません。
なお、既に年金を受給している方について、受け取る年金額とその時々の現役世代の平均手取り賃金を比較すれば、徐々にその比率は逓減していくこととなります。高齢になるほど消費水準は低下する傾向にあること等も踏まえれば、高齢者の生活の安定が大きく損なわれることはないと考えております。
厚生年金の保険料負担についてでございますが、今回の改正案では、厚生年金保険料の引上げについては、仮に現行制度のままで維持した場合、二六%程度まで引上げが必要なところ、将来の現役世代や企業負担が過大とならないよう配慮して、一八・三%と相当程度抑制を図ったところであります。
保険料の引上げによって、確かに保険料を引き上げない場合に比べて企業や個人の負担は大きくはなりますが、企業にとっても年金は労働者の老後の不安等を解消することで活力ある経済活動の基礎となること、保険料を引き上げない場合、かなり大幅な給付の抑制が必要となるが、その場合の高齢者の消費に与える影響や現役世代の老親扶養負担が増加することなどを併せて総合的に考える必要があると思います。
先般の三党合意にあるとおり、年金保険料については社会保障全体の在り方の検討状況や社会経済情勢の変化などの事情を勘案して、必要に応じ検討を加えていく考えであります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=27495&SAVED_RID=1&SRV_ID=8&DOC_ID=8834&MODE=1&DMY=28781&FRAME=3&PPOS=11#JUMP1
○国務大臣(坂口力君) 山本議員にお答えを申し上げたいと存じます。
まず、山本議員が最初に、損得から納得の制度へということをおっしゃいましたが、私も全く同じ思いでございます。
自営業者の所得把握についてのお尋ねがまずございまして、総理からも御答弁のあったところでございますが、すべての被保険者につきましての公平な保険料賦課ベースとなります所得の把握が不可欠であることは御指摘のとおりだというふうに思います。
しかし、現状から申しますと、先ほど総理からも御答弁がありましたとおり、第一号被保険者の中には税法上の所得がない者が相当数存在をいたしております。自営業に従事する人約一千万人の中で事業所得税を申告納税している人は約二百万人程度でありますから、こうしたことを考えますと、自営業者等につきまして現在の課税所得をそのまま所得比例の保険料の賦課ベースとした場合には、給与のほぼ全額を対象にしており、保険料にしておりますサラリーマンの方との間で大きな不公平が生じるというふうに思います。
このような自営業者の所得把握の在り方について、税法上の所得も含めまして公平かつ適正な保険料賦課ベースとなります所得の範囲の定め方のルールの構築が必要でございまして、幅広い議論を十分に重ねていくべき問題であるというふうに思っているところでございます。
基礎年金の水準についてお話がございました。
基礎年金制度につきましては、全国民共通の給付として老後生活の基礎的な部分に対応した給付を行うものでありまして、現在の夫婦の基礎年金の水準の十三・二万円は、高齢者夫婦世帯におきます衣食住を始めとする老後生活の基礎的な部分をカバーする水準と思っております。
改正法案におきまして導入することとしておりますマクロ経済スライドによります調整後の基礎年金の額を年金を受給し始めます六十五歳時点の年金額で見ますと、基礎となります経済等の諸条件の下で、夫婦二人で、平成三十七年、二〇二五年には、賃金上昇、物価上昇を加味した名目額で十六・五万円、物価上昇分を割り引いて十三・四万円という数字になります。平成六十二年、二〇五〇年をもう一つ同じ前提で申し上げますと、名目額で二十七・八万円、物価上昇分を割り引いて十七・六万円というふうになります。現在以上の基礎年金の水準は確保できるというふうに見込んでおります。
一方、これまで高齢者夫婦世帯におきます衣食住を賄います費用は、物価上昇率とほぼ同程度の伸びとなっております。二〇二五年、二〇五〇年でも物価上昇分を割り引いて現在以上の基礎年金の水準を確保できるのであれば、今後も基礎年金は老後生活の基礎的な部分に対応できるものと考えている次第でございます。
基礎年金の非消費支出の関係についてお尋ねがございました。
平成十六年度におきます老齢基礎年金満額の、いわゆる月額でございますが、満額の二人分は約十三万円、十三万二千四百円であります。また、平成十四年家計調査におきます高齢夫婦の無職世帯の社会保険料や税等の非消費支出は二万三千六百八十四円でございます。年金を受給し始めます六十五歳時点の年金額で見た基礎年金の額は、基準となります諸条件の下では、夫婦二人で、先ほども申しましたとおり、二〇二五年におきましては名目額で十六万五千円、物価上昇分を割り引いて十三万四千円でございます。
また、高齢世帯の社会保険料や税のいわゆる非消費支出につきましては、今後の少子高齢化の進行状況、あるいは社会保障の負担の増大が見込まれます中で高齢者の負担をどのように考えていくか、総合的に考えていかなければならないと思います。高齢者の負担能力を勘案しつつ、応分の負担を求めていくことになるというふうに思います。
それから、高額所得者と国民負担についてのお尋ねがありました。
現行制度の基礎年金に対する国庫負担は、現役世代全体の保険料拠出総額に対して一定割合で行われております保険料負担を軽減するものであります。個々の高齢者の給付について国庫負担を行う仕組みではなくて、高齢者の所得の状況によって国庫負担の引上げ方を変え、年金額を変えるという制度とはなっておりません。
また、高額所得者につきまして年金の給付制限を行うことにつきましては、あらかじめ保険料を拠出して備えたにもかかわらず事後の状況によって給付が行われたり行われなかったりすることになりまして、拠出に応じた給付を行うという社会保険方式の基本が損なわれるという問題があるとも考えております。
しかし、年金受給年齢になっても働ける高齢者につきまして、今後負担の増加する現役世代とのバランスを考え、今回の年金制度改正案におきましては、七十歳以上の被用者で、賃金と報酬比例年金の合計が現役世代の平均賃金の水準以上となる方につきましては一定の支給調整をお願いをしまして、保険料を負担する現役世代とのバランスを取ることといたしております。
今年度の税制改正におきまして、より公平な負担となる観点から、高齢者を一律に優遇する措置であります公的年金等控除や老年者控除の見直し等を行いまして、年金を含めて負担能力に応じた適切な税の負担をお願いをし、その税収を基礎年金国庫負担の引上げに充てる措置を講じたところでございます。
最後になりますが、無年金障害者の救済策につきまして、これはお尋ねがございました。
年金を受給していない障害者の方々への対応につきましては、私自身も平成十四年七月に対応の試案を発表させていただいたところでございまして、その後も検討を進めてまいりました。現在、国会におきましてもいろいろとお話をしていただいているというふうにお聞きをいたしておりますが、今国会で成立しますよう私も最大限の努力をする決意でございます。
以上、御答弁を申し上げました。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
両 - 年金制度をはじめとする… - 8号
平成17年07月29日
○山本議員 民主党・新緑風会、山本孝史でございます。
この場における議論でいつも若干の混乱を生じているのは、現行制度を前提に話されている方と、新しい制度をイメージして話している方と、その場がそれぞれに絡み合うものですから、うまく議論が重なってこないのかなというふうに思います。
現行制度を前提にきょうの議題で申し上げれば、今回の改正で、私、何回も申し上げておりますように、基礎年金の性格が、マクロ経済スライドがかかることによって変わりました。マクロ経済スライドを二階にかけることについては私は一定の評価をしますが、一階部分までかかってしまったがために、基礎年金とは何かという考え方が変わった。予算委員会での御答弁で、年金局長は、従来の積み上げ方式ではもうないのです、これは一定額を支給するものになったんです、こういう御説明をされました。基礎というのじゃなくて、ある普遍的な年金ということに、ここは性格が全く変わってしまったのだと思います。
そうしますと、次に出てくる問題は、補足性の原理が生活保護にあるということですね。どうしても二十五年以上払わないともらえない、四十年でようやく満額になる。そしてまた、それでも水準が生活保護よりも低いということになると、現行制度ではなかなか保険料を払うインセンティブが働かなくなってくるのではないか。そうしますと、基礎年金もマクロ経済で下がる、生活保護水準が高いからというので、多分、財政上悪いから生活保護も下げるということになってきて、両方がともに下がっていくという形に今の与党の考え方ではなるのではないかと思います。
そういう意味で、一体低所得者というのがどこにどういうふうに生まれてくるのかということについてのもう少しきっちりとした議論が要るのではないかと思います。
それともう一つの問題は、阿部先生と意見が一致しますが、基礎年金はバーチャルな制度なんですね。これは単なる財政調整をしているだけなんです。給付は払った月数で一元化されていますが、納付の仕組みは一号、二号、三号でそれぞれに違う。ここに世代内において大変に不公平が残っている。これをどう解消するかというときに、やはり一元的な負担の仕組みを考えるべきではないか、こう申し上げている。
ところが、サラリーマンと自営業者の間での所得の捕捉は、どこまでいっても両者で理解が一致しないのではないかと思います。なぜならそれは、経費をどう外すか、給与控除をどう見るか、事業の控除をどう見るかによって、所得というものは一致しているかもしれないが、もともとのものは違うのかもしれない。この差をどこまで埋め切れるのか、どこまでいったら両者が合意できるかという努力をしてみようというのが古川さんの御提案だと私は思っています。
その意味では、いろいろな税制の改正はしなければいけない。納税者番号にしても、あるいは全員が申告納税をするという仕組みもやはり考えなければいけないのではないかと思います。
歳入庁構想を申し上げているのも、なぜ国税庁が社会保険庁と一緒になるのが嫌なのかなというふうに思いますが、しかし、そこはそういう歳入庁構想を考えてみるべきで、伊吹先生、なぜできないとおっしゃったのか、ぜひお答えもいただきたいと思います。
そういうことで申し上げているのは、一階と二階の保険料を分けるというのは一つの考え方なのではないか、現行制度を前提にして考えるならば。そうすれば、阿部さんがおっしゃったようなパートタイマーに対する適用の問題も、保険料率が下がるという意味において、事業主も、あるいは御本人もパートでも払うという意識が出てくるのかなというふうに思うので、そこは現行制度を前提にすればそういう考え方ができるかもしれない、こう申し上げている。
スウェーデン方式はスウェーデン方式でいろいろな議論がありますけれども、日本型のスウェーデン方式を考えなければいけないと思うので、必ずしも今のスウェーデン方式がすぐ日本でできるとも思わない。
申し上げているように、できるだけ、税制であれ何であれ、合意できる部分の整理というものもこの議論の到達点として少しなさるのが次に対する議論の進め方としてはいいのではないかと思っております。
以上です。
参 - 予算委員会 - 4号
平成25年02月20日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=27495&SAVED_RID=6&SRV_ID=10&DOC_ID=432&MODE=1&DMY=7256&FRAME=3&PPOS=7#JUMP1
○梅村聡君 受益の負担と給付のお話、それから持続可能性ということに触れられたかと思うんですが、今日は、私はこの集中審議の中で、医療保険、例えばこれはもう既に五十年以上の歴史があります、あるいは生活保護、これも生活保護法が施行されて既に六十年がたっている、年金制度も五十年以上たっているという中で、本当に今の制度のままで突っ込んでいくことが、これは受益の負担と給付だけではなくて、この国の社会保障の持続可能性の中で本当にもつのかと、そういうことを是非閣僚の皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思います。
まずは、今総理がお触れになりました昨年の一体改革の中で、議員立法と成立をしました社会保障制度改革推進法であります。これは、三党で協議をした中で、医療や介護や年金、子育て、そういった改革の方向性の基本姿勢が述べられているわけでありますが、同時に、社会保障制度改革国民会議を設置をして、この設置期限が今年の八月二十一日であります。
そして、この推進法の中にも、一年以内にきちっと必要な法制化を措置するという文言が書いてありますが、この国民会議、これまで十一月から始めて四回開催をされています。八月二十一日の期限ということが後ろ決まっておりますから、これ、どういっためどで、期限のめどですね、この国民会議として結論を出すのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
[001/001] 180 - 衆 - 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会 10号
平成24年05月29日
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=27495&SAVED_RID=3&SRV_ID=9&DOC_ID=11073&MODE=1&DMY=8564&FRAME=3&PPOS=255#JUMP1
○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。
当特別委員会では初めて質疑をさせていただきますが、実は、私は、参議院議員の時代が七年間ありますが、そのとき厚生労働委員会の理事を二年半やらせていただきまして、今質問しておりました坂口厚生労働大臣の時代であり、また、マクロ経済スライドが導入されました年金の改革のときの委員会の理事でございました。
当時を振り返りますと、余りいい思い出がないものですから余り長く振り返りませんけれども、森ゆうこさんとか、今厚労副大臣をやっている辻さんに大分かわいがられまして、一日で理事懇を八回やらされて、小泉総理の年金記録を見るまでは委員会質疑をさせない、こういう激しい状況でございまして、我々、野党になってそこまでは激しくやったことはないと思いますので、ぜひ年金につきましてもしっかりとした議論をさせていただきたいと思っております。
持ち時間は三十分ですので、早速一問目、岡田副総理に伺いたいと思います。
先般閣議決定されました政府の社会保障・税一体改革の大綱でございますが、十七ページにこういう記述があります。ちょっと引用させていただきます。
「新しい年金制度の創設までには、一定の時間を要する。また、新しい年金制度の創設を行っても、新しい年金制度からの年金給付のみを受給する者が出てくるには相当の期間が必要であり、その間は新制度と旧制度の両方から年金が支給されることとなる。このため、新しい年金制度の方向性に沿って、現行制度の改善を図る。」こういう記述がございます。
副総理はもう御承知だと思いますが、この説明は、二〇〇九年の総選挙のときの民主党のマニフェストには書いていない記述でございますが、実は、今の政府の立場で整合性をとるためにはこういう論理を出さざるを得なかったわけですね。
ですから、もう過去の話は余りごちゃごちゃ言いませんけれども、当時、有権者の皆さんは、民主党政権が誕生すれば新しい年金制度がすぐ出てくるという印象を持ったことは間違いないわけでございます。そのことに対する指摘は、もう今まで私以外も含めてさんざん同僚議員がやってきましたから、あえて申し上げません。
では、そこで、今ここの大綱に出てくる記述に沿って聞きたいんですが、仮に、民主党のまだ見ぬ新しい年金制度が成立をしたとして、今の現行制度、これは旧制度ですね、今の旧制度、現行制度と新しい制度の併存期間というのは何年なのかということについて、副総理からお話を聞きたいということと、もう一つは、二つの年金制度を併存させて運営するわけですから、当然、一つの制度を運営するときよりもコストがより高いと思うんですね。そのコストについての試算というものを政府としてきちんとしているのかどうか。
当然、一つの現行制度をずっと改善して運用することに比べれば、新しい最低保障年金とか一元化したものを、もう一つの制度を運用するときにコストの差が出てくる可能性がある。そうすると、そこの追加負担についても、例えば消費税の財源を充てるのか、その他の手当てをするのか、こういう議論が当然出てくるんです。
ですから、これはちょっと先走った論点かもしれませんけれども、当然、皆様方が制度設計をきちんとして来年の通常国会に法案を出すときは、大事なポイントになります。今の時点でどういう認識でおられるのか、お答えいただきたいと思います。
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=27495&SAVED_RID=3&SRV_ID=9&DOC_ID=11073&MODE=1&DMY=8564&FRAME=3&PPOS=267#JUMP1
○遠山委員 ほかが詰まっていないから副総理もそういう答弁をするしかないと思いますが、いずれにしても、今の私のこの短いやりとりの中でも本当に基本的なところが詰まっていない。だから私たちは、社会保障改革の基本的な像までまだ出ていませんよ、それで消費税の増税だけ話をするんですかと言っていることは御理解いただきたいと思います。
次に参りますが、副総理、副総理は今までの御答弁の中で、マクロ経済スライドは厳しい制度だけれども、この年金制度を破綻させないメカニズムとしては非常に重要な改革だったという答弁を、今国会、何度もされているわけでございますが、このマクロ経済スライドは、当然、我々自公政権で導入した制度ですから、それは正当に評価していただいてありがたいお話なんですけれども、一方で、専門家から弱点が指摘されています。
それは、今みたいなデフレ状況のもとではこのメカニズムが発動しないために、本来は、中長期的なマクロなスパンの中で、若い、支える、仕送りを送る側の人数が減っても制度自体が破綻しないように自動調整するメカニズムが、景気がデフレ状態だと発動しないという弱点があるわけでございます。
そういう観点からも実はデフレ脱却が大事だ、これはもう与野党を問わず、いろいろな議員がこの委員会でも言ってきたと思いますけれども、それはなぜ大事かというと、一つの観点は、一つにすぎませんが、デフレ脱却をしないと、年金の自動維持装置であるマクロ経済スライドも発動しない。だから、我々公明党は、消費税の増税の論議もいいけれども、デフレ脱却も社会保障の年金の観点からも大事じゃないかという指摘をしているわけですが、副総理、これはどういう御理解ですか。
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=27495&SAVED_RID=3&SRV_ID=9&DOC_ID=11073&MODE=1&DMY=8564&FRAME=3&PPOS=268#JUMP1
○岡田国務大臣 まず、デフレ脱却、一定程度の、我々は名目三%というふうに言っておりますが、そういった経済成長が重要であることは間違いありません。我々もそのことをぜひ実現しなければならないというふうに考えております。ただし、それを今回の消費税引き上げの条件にはしないということでございます。
それから、マクロ経済スライドはデフレ下では機能しない、それはそのとおりであります。したがって、何らかのそれが発動できるような仕組みを考えなければいけない。もちろん、デフレを脱却することが第一とはいえ、今後ともデフレということは長いスパンをとれば起こり得るわけですから、そのときに、マクロ経済スライド的な考え方が、今の制度であれ新しい年金制度であれ、発動できないということではいけませんので、それはそれで何らかの改革が必要だというふうに思います。
ただ、現時点では、マクロ経済スライド以前の問題として、物価スライドすらしばらくやってこなかったわけで、やはりこれはまずそこをやることが第一というふうに思っております。
自民党が小此木八郎副幹事長(衆院議員)の名前で、TBSに対して同党役員会メンバー(安倍総裁と幹事長・政調会長ら)への出演や取材を拒否することを文書で伝えました。自民党本部内などにある「平河クラブ各社」に対しても、その旨を通知しました。自民党の説明によると、ニュース23で、参議院が会期末に、「電気事業法改正法案」が首相問責決議を可決のあおりで審議未了廃案となったさいに、識者の声を間にはさんだことについて、その人が仲がよいソフトバンクの社長室長が元民主党衆院議員だ、などという理由から、「公平ではない」という趣旨のことをTBSに抗議していたようです。
[日本国憲法の現行13条]すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
[同21条]集会、結社および言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
とありますが、これを
[自民党憲法改正草案13条]全て国民は、人として尊重される。生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、公益および公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。
[同21条]集会、結社および言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。前項の規定にかかわらず、公益および公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。検閲は、してはならない。通信の秘密は侵してはならない。
と変えるのが自民党憲法改正草案です。
つまり、「公共の福祉」という言葉を「公益および公の秩序」に書き換えているようで、実は「前項の規定にかかわらず認められない」のだから、ときの政府の「公益および公の秩序」の判断で、表現の自由などの基本的人権が制約できるのです。
こんなの、憲法学者だって、とっさに気づかない、見事なすりかえですよ。
この場合、「公益および公の秩序」を誰が判断するか、となると最終的には最高裁判所です。しかし、その前に、「公益および公の秩序を守るため」と与党が判断して「○○規制法案」を提出して、衆参とも過半数で可決され、公布、施行されれば、最高裁判決が出るまでの期間(場合によって数年間)、行政による基本的人権の制約が可能になります。
民主党の細野豪志幹事長は、報道を受けて、「自民党が、自らの演出を見抜かれた腹いせをしている。選挙中の与党の取材拒否は報道機関にとっては致命傷になる。衆参で権力を持てば、報道機関への圧力をさらに強めるであろう。」とつぶやきました。
自民党が、自らの演出を見抜かれた腹いせをしている。選挙中の与党の取材拒否は報道機関にとっては致命傷になる。衆参で権力を持てば、報道機関への圧力をさらに強めるであろう。RT @47news: 自民、TBS取材拒否 報道内容に抗議 http://t.co/H9c6QaSVDS
— 細野豪志 (@hosono_54) July 4, 2013
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細野幹事長は5月2日(木)の定例記者会見で、翌日の憲法記念日をふまえて、自民党の憲法改正草案について、特に「改正21条」について懸念を示しました。
「(いま、この会見場で目の前にいる)メディアの皆さんにはもう少しそこは自らの目を見開いて見ていただきたいと思うのは21条です。(自民党案では)表現の自由を「公益および公の秩序」で制限できるんですね。」
「自民党の改正案は、21条の2項を加えて、そこに極端な制約をかける形になっていますが、そこはあまり私がああでもない、こうでもないと言わないほうがいいのかもしれないけれど、やはり表現の自由を公権力が規制するというのが前面に出るのは私は問題だと思いますね。権利全体に対して「公共の福祉」で、ある種の限界を設けているのは、確かに現行憲法もそうなんですが、「公共の福祉」の中身としてはこれはまさに私権同士の調整ですね。つまり、ある個人の権利がある個人の違う権利なりもしくはいろんなものを、個人同士の調整の原理として「公共の福祉」が解釈されてきたという経緯がありますので、そこを大幅に踏み越える可能性がある改正になっていると思います。それを新たに書いたほうがいいのか、もしくはそのままというほうがむしろ好ましいのか、そこは議論があるところだと思いますね」
と。
このときの細野発言は今回の「自民党TBS事件」を予言しています。
私もこの会見で質問していますが、あくまでも、憲法改正後についての想像だったのですが、まさか改正草案を先取りするとは。
今の日本国憲法では、表現の自由など基本的人権は、個別的に制限の根拠や程度を規定しないで、「公共の福祉」による制約が存在する旨を一般的に定める方式をとっています。現行12条で「国民は基本的人権を公共の福祉のために利用する責任を負う」とし、続く13条で「国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、国政の上で最大の尊重を必要とする」としています。この「公共の福祉」という言葉は日常生活では耳慣れないのですが、最高裁判所などの判例が積み重なっています。たとえば、「薬局を開くときは今ある薬局と距離を置けなければならない」という薬事法は、「公共の福祉」よりも「職業選択の自由」が重いと判決。薬事法は改正され、今のように病院の前にたくさんの薬局がしのぎを削る現状になっています。(参考文献・芦部信喜「憲法」)
一方、報道の自由と言う言葉は日本国憲法にありません。しかし、報道は事実を知らせるものであり、報道の自由も表現の自由に含まれます。これは報道のために報道内容の編集という知的な作業が行われる点から言っても、異論はありません。 さらに報道の自由に取材の自由が含まれるかについて判例は明確ではありませんが、報道は、取材→編集→発表という一連の行為によって成立する物なので、取材は報道にとって不可欠の前提。したがって、取材活動は公権力の介入から自由でなければなりません。(参考文献・芦部信喜「憲法」)
よって、自民党がTBSの取材を制約した場合、芦部先生が「報道の不可欠の前提」と断定した「取材の自由」が崩されますから、ニュース番組そのものがつくれないことになります。報道どころか同社の経営にかかわりかねない強烈なしめつけです。自民党は見えないところでしめつけてきたんでしょうが、「平河クラブ各社」に発表するとは、しめつけにも奢りが出てきたというなんだろうと推測します。
で、なぜ自民党憲法改正草案はこんなにひどいかというと、野党期につくったので、談論風発だけどバランス感覚がきかず、政権復帰に向けて、ネットウヨ、自民党サポーターズクラブに受けることを盛り込んだので、いびつな物になってしまったのでしょう。谷垣総裁(当時、現谷垣法相)がこんな草案を主導してつくったようには思えません。
私も長年の改憲論者。だからこそ、できの悪い自民党憲法改正草案はいっぺん破棄して、作り直してほしいと願います。
[細野豪志幹事長記者会見2013年5月2日(木)の憲法該当部分から引用はじめ]
(前略)
○憲法改正について
【日本テレビ・亀甲記者】
憲法96条を先行して改正するかどうかで各党スタンスが分かれている。民主党としての現在のスタンスを伺いたい。
【幹事長】
あす憲法記念日ですので代表の談話を発表したいと思います。その文面を確認していただければ、現段階の私どものスタンスは皆さんにご確認いただけると思います。 大事なことは、しっかりとどういう中身を憲法として考えていくのかということに尽きると思うんですね。幾つかの踏み込んだ我々としての提案が必要な時期に来ていると思います。
憲法調査会については長島昭久さんにも役員に加わってもらって、さらに活動をしっかりしていくことになっていますので。私自身もできれば憲法調査会そのものの会議に出席して議論の推移を見守り、必要があれば発言もしてまいりたいと思います。
96条というのはその改正をする手段ですので、それが先行することは必ずしも本来の姿ではない。むしろ国民の皆さんに、民主党は改正としてこういうことを考えているんだという中身がしっかりわかっていただけるような活動を、民主党としてしていくことが重要ではないかと思います。
もう1つは、やはり96条ということを考えた場合に、憲法について民主党と同じ考え方のグループがどれぐらいあるかということの見きわめも重要です。そういう観点からすると、例えば自民党、9条の「国防軍」の考え方、これは交戦権も認める形になりますので、これまでの考え方を大きく転換する、まさに安倍総理がおっしゃっている「戦後からの脱却」です。こういう考え方に私どもは立ちません。
さらにメディアの皆さんにはもう少しそこは自らの目を見開いて見ていただきたいと思うのは21条です。(自民党案では)表現の自由を「公益及び公の秩序」で制限できるんですね。今衆議院では自民党が過半数をはるかに超えています。参議院で過半数を超えれば、憲法改正ができるようになるんですよね。それをメディアの皆さんが本当にこぞって歓迎されるのかどうか、ここはそれぞれの皆さん、ジャーナリストとして目を見開いてごらんいただいたほうがいいと思います。
街頭でも申し上げましたが、私は3・11を経験して、非常にあの危機的な状況の中で、当時はやはり権力というものをどう運営するかということを考えざるを得ない立場になったわけです。あれだけの状況ですから、原発に対する事故の報道であるとか、さらには瓦れきの処理であるとか、さらにはその後の再稼働のときなどに例えばいろいろな報道であるとか、さらにはネット上のいろいろな情報であるとか、もう少し政府としてはこちらの伝えたいことを酌んで表現をしてもらいたいという、個人的にはそういう思いを持ちましたよ。
しかし、権力者である以上は、それを私権を制限するという形でやってはいかんのですね。私は、日本人はあの災害の危機的な状況においても、いろんなことがありましたけれども、トータルに言うと非常に冷静に行動した、そういう国民だと思います。そういった国民性を信じて、そして日本の権利、自由、一番端的には表現の自由ですけれども、守っていくというのが私は民主党のあるべき姿だと思います。
そのあたりについてのメディアの皆さんの危機感はやや薄いと思いますね。皆さん下を向いて(パソコンを)打っておられるけれども、ちょっと顔を上げてください、こういうときは。一人一人の本当にジャーナリストとしてのそこは見識に問いたいと思います。本当にそれでいいんですかと。簡単に2分の1とおっしゃっている。その先も自民党は示しています。それで本当に皆さんはいいんですか、ということを考えてください。その上で皆さんは自由に報道する権利があるわけだから、それを行使していただいたほうがいいと思います。
すみません、ややちょっと踏みこんで言い過ぎたかもしれませんが、せっかくの機会ですので。
【フラーランス・宮崎記者】
自民党の「公益及び公の秩序」という言葉は、確かに戦前の治安維持法のようなものが憲法違反でなくなるのではないかという感じがする。自民党は憲法改正草案を新旧対照表付きでつくっていて、非常にわかりやすい。議論のたたき台として、こういった憲法改正草案のようなものを民主党としてまとめるお考えはあるか。
【幹事長】
憲法改正の国民投票のあり方がまだ決まっていないんですね。ただ、どういうやり方にするにしても、まずは国民の中で合意ができるものについてしっかりと国会内で議論して、最終的に国民投票にしっかりと付していくのがあるべき姿だと思うんです。そういうことを考えれば、今の段階で民主党として最優先で変えていくべきものはどこなのかということが提案できれば、十分に今のこの時代のニーズに合っていることになると思います。例えば、幾つかの条文についてわが党として改正の具体的な案を示すことは、憲法調査会の議論を通じてあり得ると思います。そこはしっかりと議論して方向性を出していきたいと思います。
2005年の「憲法提言」は5年ほど議論してつくり上げていますので、相当練られたいい提案だと私は思っています。それをさらに具体化する作業としてどうメリハリをつけた提案をしていくのか、そこはこれからのわが党としての作業になってくると思います。
【「FACTA」・宮嶋記者】
その96条のいわゆる硬性憲法(通常の法律より厳重な手続によらなければ改正できない憲法)の考え方だが、おそらく公明党は憲法3原則のところについては硬性憲法を守りたいが、96条の入り口について緩やかにしたいようにも見える。今の民主党の主張は96条の議論についてもどうするのかいまひとつ見えない。ある程度草案とか素材を出してこないと水かけ論になる。硬性憲法の部分についてはどんな立場でやっていかれるのか。
【幹事長】
まず申し上げなければならないことは、今憲法改正に最も積極的なのは自民と維新だと思うんですが、この二つの政党とわが党とはよって立つ憲法に対するスタンスが180度違うということです。どこが違うかというと、戦後の60年以上の歴史、現行憲法の果たしてきた役割についてわが党は積極的に評価しているわけです。特に3原則、すなわち基本的人権と国民主権と平和主義を守ってきたことについて評価をしているんですね。ですから我々が改正条文を出すとすれば、それをさらに発展させる形での提案ということになるわけです。
一方で維新は、この歴史そのものを「孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め」と、まさに正面から否定しているわけですから、そういう憲法を考えておられるんだと思います。
自民党は、「戦後レジームからの脱却」と言っている安倍総裁が総理をやっておられて、憲法についても、私からすれば立憲主義を十分理解したとは解しがたいような提案が出てきているということです。
まず重要なことは、そこの出発点が大きく違う勢力が今度の参議院選挙で戦うので、国民の皆さんがどちらを選ばれるのかということが極めて重要だということです。そのうえで私どもも憲法の議論はしっかりと受けて立とうと思っています。これだけ非常に大きな国民の関心を呼んでいますし、それに対してこたえ得るような提案はしっかりしたいと思います。
その中で96条を二つに分ける考え方があるのは私も理解はしています。ただ、これなかなか悩ましいですよ。例えば3原則といった場合に、民主主義、民主主義の制度というのは、もちろん選挙制度が民主主義の制度ですけれども、三権分立であるとか、例えば国会の仕組みであるとか、内閣の仕組み、わが国は議院内閣制ですからね。これもすべて民主主義の連続線上にある仕組みなんですよね。じゃあどこまでが3分の2で、どこまでが2分の1かということを分けるのはなかなか困難な作業だと思いますよ。
ですから、そこから入るよりは、やっぱりそもそも憲法の中でどの条文を前向きにこれからの時代に合ったものにしていくべきなのかという議論から入るほうが建設的なのではないかと私は思います。
(中略)
○憲法改正について
【テレビ朝日・平元記者】
先日のぶら下がりでも、最優先のものについては条文化をやっていくべきだという考えを示された。きょうの話で表現の自由などについて強い関心をお持ちだとわかったが、そのほか条文化を目指していきたいのはどういったところを今お考えか。
【幹事長】
21条ははたして変える必要があるのかという議論だと思います。たしか自民党の改正案は、21条の2項を加えて、そこに極端な制約をかける形になっていますが、そこはあまり私がああでもない、こうでもないと言わないほうがいいのかもしれないけれど、やはり表現の自由を公権力が規制するというのが前面に出るのは私は問題だと思いますね。権利全体に対して「公共の福祉」で、ある種の限界を設けているのは、確かに現行憲法もそうなんですが、「公共の福祉」の中身としてはこれはまさに私権同士の調整ですね。つまり、ある個人の権利がある個人の違う権利なりもしくはいろんなものを、個人同士の調整の原理として「公共の福祉」が解釈されてきたという経緯がありますので、そこを大幅に踏み越える可能性が少なくともある改正になっていると思います。それを新たに書いたほうがいいのか、もしくはそのままというほうがむしろ好ましいのか、そこは議論があるところだと思いますね。
ほかの条文については、正直言いますと、私個人として幾つか非常に強いこだわりを持っている条文はあるんですが、ちょっと申し上げるのは控えます。そこは、全党的な議論を経て出てくるのが好ましいですから。私もその一員として加わりたいと思っています。
(後略)
[引用おわり]
[gooニュースから引用はじめ]
自民、TBS取材や出演を拒否 党幹部級、報道内容受け(朝日新聞) - goo ニュース
自民党は4日、TBSの報道内容について「公正さを欠く」などとして当面の間、党役員会出席メンバーに対するTBSの取材や出演要請を拒否すると発表した。問題視したのは、6月26日放送の「NEWS23」で通常国会会期末の法案処理を報じた内容。党は「重要法案の廃案の責任がすべて与党側にあると視聴者が誤解する内容があった。マイナスイメージを巧妙に浮き立たせたとしか受け止められず、看過できない」としている。
TBSは4日夜、報道機関に対し、「自民党から抗議を受けたことは残念。引き続き、理解を得られるよう努力していく」とのコメントを発表した。
[引用おわり]
[写真]第23回参院選期日前投票を済ませてすっきり笑顔、左手に「投票済み証」、右手に「祭の団扇」の筆者(宮崎信行)、2013年7月4日(木)、午前8時35分過ぎ。
期日前投票が始まりました。
第23回参院選の当日投票は、7月21日(日)の午前7時から午後8時まで。
期日前投票は公示翌日のきょう、午前8時半からスタートしました。
きょうから7月20日(土)までは、各自治体で、午前8時半から午後8時まで期日前投票ができます。
投票所の場所、設置日時に関してはお住まいの自治体に問いあわせてください。参院選は国政選挙で、総務省・中央選挙管理委員会が所管していますが、選挙の投票・開票は各自治体への法定委託事務です。
さっそく私も期日前投票に行き、投票を済ませました。
30万人の有権者の中で、2009年(衆)に「選挙区で4番乗り、比例区で2番乗り」を達成しましたが、2013年参院選は「選挙区で2番乗り、比例区も2番乗り」となりました。なかなか1番乗りは難しいですね(^_^;)
また、投票済み証ももらったので、帰り際、看板の前で左手に投票済み証をもって、看板前で記念撮影。ちなみに右手の「祭」のうちわは、市販品で、特定候補・政党とはまったく関係ありません。
参院選は祭りです。なぜなら政権選択でないからです。たしかに今度の選挙は、3年~6年~12年以上にわたって、日本の背骨を決める選挙です。しかし、昨晩のラジオ番組で「政権選択でないから、一歩引いて冷静に政策を検討して見守りたい」との発言を聞きましたが、それで行くと煮詰まってしまい、答えはでないでしょう。仮に握手した候補者がいれば、その人。いなければ、家族が握手した人。参院選はとても広い選挙区でたたかう組織のお祭りですから、陣営が整っていれば、任せていい人だと考えます。あまり難しく考えない気楽に行きましょう。私も支持政党の候補者が1人なので、行けました。仮に2人だったら、両方当選のために、ぎりぎりまで情勢を見て判断するから、期日前投票には行けなかったかも知れません。比例区は尊敬する人に3ヶ月前に推薦の言葉を聞いた候補者に投票しました。
最後に一首。
梅雨空に
投票済ませて
すっきりと
日本の未来
明るく見えた
[写真]第23回参院選で出陣した9産別の各民主党公認全国比例候補、連合フェイスブックページから。
もはや労働貴族でありません。
連合(日本労働組合総連合会)は、構成組織の9つの産別(産業別労働組合)が擁立した第23回参議院議員通常選挙の全国比例候補者(すべて民主党公認)の全員の出陣のようすを1枚にまとめた写真をフェイスブックに載せたり、9人の情報を1ページに集約したホームページを立ち上げたりしました。
これまで民主党内にも、産別候補の選挙運動は産別に任せっきりにする雰囲気がありました。しかし、組合員の民主党離れが進んでおり、インターネット選挙運動解禁にともない、情報を統一させた物と見られます。まさに連合の連合たるゆえんです。
日本の労働運動の発祥である繊維産業の労働組合「全繊」の流れをくみ、100万人を超える組合員がいるUAゼンセンの川合孝典・参議院議員。ホームページのインタビューでは、「政治家をめざしたきっかけ」は「突然、白羽の矢が当たりました。」とのこと(苦笑)。イオン労働組合、産経新聞労働組合も参加している「UAゼンセン」では、非正規雇用者の組織化が進んでいます。正社員が非正規雇用者の仕事ぶりをしっかりとチェックするシステム。その情報は、川合さんを通じて国会に届けることができます。
自治労の相原久美子さん。6年間はトップ当選。1期目ながら、参議院内閣委員長です。先の通常国会で、森まさこ男女共同参画相が、蓮舫・元大臣から厳しい質問に興奮してしまい、どういうわけか「出産」という言葉と「流産」という言葉を取り違えて答弁し続ける混乱がありましたが、相原内閣委員長は、「大臣、大臣、質問に答えてください」としっかりと両者をフォローしていました。参議院議員のあるべき姿です。あの広い北海道をまとめる力もあります。
自動車総連の磯崎哲史さん。(崎の「大」は「山」)。新人です。連合ホームページでは「(座右の銘は)辛いときこそ笑顔を絶やさない」「(政治家をめざしたきっかけは)これからも、私たちは今の職場で働き続けられるのだろうか」との心配。日産労連から12年ぶりに参議院への代表。ゴーン・ショックを知っている磯崎さんの言葉の重みに期待したい。
家電メーカー労組など電機連合の石上俊雄さんも新人です。国会でやりたいことは、「まずは、雇用の安定に繋がることに取り組んでいきたいと思います」。
日教組の神本美恵子さんは3選をめざします。与党で政務三役も務めました。
轟木利治・参院議員は基幹労連ですが、今回候補者をたてないJAM(ジャム)も応援しています。ものづくりの現場の代表です。構造的に、労働災害も多い業種ですが、労働者の魂の叫びを、静かに木訥に、国会に届けられる候補者です。
JP労組の定光克之さんは新人です。3年前に続いての擁立で、JP労組の統一(旧全逓と旧全郵政)も完成でしょう。連合ホームページによると、「郵政の民営・分社化で実感しましたが、地域社会の疲弊はひどい状況です。」とのことです。
情報労連の吉川沙織参院議員。2期目に実現したいことは「誰もが政治に思いを託して頂ける環境の実現、望めば誰もが夢と希望、誇りを持って働くことの出来る環境整備、健全な情報通信産業の発展。」と盛りだくさんですが、まあ手堅く出来る人でしょう。
電力総連からは新人の浜野喜文さん。毎回優秀な成績で国会に代表を送り届けている電力総連です。今こそ、正念場です。
こうして、連合の9産別候補は、すべて民主党の公認候補です。
民主党は第23回参院選で、「与党・自民党のバックアップ政党はどこか?」という問いに答えなければなりません。それは民主党であって、断じて共産党ではありません。「非自民・反共産」の政権担当能力のあるバックアップ政党として足腰を鍛えないといけません。
この「非自民・反共産」とは、連合の初代会長、山岸章さんが打ち出した概念で、細川連立内閣はその考え方によって、「非自民・反共産」の各党の連立によって実現した政権交代です。
[画像]1989年の連合統一大会と、あいさつする山岸章・初代会長、「友愛会から連合へ 日本労働運動の100年」から、友愛労働歴史館で販売。
平成元年の連合統一大会であいさつする山岸章さん。
この「非自民反共産」という比較的シンプルな旗印の下に、「民主中道勢力の結集」を図ったのが、民主党です。そのため民主党は「寄り合い所帯」であるとの指摘はその通りです。また、その過程で、公明党が外に漏れてしまうハプニングもありました。
そして、山岸さんは社会党員だったのですが、社会党大会に出席しようとして、ベルリンの壁崩壊を理解できていない社会党員に背広を破られてしまったことがありました。それでも、山岸さんは自分の信念を貫きました。平成25年。連合は、自民党からも、民主党からもデートに誘われる人気者になりました。山岸さんの背広をびりびりにした社会党は完全消滅しました。わずかな違いが存亡を決するとはこのことです。
9産別の候補者がいる政党が、民主党以外にいるでしょうか。ありません。
そして、それこそが、民主党が唯一自民党に取って代わって政権を担当する時期もある、二大政党である、根っこの根っこなんです。
一部衆院側、マスコミ、あるいは連合傘下産別組合員のなかに、連合を軽んじる雰囲気がありますが、それはたこが自分の足を食うようなものです。民主党を育てる、「育民」(イクミン)をやっていきましょう。
山岸さんの「非自民反共産」という原点をしっかり見つめ直すことが大事です。正直、「反共産」を再び強調しなければならないのは情けないのですが、現状として「非自民反共産」をしっかりと説明しなければなりません。
秋以降の国会は「働き方」がテーマになるでしょう。それぞれの産別ごとに事情は千差万別ですが、だからこそ、その声がダイレクトに民主党の政策に反映できます。自民党にそれができるでしょうか。「24時間365日働け」と自著に記した候補者がいる自民党は労働者の敵です。
組織の中の人でなければ、産別候補の名前を全国比例に書いてはいけない、応援してもいけない、などという憲法・法律は日本にはありません。
固有名詞が多く、分かりにくい産別候補ですが、自分とその家族をすべての基本にして、先入観を取り払って、検討してください。
天皇陛下は4日、詔書を発せられ、参議院議員の通常選挙を2013年(平成25年)7月21日施行すると公示されました。インターネット官報に掲載されています。
詔書は、
「日本国憲法第7条及び第46条並びに公職選挙法第32条によって、平成25年7月21日に、参議院議員の通常選挙を施行することを公示する。」とあります。
[日本国憲法第7条]
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
とあり、この第4項の「国会議員の総選挙の施行を公示すること」にもとづきます。ちなみに、総選挙とは衆院選のことなので、日本語では不自然な文章ですが、「参議院議員通常選挙の施行の公示」もこれに含まれると解釈されています。
[日本国憲法第46条]
参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
[公職選挙法第32条]
参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。
2 前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う。
3 通常選挙の期日は、少なくとも十七日前に公示しなければならない。
となっています。
なお、日本の憲法・法律では、選挙権(投票権)は権利であって、義務ではありません。そのため、投票にいかなくても罰せられることはありません。
岡田克也さんは2013年7月4日(木)、三重の県都・津で、高橋千秋候補の選挙対策本部長として、第23回参院選の第一声を上げました。
岡田さんは与党・民主党幹事長時代に、補充入閣者で空席になった民主党広報委員長に高橋千秋さんを充てるなど、インターネット選挙運動解禁によるオープンかつ身軽な政治を二人三脚で進めてきたこともあり、このもようは、USTREAM(ユーストリーム)を通じて中継されました。
<岡田克也・選対本部長「今度の参院選で大きく自民党が勝てば暴走が止まらなくなる>
岡田さんは高橋千秋選対として「悔いのないたたかいを、力を合わせてがんばっていこうじゃありませんか」と呼びかけました。
そして、2つの3党合意(昨年6月の社会保障と税、昨年11月の衆院定数削減)に言及。定数3党合意は「先の通常国会で(自民党の)マニフェストにもあるのに、やります、と言った安倍さんが議論することすらしませんでした」と批判。社保・税は「私が担当大臣としてやり残した(年金制度の将来像の設計という)大きな課題として、(3党が)一緒につくった(内閣府の社会保障制度改革推進)国民会議で議論することを自民党は軽んじています」と批判。「巨大与党がやりたいことをやることに歯止めをかける選挙です」「今度の参院選で大きく自民党が勝つようなことがあれば、ますます自民党の暴走が止まらなくなります」と警鐘をならしました。
「自民党が行き詰まったときに(政権を)かわる政党はどこなのか。それは民主党しかありません」とし、「いろいろな政権時代の批判に耳を傾けながら、本当にこの国の政治を変えていくのは民主党だ」とし、「私たち民主党は政権で、苦しい中、一つ一つ変えてきました。しかし、自民党政権は、公共事業のバラマキや金融緩和だけして、本当の改革を先送りしている」と語りました。
「(6年前の)安倍政権のときに、(当時はイラク戦争勝利の後でリーマンショックの前の)アメリカのバブルだったときに、社会保障制度改革や財政改革をしていたら今頃どうなったでしょうか」とし、安倍首相本人に国の岩盤を改革する姿勢がないことを指摘。「三重県をよく知る、高橋千秋さんをぜひ、国会に(再び)送り出して欲しい。この選挙戦力をあわせてがんばっていきましょう」と締めくくりました。
<非改選の芝博一・参院議員「ねじれが解消すると数の論理ですべての法案を押し通す」>
岡田さんに続いてマイクを持った非改選の参院議員、芝博一さんは、今回は自身が候補者でない立場から「私たち国民にとって、この選挙は大事な大事な分水嶺だ」と切り出しました。参院会派「民主党・新緑風会」の国対副委員長や参議院対策の首相補佐官・官房副長官をつとめた実績を踏まえて、「安倍自民党は地方ではなく、特定の団体や企業を向いている。自民党が過半数や3分の2をとると、数の論理ですべての法案を押し通す」と予言し、危機感の共有をうながしました。
<新政みえの三谷哲央代表「一括交付金はひもつき補助金に戻った」>
三重県議会最大会派「新政みえ」代表で、前県議会議長の三谷哲央(みたに・てつお)県議は「民主党政権がすすめて一括交付金(地域自主戦略交付金)は、(自民党政権で)ひも付き補助金に戻りました。あらためて、地方分権、地域主権をすすめていく選挙にしなければならない」と定義。「新政みえ24名が一丸となって、その先陣になってたたかっていきたい」と決意しました。
<連合三重の土森弘和会長「心の中のオンリーワンではダメなんです。ナンバーワンでないとこの選挙は勝てない」>
連合三重の土森弘和(つちもり・ひろかず)会長は、「働く者を代表して、高橋候補応援のマイクを持たせていただきました」とあいさつ。「安倍政権で働く者の雇用・労働を守られているでしょうか。このことを今一度、家族で話し合って、この選挙に臨んでいただきたい」と呼びかけました。
「私たち連合は、働くことで安心社会をつくろうと、(補選初当選以来)13年間、ずっと高橋さんとやってきました。高橋さん生活者中心主義は一度もぶれたことがありません」と証言。「みなさんのなかで、高橋さんが心の中ではオンリーワン、という人もいるかもしれませんが、それではダメなんです。高橋千秋をナンバーワンにしないとこの選挙は勝てないんです」として、定数1小選挙区を勝ち抜くために、具体的に働きかけてくれるようにお願いしました。
<高橋千秋候補「三重で私が当選することが日本再生につながる」>
高橋千秋候補は、まず「13年間、本当に地道に支えていただいた三重県のみなさんに感謝申し上げます」とし、「浪人中も含めて16年間、三重県をコツコツと歩く活動を続けてまいりました」「マスコミに出るような一部の方を除いて、多くの方々が本当に地道に生活を送っている方々ばかりです」と話しました。
「これからの17日間の選挙戦、一つ一つお訴えしていきますけれども」と前置き。そのうえで、第一声の現場にかけつけた聴衆にオピニオン・リーダーとして「三重県民のそれぞれの方にみなさんが、一人一人の三重県民のみなさんにお伝えいただけませんでしょうか」と働きかけをお願いし、「三重で、私・高橋千秋が当選することがもう一度日本を再生することにつながります」と短くも強烈なメッセージを発信しました。
この後、ご当地、津市に関するエピソードを披露した後で、「私は一生懸命がんばってまいります。ぜひ7月21日(日)にはみんなで万歳できるようお願い申し上げて出陣のごあいさつとさせていただきます」と締めくくりました。
高橋千秋当選ガンバロー!!!
日本の政権交代ある政治の未来がかかっているのが、今回の三重選挙区です。
以上。
「民主党公認候補に投票してください!」
これが私の第一声。
2013年7月4日(木)、第23回参議院議員通常選挙が公示されました。
公職選挙法の一部を改正する法律(平成25年法律第10号)により、きょうから、ブログ、ホームページ、フェイスブック(メッセージ含む)、ツイッター(DM含む)などのSNSを使って、有権者が投票依頼できるようになりました。
このブログは6年前の参院議員の初登院当日から始めたのですが、6年目になって、ネット選挙解禁となりました。その第一声はもちろん「民主党公認候補に投票してください」です。他にあります?「ネット選挙解禁って何のこと?」と思っていた方、こういうことですよ。簡単でしょ。
私はこの解禁選挙では、あくまでもこのブログ「国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行」(http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog)で発信します。そのなかで、Google検索での当ブログへのアクセス精度をより向上させていきます。Google検索による候補者の情報の入手と検討がネット選挙の最大の効用になるでしょう。このブログには、過去6年分の国会傍聴記があるのですから、現職の検討にはぜひ当ブログをご活用いただきたく存じます。
ネット選挙解禁を見越したきのうまでの前哨戦。立候補予定者陣営が自ら発する情報が大混乱の気配が出ています。こういうときこそ、私は、情報の取捨選択を徹底する道案内役になろうと考えています。
フリージャーナリストとなって最初に「自分の媒体」を持って良かった。そして、民主党員であることを打ち出す姿勢も、政権交代が一回りし、今回のようなネット上で情報が洪水を起こしている現状からも、立ち位置がハッキリして、良かったです。
非常に厳しい選挙になりますが、衆議院側での政権交代ある二大政党政治を担保できるだけの参議院議席の獲得(民主党への政党交付金の確保)のために、連合発足、細川・羽田内閣の結集の「非自民反共産」という合い言葉をあらためて、ていねいに説明していこうと考えます。
そして、民主党当選者事務所のみなさんは、参議院の特別通行証を私に貸していただき、委員会傍聴券の手配にご協力をいただきたい。
私も来年には40歳、不惑になります。選挙を通じて、私自身も力を付けていきたいと考えています。そして、2016年が予想される第47回衆院選で、しっかりと2つの選択肢を示せるように、この「存亡の危機」選挙をしっかりとたたかっていきます。
[画像]6年前の参院選で「(消えた年金記録は)最後のお一人にいたるまできちんと年金をお支払いしていく」と演説する安倍晋三・自民党総裁(首相)、テレビ朝日ニュース映像から。
公約とは何でしょうか?
公約とは「公衆に対して、ある事(政策など)を約束すること」「公衆との約束」(広辞苑など参照)とあります。
この「約束」という言葉は、日本人で受け取り方が違う場合があります。
キリスト教では、約束とは、神と自分との約束です。おおかたの日本人にとって約束とは人と人の約束で、いわば「紙の約束」=「契約」という意味です。クリスチャンにとって、約束とは天国に行けるか、地獄に落ちるかを決める人生のモノサシ。日本で「約束だからね!」と軽い気持ちで言っても、その言葉の重みに違いがあり、コミュニケーションがうまくいかないことが多々あります。
さて、安倍晋三・自民党総裁は6年前の政見放送で次のように語っています。
[当ブログ内エントリーから引用はじめ]
多くの国民のみなさまはこの問題に対して強い憤りを感じていると思う。
私も「社会保険庁いったい何をやってきたんだろう」、そういう気持ちです。
しかし、私は現在の行政の長として、この問題にかんして、一番大きな責任があります。まずは国民のみなさまにおわびを申し上げなければならないと思います。
そのうえで、この問題は基礎年金番号に統合した10年前から今日に至るまで、社会保険庁において、先送りしてきた問題です。
私の内閣で、すべて、解決をして参ります。そのためには二つ、私に使命があります。
第一の使命は最後のおひとりに至るまで、記録をチェックして、まじめに保険料を払って来られた方々にしっかりと年金を正しく、お支払いをしていくということです。
[引用おわり]
「最後のお一人に至るまで、年金をお支払いしていく」との政見放送での安倍晋三さんの公約。
これについて、ことしの通常国会で、民主党の長妻昭さんから質疑がありました。
[画像]消えた年金について質疑する民主党の長妻昭さん、2013年5月10日(金)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
長妻さんは「かつて、総理は、国会で、最後の1人に至るまで徹底的にチェックをし、そして全てお支払いをするということはお約束したいと思いますと答弁されました。総理、その方針は今も変わっていませんか。全てお支払いするというのは、いつまでに、最終的に何人、幾らを想定していますか、お答えください」と聞きました。
安倍首相は「今後、さらに、1人でも多くの方の記録の回復につなげていきたいと考えており、これに向けては、国民の皆様が御自身の年金記録を再確認していただく必要があることから、国民の皆様にぜひとも御協力をお願いしたいと考えております。現時点において、いつまでに、何人、幾らになるかを想定することは困難ですが、今後とも、紙台帳とコンピューター記録の全件突き合わせの実施や、ねんきんネットを活用した国民への記録確認の呼びかけなどを進め、年金記録問題にしっかりと取り組んでまいります」と答弁しました。
ところが、 これは、平成20年12月5日の衆・予算委で、当時自民党麻生内閣の舛添厚相が「大変残念ながら、お支払いしたのが十一月中旬、お亡くなりになったのが十一月の初旬、間に合いませんでした」と答弁しています。亡くなった人には、回復した年金は払えず、この時点で、「最後のお一人まで」の公約は破綻しています。
安倍首相は第21回参院選で惨敗(自37議席、民60議席)しましたが、その後の内閣総辞職については、「体調不良のためだ」との説明をしています。自民党の先輩総裁である宇野元首相、橋本元首相のように参院選惨敗の責任を取って内閣総辞職していれば、公約破綻の責任とともに去ったということになりますが、「体調不良のため」総辞職したのなら、この年金公約の違反は現在でも続いているといえるでしょう。
安倍首相は「国民所得150万円増」と「年収150万円増」という異なった演説をしていて、そもそも分かっていないのではないかとの指摘も出ています。第2次安倍内閣でも、「憲法改正」、「尖閣諸島の公務員常駐」、「竹島の日記念式典を島根県主催から政府主催にする」といった公約について、やるつもりがないのではないかとの懸念が、自民党員からも出ています。
民主党は公約を実行しようと前のめりになって失敗しましたが、安倍自民党はそもそも公約を実行する気がはじめからないのではないか。
「年金を最後のお一人までお支払いします」との6年前の言葉について、まったくけじめをつけていない安倍首相。
これは、自民党か民主党かという問題ではなく、総理大臣と国民との約束です。
このまま、お灸を据えずに「安定した政治」になったら、それは総理大臣にとっての安定に過ぎないことは間違いありません。
[画像]自民党の「公約」とは、いったい誰と誰の約束なのか? 自民党ホームページ。
[国会会議録データベースから引用はじめ]
001/005] 183 - 衆 - 本会議 - 21号
平成25年05月10日
[長妻昭さんの質疑]
○長妻昭君 民主党の長妻昭でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表し、議題となりました厚生年金保険法等の改正案について質問をいたします。(拍手)
(中略)
最後に、いわゆる消えた年金問題でございます。
かつて、安倍総理が、予算委員会の私の質問に、年金そのものに対する不安をあおると答弁された記録問題は、現在、一千三百二十四万人、生涯年金額で一・八兆円が回復されました。記録数でいえば、二千八百九十五万件が解明されました。紙台帳の全件照合も、公約どおり、今年度中に七千九百万人分が終了いたします。
かつて、総理は、国会で、最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そして全てお支払いをするということはお約束したいと思いますと答弁されました。総理、その方針は今も変わっていませんか。全てお支払いするというのは、いつまでに、最終的に何人、幾らを想定していますか、お答えください。
(後略)
[安倍首相(自民党総裁)の答弁]
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長妻昭議員にお答えをいたします。
(中略)
年金記録問題については、平成十九年七月に政府・与党で決定した方針に基づき、さまざまな取り組みを行い、国民の方々の信頼回復に取り組んでまいりました。民主党政権においても、引き続きこの問題に取り組み、成果を上げてこられたものと承知をしております。
今後、さらに、一人でも多くの方の記録の回復につなげていきたいと考えており、これに向けては、国民の皆様が御自身の年金記録を再確認していただく必要があることから、国民の皆様にぜひとも御協力をお願いしたいと考えております。
現時点において、いつまでに、何人、幾らになるかを想定することは困難ですが、今後とも、紙台帳とコンピューター記録の全件突き合わせの実施や、ねんきんネットを活用した国民への記録確認の呼びかけなどを進め、年金記録問題にしっかりと取り組んでまいります。(後略)
183 - 衆 - 予算委員会 - 9号 平成25年03月07日
(前略)
○安倍内閣総理大臣 先ほども、細野大臣は原発の担当大臣でありましたね、御自身のことも反省されながら、しかし、その前の政権のことにも言及をされた。そのときがあったから自分はあんなに苦労されたということですね。
消えた年金問題については、私のときに発生したんじゃないんです。私のときにわかったわけですよ、問題があるということがわかったんですよ。申しわけないけれども、それは相当前のことですよ。それはそうですよね、今、長妻さんが違うようなことを言っていますが。それはそのとおりなんですよ。
しかし、そこで……(発言する者あり)今、事実関係を述べているんですがね。そこで、しかしそれに対応しなければいけないというのは、私は対応していく責任者であったのは事実であります。そして、私はそのときに、やるべき手は全て打ったというふうに考えているわけであります。
(後略)
[引用おわり]
民主党は第23回参議院議員通常選挙で、TVCM(テレビ・コマーシャル)を流さないことを決めました。
3年前の選挙では、TVCM媒体費(放送枠の買い取り)に17億2537万7586円など、製作費とあわせて、「電通ヤング・アンド・ルビカム」という会社に18億円を支出していました。
しかし衆院の議席激減により、政党助成金が年168億円→年85億円に減り、参院選の結果によってはさらに減る可能性があることから、2016年7月~12月と予想される第47回衆院選で政権担当可能な過半数をはるかに上回る候補者を擁立するために、「仕分け」したものとみられます。
18億円の支出を削減すると、3年間(36ヶ月間)にわたって、全国衆295総支部に月16万円ずつ支給することができる計算になります。
前回2010年の第22回参院選の民主党のTVCMには、18億円かかっています。2010年定期公表分の民主党政治資金収支報告書の123ページに記載があります。
[画像]2010年(平成22年)定期公表分の民主党本部政治資金収支報告書、総務省ホームページから、赤線は筆者が加筆。
これは、小沢一郎幹事長時代に契約し、枝野幸男幹事長時代に放送されましたが、決済日は2010年10月25日と、岡田克也幹事長時代になっています。政党は役所と違い会計法、情報公開法の対象でなく国会での説明義務もありません。このため、民主党では小沢代表・幹事長時代を中心に、広告代理店の選定先に不透明な点があるのと指摘がずっとなされてきました。
岡田克也幹事長は、党本部事務局トップの秋元雅人・事務局長に、民主党広報委員会事務部長を兼任させ、民主党本部事務局全体が広報委員会事務部と「一蓮托生」のかっこうをつくりました。それが、今回の「背水の陣」で、丸ごと契約を切ることに成功したものとみられます。
一方、自民党と生活の党は4日の公示日からTVCMを放送することにしており、すでにCMが発表されています。
[画像]第23回参院選自民党TVCM、以下のYouTube動画からキャプチャ。
[画像]第23回参院選、生活の党のTVCM、以下のYouTube動画からキャプチャ。
[画像]背景は大島九州男(大島くすお)さんのホームページで、左側に差し込んだ写真は、大島さんを応援するスリッパ姿の野田佳彦前首相(大島さんFBから、おそらく大島さん本人撮影)
インターネット選挙解禁となれば、まずは現職に関しては、前の任期の実績を確認することから始まるでしょう。
全国比例の大島九州男(大島くすお)さん。
1期目の過去6年間、変わらず訴えかけてきたある提案があります。
理事として仕上げた補正予算の賛成討論のなかで、次のように演説しています。
「中小企業の金融対策においては」「1990年代に、まさにゼネコン危機に陥ったときに、政府は公的資金でゼネコンの救済をしようとしたんです。しかし、国民の反対に遭ってそれは断念をした。しかし、1997年に北海道拓殖銀行が破綻をしたときに、国民は銀行に公的資金を投入することに対しては文句を言わないということに気付いた。そして、やったことは何か。銀行にゼネコンの借金を棒引きさせて、そしてそこの銀行に公的資金を投入したんですよ。そして、その投入した銀行の公的資金は税金であります。その税金を、国民の血税をゼネコンに還流をさせた、まさにその政策が今の経済の疲弊を生んでいる」
との経済観を示しました。
そのうえで、「中小企業については」「担保いっぱいにしっかり借りてもう融資をしてもらえない、そういうところに対して担保を一斉に2倍に評価するとかいう思い切った政策をやることによって中小企業を救うというような、そういう具体的な議論をするのが参議院の予算委員会ではないでしょうか」と語っています。
つまり、中小企業およびその経営者の土地をを担保にした融資について、その評価額を一斉に2倍にすれば資金繰りが楽になる。 そういう追加景気対策(補正予算)をすべきだ、というのが大島さんの「具体的な議論」です。
大島さんは、その後もこの「担保いっせい2倍論」をずっと訴え続けています。
先の通常国会では、本会議で質問。麻生太郎金融相(副総理・財務相)は次のように答弁しました。
「大島議員からの御質問のありました中小企業、零細企業に関しましての資金繰りというものは極めて重要な問題だと、私どももさように認識をいたしております」「金融庁としては、金融機関に対し、担保、主に不動産担保でありますが、バブル以降かなりこれが傷んでおるという事実は間違いない事実でありますので、こういった担保、保証に過度に依存するというような融資の態度を改めるように指導している」
そして、大島さんの「担保2倍論」について、麻生金融相は次のように答弁しました。
「ただし、お断りはしておきますが、担保の評価額というものは、これは、あくまでも極めて客観的かつ合理的な評価方法でこれは算出されているところでありますので、お申し越しのように、単に単純に二倍にすればいいというような話ではとてもないので、そういったところでは時価と懸け離れたような話にはいかがなものかと」。
こういう風に、突っぱねられてしまいました。
まあ、筆者としても、方向性は大賛成ですが、総論賛成、各論反対というのが正直なところです。しかし、こういう主張をテレビ入り本会議で演説できる議員が今の参議院にどれだけいるでしょう。その心意気や良し。
では、その勇気の源はどこから来るのでしょうか。それは良い仲間に恵まれているからでしょう。大島さんのFB(フェイスブック)によると、7月1日、大島さんは千葉選挙区の前環境大臣、長浜博行候補(予定者)と一緒に、野田佳彦前総理から5カ所で応援演説を受けたそうです。
で、ごらんのように室内でスリッパ履きで、応援演説する野田さん。私けっこう長く国政を見ていますが、総理経験者のスリッパ姿って見たことありません。内輪のうち解けた会合だからこそのスリッパ履き。7ヶ月前までは天皇陛下やアメリカ大統領の前に出ていた野田さんが、7ヶ月後には「スリッパ野田」に早変わり。政権交代ある政治で、政治が身近になったし、当事者として積極的に政治にかかわれば、前総理がスリッパ姿で話しにくる。
「担保一斉2倍論」への野田さんの賛否は、私はあずかり知らぬ所ですが、大島さんが何を主張しても、元財務大臣・元総理がスリッパで応援する人なんだから、言いたいことを言えばいいのです。
というわけで、左の写真は高校時代の大島さん(左から1人目)。右の写真はその12年後に同じ場所に立つ私(左から2人目)です。
同じ学舎で育った大島先輩の「物を言う勇気」。私も見習いたい。ところで、大島さんになぜ、九州から東京の学校に通ったのかたずねたところ、「それを話すと、長くなるから」とのことでした。鉄工所経営者のお父さんが医者かなにかにさせたかったのかもしれませんが、様々な糧を得て、中小企業の痛みが分かり、社会の風邪を治す政治家になったのです。
それだけにとどまりません。
大島くすお候補(予定者)のホームページにある次のことば。
「奉仕と無の心で取り組む
大島くすおは、皆様に支えられて少しずつではありますが、確実に一歩ずつ前進しています。小さな一歩を積み重ね、日本だけではなく世界の人々が“みんな笑顔”で暮らせる社会を実現するために…奉仕と無の心で、世界平和の実現へ向けてがんばっています」
今こういうこと言う参議院議員候補(予定者)って大島さんぐらいしか、いませんよ。
ぜひ次の6年間で、世界の人々がみんな笑顔で暮らせる社会と世界平和を大島さんが実現させて欲しい。
小さな一歩を積み重ね・・・少しずつでも。
<当ブログ内記事で振り返る、大島九州男(大島くすお)の6年間>
第1次野党期、2007年11月2日付)参院1年生が続々質問デビュー!
第1次野党期、2009年2月6日付)【かんぽの宿】世直し3党、追及PT(プロジェクトチーム)を発足
第1次与党期、2010年1月28日付)第2次補正予算成立 大島九州男さんがノー原稿で賛成討論
第1次与党期、2011年8月20日付) 議員立法に憲法89条論争おこる 橋本聖子さん、大島九州男さんら 参院文科委
第1次与党期、2012年1月13日付) 岡田克也さん、民主党行革調査会のバトンを引き継ぐ
第1次与党期、2012年4月14日付) 青春民主党「行革実行法案」を提出
第1次与党期、2012年9月3日付) 参院決算委員会の「準」総括質疑 会期内に平成22年度決算を仕上げるべきだ
◇
<この記事で引用した国会会議録は以下の通り>
[国立国会図書館データベースから引用はじめ]
174 - 参 - 本会議 - 3号 平成22年01月28日
○大島九州男君 民主党・新緑風会・国民新・日本を代表させていただきまして、平成二十一年度第二次補正予算二案について賛成の立場から討論をさせていただきたいと思います。
まず冒頭に、ハイチ地震におかれまして被災をされました皆様方に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
そして、百年に未曾有と、この経済危機に補正予算の早期成立が望まれる中に、野党の皆様におかれましては速やかな審議に御協力をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。
予算の審議を振り返りますと、経済、雇用、そして医療やいろんな分野について真摯な議論がある一方、まさにテレビ、マスコミ受けをねらった質問が多かったという事実も否めません。本来ならば、予算委員会というものは予算がどれだけ国民のためにちゃんと使われていくか、そういったことを真摯に議論をする場所であります。
例えば、雇用の問題であるならば、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんたちが高齢になって農業、漁業、林業がなかなか働き手がいない。じゃ、そういう場所にちゃんと失業者の人を手当てするという、そういう具体的な政策をやる議論をしたり、そこには自衛隊のOBの人たちに訓練をしていただいて、そして、まさにお年寄りにいろんな指導をしていただくことによって高齢者の生きがいをしっかりと担保をするような、そういう具体的な、今までの雇用訓練にかかわるようなそういう問題ではなくて、そして、環境においては、まさに大企業に偏重するような太陽パネルやエコポイント、エコカーのみに偏らず、まさに中小企業の、下町の企業の皆さんに仕事が回るような風力、波力、地熱、そういった中小企業に仕事が回るような、そういう仕事を創設するような予算を議論するとか。
そして、中小企業の金融対策においては、まさにこの経済状況をつくった原因はどこにあるのか。皆さん、思い出していただきたい。一九九〇年代に、まさにゼネコン危機に陥ったときに、政府は公的資金でゼネコンの救済をしようとしたんです。しかし、国民の反対に遭ってそれは断念をした。しかし、一九九七年に北海道拓殖銀行が破綻をしたときに、国民は銀行に公的資金を投入することに対しては文句を言わないということに気付いた。そして、やったことは何か。銀行にゼネコンの借金を棒引きさせて、そしてそこの銀行に公的資金を投入したんですよ。そして、その投入した銀行の公的資金は税金であります。その税金を、国民の血税をゼネコンに還流をさせた、まさにその政策が今の経済の疲弊を生んでいる。
中小企業については、今本当に予算の中で必要なことは何かといえば、担保いっぱいにしっかり借りてもう融資をしてもらえない、そういうところに対して担保を一斉に二倍に評価するとかいう思い切った政策をやることによって中小企業を救うというような、そういう具体的な議論をするのが参議院の予算委員会ではないでしょうか。
今、私がるる申し上げましたけれども、今回の補正予算の審議においては、テレビ、マスコミ受けをねらったような質問に国民は辟易とするわけであります。
以下、今からこの補正予算に賛成をする根拠を述べさせていただきます。
まず第一に、雇用においては、長期失業者そして新卒の学卒者に対する配慮ある予算であること、第二に、環境予算においては新成長戦略において未来の夢ある新エネルギーについての予算であること、そして第三に、中小企業の資金繰りにおいて中小企業に配慮する予算であること、そして最後に、補正予算といえば、今までの政権は、業界団体にばらまくためのお金として、選挙対策、業界対策、いろんなところに持っていった、まさにそういう補正予算ではなく、国民のために、国民の生活が第一の補正予算であるということが今回の補正予算の第一であります。
我々は、国民の声を代表する一人として、この国民一人一人を本当に自分の家族と思う心で予算を作る、法律を作る、そういう心の友愛の補正予算であると認定をし、一人一人の議員の皆様に心からこの補正予算二案に賛成をしていただきますことをお願い申し上げ、私の賛成討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
私が言う中小企業というのは、従業員さんが本当に四、五人だとか、家族含めて何人かでやられているというそういう下町の中小企業、言うなれば零細企業とも言われておりますけれども、そういう方たちはいろんな制度を、総務があって、係がちゃんといつも銀行に行っていろんなやり取りをできているかといったら、そういうことができていない、こういうのが現状なんですよ。ところが、大企業は当然それぞれの専門があって、そういう制度融資だとかそういったことにも専門的にやられている方もいらっしゃる。そして、銀行も、中小企業の貸出しなんかというのはどこで見ているかというと、企業の資産の担保、そしてそこになおかつ社長である個人の保証、そしてその個人の資産を含めて、それで担保評価をして融資をしているというのが現状なんですね。だから、ここが厳しい状況の最大の原因です。
183 - 参 - 本会議 - 3号 平成25年02月01日
○国務大臣(麻生太郎君)
大島議員からの御質問のありました中小企業、零細企業に関しましての資金繰りというものは極めて重要な問題だと、私どももさように認識をいたしております。
金融庁としては、金融機関に対し、担保、主に不動産担保でありますが、バブル以降かなりこれが傷んでおるという事実は間違いない事実でありますので、こういった担保、保証に過度に依存するというような融資の態度を改めるように指導しているほか、現実問題として、いわゆるABL、ABLとはアセット・ベースト・レンディング、難しい言葉で、売掛金を担保にしてそれに融資を認めるという制度です。これはこれまでやっておりませんので、こういったものを通称ABLと呼んでおりますけれども、こういったものを新たに対応していこうというようなことを考えているというところで、施策としてはそのような方法を目下講じているところであります。
ただし、お断りはしておきますが、担保の評価額というものは、これは、あくまでも極めて客観的かつ合理的な評価方法でこれは算出されているところでありますので、お申し越しのように、単に単純に二倍にすればいいというような話ではとてもないので、そういったところでは時価と懸け離れたような話にはいかがなものかと。(拍手)
[引用おわり]
「再び、地域から。」を合い言葉に第23回参院選にのぞむ、民主党代表の海江田万里さんは、前哨戦最後の2013年7月1日(月)定例記者会見にのぞみました。
このなかで、黒田日銀総裁に関して「異次元の金融緩和」について、「いったい何次元の金融緩和か。日銀も説明すべきだ」と求める場面がありました。
4月4日からの量的金融緩和について、櫻井充政調会長や、野田佳彦最高顧問らが、「間違いだ」、「反対だ」という趣旨の発言をしていることに関して、すでに動き出した金融政策そのものを否定する発言は無為だ、との批判が民主党員から上がっているとの指摘にこたえたものです。
木曜日の第一声は、海江田代表が岩手(定数1吉田晴美さん)→宮城(定数2岡崎トミ子さん)→福島(定数1金子恵美さん)→栃木(定数1谷博之さん)、細野幹事長が大阪(定数4梅村聡さん)→兵庫(定数2辻泰弘さん)→広島(定数2森本真治さん)→岡山(定数1高井崇志さん)→福岡(定数2野田国義さん)をまわることも発表。
これらの選挙区は、二大政党がともに「民主党の当選可能性がある」と分析している選挙区です。
この日発表された日銀短観では、資金繰りDIが、大企業で、金融緩和前の3月と変わらないという珍現状が起きました。中小企業は「マイナス5」→「マイナス3」にわずかに好転。
金融機関の貸し出し態度DIでは、大企業ですら17→18、中小企業で3→6と、わずかな好転にとどまりました。
その一方、借り入れ金利水準DIでは、全規模で「マイナス1」と7ポイント改善し金利が安くなりましたが、先行きでは、14ポイント増の「13」。金利上昇懸念があることが明らかになっています。
この背景には、6月半ばから、金融機関のおさつが夜を越す、日銀の本店や支店にある当座預金勘定が80兆円を超えるという未曾有の「銀行内の金余り」現象のなか、金融機能が目詰まりして、民間にマネーが十分に循環していないことが浮き彫りになっています。その一方、長期金利は高水準ですので、当座預金にお札を積んでいるだけの現状が見て取れます。すべての経済対策は日本再興戦略にかかっている状態ですが、しがらみのある自民党、公明党、共産党には、十分な規制緩和ができず、日本経済が金余りの高血圧運動不足状態になる懸念がでてきたといえそうです。