【参議院予算委員会 2013年5月13日(月)】
国の平成25年度本予算(当初予算)案の審議が大詰め。集中審議「復興、エネルギー、原発、環境など」。
ところで、先週までずっと勘違いしていたのですが、参院予算委員会の筆頭理事は小川敏夫さんのようです。小川さんはずっと議運の筆頭理事など参議院の要を務めてきていますが、委員名簿には「理事」として会派順、五十音順だけ記載されており、「筆頭理事」とは書かないので勘違いしていました。委員長はいうまでもなく石井一先生(今夏全国比例改選)です。
さて、小林正夫さんの質疑に政治家としての胆力を見て、久々にすがすがしい気持ちになりました。
これに先立ち、小林さんはテレビが入っていなかった3月29日の平成25年度暫定予算(成立済み)の質疑で次のように述べています。(参照エントリー国会珍プレー相次ぐ 参議院 人事官、検査官が不同意、NHK予算1人反対、平田議長お茶目な一面も)。
「最後に、小林の思いを申し述べて、質問を終わりたいと思います。福島第一原子力発電所の事故でございます。この事故について言葉が見付かりません。日々、胸が痛む日が続いているということが正直なところでございます。被害に遭われた方たちが一日も早く元の生活に復帰できること、そして福一の原子力事故、あの現場が一日も早く完全収束になる、このことを私は期待をし、また今後そういう過程を見守っていきたいというふうに思います。そのことを申し述べて、私の質問を終わります。」
きょうの小林さんは、何か思い詰めたようにも見えましたが、泰然自若を心がけているのが画面を通じて、伝わってきました。
小林さんは「きょうの集中審議のテーマに従って、エネルギーについてお伺いします。総理は、原子力発電をどう位置づけているのか。民主党は「2030年代に原発ゼロ」という考えを打ち出しています。今、日本の原発が停止し、稼働しているのは(関西電力大飯原発の)2機のみです。しかし、火力発電は9割で、燃料は外国から輸入している」とし、「燃料費は年間3・8兆円。1日にして100億円の国富が外に出ていることになる。産業界から悲鳴が出ている」と語りました。
安倍首相と茂木経産相は、再生可能エネルギーの比率を上げながらも、原子力発電の必要性を答弁しました。
首相は「わが国は世界的にみても高い核燃料サイクルの技術を持っています」と語りました。ここで、小林さんは「もう1歩踏み込んで聞きますが、核燃料サイクルを続けていただきたい」と語ると、首相は「続ける」と明確に答弁しました。
ここまで小林さんは自分が東電社員であると明かさずに質問していましたが、毅然として次のように語りました。
「福島第一原子力発電所事故はわが国の電力需要を変えてしまいました。放射能被害を受けた人に心をからお見舞いを申し上げます。そして、あの日(「3・11」のこと)以来、あの構内で収束にがんばってくれている方に敬意を表したい。原発(による電力供給見通し)が修正しているなかで、電源構成が不安定になっている中、安全はすべてに優先します」と声を絞り出し、「わが国は停電の回数は」と経産相に質問。経産相が「(1世帯に)平均して10年に1回」と答弁すると、小林さんは「世界に誇れる電力の供給体制だ」としました。
そして、「きょうはテレビ、ラジオ、インターネットで放送されています」と確認した上で、堂々と「電気の道」と書かれたパネルを掲げて、「電気はすべてつながっていないと供給できません」と語りました。4月2日の閣議決定では、2015年に発送電分離の法案提出が予定されていると指摘し、「私たち(国会議員)はきょうより、あすが良くなるために法律(法案)を議論しています。発送電分離をすると、離島、中山間部への発電、送電はどうなりますか」。経産相は「委員のおっしゃるとおりで、離島は送電網がないので、離島内で発電しなければいけないので、電気代は高くなるだろう」と語りました。
小林さんが「あまねく地域に電力を供給できているのは日本の誇りです。同じ料金で供給できている。
電力の安定供給は国力の源です。
電力で働く仲間の労働災害は多いです。発送電を分離して、連絡体制、例えば、電線への送電の停止などの連絡体制は大丈夫なのか」と問うと、首相はマニュアルをつくるという趣旨のこころもとない答弁。
甘利経財相は「電力はつねに需給はあわせておかないといけない緊張感のある商品です」として、「シェールガスで代替する」などと答弁しながらも、最終的には「原発を再稼働する」と述べました。
小林さんは電力総連、東京電力労働組合の働く仲間の推薦で国会に出ています。小林さんは、先代の長谷川清さんや、東電労組出身の笹森清・元内閣顧問(第4代連合会長)同様に高卒です。長谷川さんも都立世田谷工業高校だったと思います。小林さんは生徒会長を務めるなど、政治家への意識は早くから持っていたようです。東電社員としては送電部門に長くかかわっていた、と国会質疑で述べています。
電力総連組織内では、加賀谷健・前総務政務官(東電)と、参議院内で会派をこえて一定の影響力を持ち会派副会長も務めた元経済産業委員長の藤原正司さんがこの国会で引退。小林さんはあと3年の任期を務めます。党では企業団体委員長などの要の仕事をしています。藤原さんの後継者として、関電労組幹部が新人として立候補。毎回午後8時に当確がでる電力総連ですが、今回はどうなるか分かりません。関電だけでなく電力総連全体で支えるわけですが、関電はもっとも原発依存度が高く、私が知る限り、関電労組は締め付けがきついところがあります。そこで、電力で働く仲間はよりいっそうの団結に向かうのか、それとも。
まあ、正直、小林って誰?という受け止めでしょうが、いずれにしろ、笹森さんの目の黒いうちに東電労組から出ている以上、それなりの人物なんでしょう。笹森さんが新進党結党大会(パシフィコの誓い)で、海部党首に先駆けて結党宣言をした小沢一郎幹事長を面前で激しく批判した姿が冷や酒のように利いています。
名前を知る人は少ないでしょうが、小林さんは勇気のある政治家です。そして、私は世界的に有名な「フクシマ・フィフティ(福島50)」の名前を一人も知りませんが、きっと小林さんのように世界に誇れる、後世に誇れる、勇気ある日本人なんだろうな、と思いを馳せました。
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