渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「電力の安定供給は国力の源です」小林正夫さん 参院予算委 平成25年度本予算 審議

2013年05月13日 21時04分43秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【参議院予算委員会 2013年5月13日(月)】

 国の平成25年度本予算(当初予算)案の審議が大詰め。集中審議「復興、エネルギー、原発、環境など」。

 ところで、先週までずっと勘違いしていたのですが、参院予算委員会の筆頭理事は小川敏夫さんのようです。小川さんはずっと議運の筆頭理事など参議院の要を務めてきていますが、委員名簿には「理事」として会派順、五十音順だけ記載されており、「筆頭理事」とは書かないので勘違いしていました。委員長はいうまでもなく石井一先生(今夏全国比例改選)です。

 さて、小林正夫さんの質疑に政治家としての胆力を見て、久々にすがすがしい気持ちになりました。

 これに先立ち、小林さんはテレビが入っていなかった3月29日の平成25年度暫定予算(成立済み)の質疑で次のように述べています。(参照エントリー国会珍プレー相次ぐ 参議院 人事官、検査官が不同意、NHK予算1人反対、平田議長お茶目な一面も)。


 「最後に、小林の思いを申し述べて、質問を終わりたいと思います。福島第一原子力発電所の事故でございます。この事故について言葉が見付かりません。日々、胸が痛む日が続いているということが正直なところでございます。被害に遭われた方たちが一日も早く元の生活に復帰できること、そして福一の原子力事故、あの現場が一日も早く完全収束になる、このことを私は期待をし、また今後そういう過程を見守っていきたいというふうに思います。そのことを申し述べて、私の質問を終わります。」

 きょうの小林さんは、何か思い詰めたようにも見えましたが、泰然自若を心がけているのが画面を通じて、伝わってきました。

 小林さんは「きょうの集中審議のテーマに従って、エネルギーについてお伺いします。総理は、原子力発電をどう位置づけているのか。民主党は「2030年代に原発ゼロ」という考えを打ち出しています。今、日本の原発が停止し、稼働しているのは(関西電力大飯原発の)2機のみです。しかし、火力発電は9割で、燃料は外国から輸入している」とし、「燃料費は年間3・8兆円。1日にして100億円の国富が外に出ていることになる。産業界から悲鳴が出ている」と語りました。

 安倍首相と茂木経産相は、再生可能エネルギーの比率を上げながらも、原子力発電の必要性を答弁しました。

 首相は「わが国は世界的にみても高い核燃料サイクルの技術を持っています」と語りました。ここで、小林さんは「もう1歩踏み込んで聞きますが、核燃料サイクルを続けていただきたい」と語ると、首相は「続ける」と明確に答弁しました。

 ここまで小林さんは自分が東電社員であると明かさずに質問していましたが、毅然として次のように語りました。

 「福島第一原子力発電所事故はわが国の電力需要を変えてしまいました。放射能被害を受けた人に心をからお見舞いを申し上げます。そして、あの日(「3・11」のこと)以来、あの構内で収束にがんばってくれている方に敬意を表したい。原発(による電力供給見通し)が修正しているなかで、電源構成が不安定になっている中、安全はすべてに優先します」と声を絞り出し、「わが国は停電の回数は」と経産相に質問。経産相が「(1世帯に)平均して10年に1回」と答弁すると、小林さんは「世界に誇れる電力の供給体制だ」としました。

 そして、「きょうはテレビ、ラジオ、インターネットで放送されています」と確認した上で、堂々と「電気の道」と書かれたパネルを掲げて、「電気はすべてつながっていないと供給できません」と語りました。4月2日の閣議決定では、2015年に発送電分離の法案提出が予定されていると指摘し、「私たち(国会議員)はきょうより、あすが良くなるために法律(法案)を議論しています。発送電分離をすると、離島、中山間部への発電、送電はどうなりますか」。経産相は「委員のおっしゃるとおりで、離島は送電網がないので、離島内で発電しなければいけないので、電気代は高くなるだろう」と語りました。

 小林さんが「あまねく地域に電力を供給できているのは日本の誇りです。同じ料金で供給できている。

 電力の安定供給は国力の源です。 

 電力で働く仲間の労働災害は多いです。発送電を分離して、連絡体制、例えば、電線への送電の停止などの連絡体制は大丈夫なのか」と問うと、首相はマニュアルをつくるという趣旨のこころもとない答弁。

 甘利経財相は「電力はつねに需給はあわせておかないといけない緊張感のある商品です」として、「シェールガスで代替する」などと答弁しながらも、最終的には「原発を再稼働する」と述べました。

 小林さんは電力総連、東京電力労働組合の働く仲間の推薦で国会に出ています。小林さんは、先代の長谷川清さんや、東電労組出身の笹森清・元内閣顧問(第4代連合会長)同様に高卒です。長谷川さんも都立世田谷工業高校だったと思います。小林さんは生徒会長を務めるなど、政治家への意識は早くから持っていたようです。東電社員としては送電部門に長くかかわっていた、と国会質疑で述べています。

 電力総連組織内では、加賀谷健・前総務政務官(東電)と、参議院内で会派をこえて一定の影響力を持ち会派副会長も務めた元経済産業委員長の藤原正司さんがこの国会で引退。小林さんはあと3年の任期を務めます。党では企業団体委員長などの要の仕事をしています。藤原さんの後継者として、関電労組幹部が新人として立候補。毎回午後8時に当確がでる電力総連ですが、今回はどうなるか分かりません。関電だけでなく電力総連全体で支えるわけですが、関電はもっとも原発依存度が高く、私が知る限り、関電労組は締め付けがきついところがあります。そこで、電力で働く仲間はよりいっそうの団結に向かうのか、それとも。

 まあ、正直、小林って誰?という受け止めでしょうが、いずれにしろ、笹森さんの目の黒いうちに東電労組から出ている以上、それなりの人物なんでしょう。笹森さんが新進党結党大会(パシフィコの誓い)で、海部党首に先駆けて結党宣言をした小沢一郎幹事長を面前で激しく批判した姿が冷や酒のように利いています。

 名前を知る人は少ないでしょうが、小林さんは勇気のある政治家です。そして、私は世界的に有名な「フクシマ・フィフティ(福島50)」の名前を一人も知りませんが、きっと小林さんのように世界に誇れる、後世に誇れる、勇気ある日本人なんだろうな、と思いを馳せました。

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篠原孝さん、野党なのに修正案・付帯決議を両方発議の離れ業 衆・環境委

2013年05月10日 18時12分02秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【衆議院環境委員会 2013年5月10日(金)】

 きょうは衆院環境委で珍しい出来事がありました。

 閣法である「フロン回収・破壊法の改正法案(183閣法61号)」が5党修正で可決しました。5党とはもちろん、「自公【民】維み」ということで、「自公民」と「民維み」を民主党がブリッジしたものでしょう。

 この採決で、5党共同提出の修正案を野党側筆頭理事の篠原孝さんが趣旨説明しました。

 これが可決された後、同じく5党提出の付帯決議案が出ましたが、これまた篠原孝さんが趣旨説明しました。

 与野党共同提出の修正案や付帯決議案は、実務者がそれぞれの名前を出すという不文律があります。5党提出で修正案と付帯決議案を同じ議員が読むのは異例です。しかも篠原さんは野党側筆頭理事です。野党側筆頭理事が内閣提出法案の修正案を出し、さらに付帯決議案も出して可決させたのは、憲政史上何度目かは知りませんが、極めて異例。

 そもそも環境委員30人のうち民主党は3人しかいないので、「実務者」と「筆頭理事」が兼務。仕事が早いので、与党側筆頭理事(元環境副大臣)も「やってください」。さらに「民維み」で唯一政権担当経験がある。

 とはいえ、何でも与党を助けてばかりというわけにはいきませんが、法律の本則・付則や付帯決議のなかで、「何年後に見なす」という見直し規定を入れることで、民主党は「見直すときに政権を取り返す目標」、自民党は「今国会成立」のギブ・アンド・テークができているようです。

 民主党の異端児ともされる篠原さんですが、「篠原筆頭理事」で絞ってみると、民主党の体質の変遷を追えます。

 第1次野党期には、スキャンダルで「大臣の資質」に疑問があるため、副大臣、政務官に質問する戦術をとりました。伝統的に与党・自民党は党内政調部会重視で、国会軽視ですから、小泉チルドレンらは大臣に質問しないため、大臣は手持ちぶさたに心が空白になったようです。しかし安倍首相からは「ガンバレ」と言われ、そして連休明けに、大臣席まで空白になりました。理由は分かりません。安倍首相も党内タカ派の仲間を失い「慚愧に堪えない」とかなりショックを受けていました。間違いなく「憲政史上最強の野党理事」は参院選大勝後に、自ら外務委員への移籍を申し出ました。

 その余勢を勝って実現した第1次与党期では、篠原さん自らスカウトした後輩が農水政務官になってしまい、自らは政府外に。玄葉光一郎・財務金融委員長のもと筆頭理事を務め、マニフェストになかった「中小企業金融等円滑化法案」を小沢・山岡国対の指示で強行採決。本会議で玄葉委員長解任決議案、松本剛明議院運営委員長解任決議案が審議され否決された後、政権交代後第1号法案として成立しました。

 こういった不条理を飲み込みながらも、篠原さんは地元で「独自の主張」を展開。最も強硬な中選挙区復活論者にもかかわらず、なぜか小選挙区にも強い篠原さんは勝ち残りましたが、党は当然にして下野。こうして迎えた第2次野党期は、自民党政府提出の法案を能力があるので自分で修正しちゃってどんどん可決させる。そして、付則や付帯決議に「見直し規定」を入れて、野心を燃やす。

 能力差のある他党議員に遠慮せず、自分の党の国対にもさほど遠慮しない。党政調に関しては、そもそも篠原さんはネクスト環境相(兼)原発事故収束相なので気兼ねはいらないでしょう。どんどんやる。民主党・無所属クラブ(衆院会派)はまさにオールスターキャストの感があります。

【衆議院本会議 2013年5月10日(金)】

 長妻昭さんが、田村厚労相の「厚生年金基金の解散・存続に関する厚生年金法改正法案(183閣法53号)」の趣旨説明に対する代表質問に立ちました。

 「答弁が不十分なら再質問をします」と宣言して、ストップウォッチを押して質問。再質問を要求すると、伊吹文明議長(イブキング)が「議場内交渉係が協議していますので、急がせますので、お待ちください。いいのか、おい。協議が整ったようですので、長妻昭君に再質問を許しますが、2分間ですので、簡潔にお願いします」と議事を進めました。

 長妻さんは「民主党の年金改革案もありますが、野党になってしまいましたので、年金制度の抜本改革の制度案については自民党からもたたき台を出して欲しい。(国民会議に連動した実務者による)3党協議や(昨年の)3党合意を守る気はありますか」と質問しました。

 ところが、どういうわけか、ふたたび自民党の議場内交渉係が登壇し審議がストップ。イブキングは「おいおい、いいだろう。答弁してもらったら。おい」と言って、民主党の議場内交渉係(渡辺周・議運筆頭理事)を呼びますが、当然、自民党の理事もついてきました。そしてイブキングは、渡辺さんを隣に従え、「総理に(長妻再質問の気に入らない点も含めて)答弁してもらえばいいだろう」と自民党の議場内交渉係を叱りました。 


[画像]伊吹文明・衆議院議長。民主党の渡辺周・議場内交渉係を従える格好で、自民党の議場内交渉係を注意するようす、2013年5月10日(金)。

 安倍総理は再答弁で「3党協議の状況や国民会議を踏まえて検討します」と明言。

 民主党にとっては非常に重要な答弁となりました。

 イブキングは第180通常国会の衆院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会(中野寛成委員長)の野党側筆頭理事でしたし、(関連エントリー一体改革特、自民党質問がスタート 伊吹文明筆頭理事はもっとまっすぐな志でのぞめ!)、長妻さんは実務者として修正し、社会保障制度改革国民会議法の筆頭発議者となっていました。

 この、イブキングの絶妙な、長妻フォロー、いや3党合意フォローに、「3党合意でまったく汗をかいていない」とされる安倍首相(自民党総裁)が「3党協議と国民会議尊重」を答弁しました。そして、次に登壇した議員が「私は3党合意の3党に含まれていない日本維新の会の伊東信久です」と、センスが良いというか、政治家としては正直すぎるというか、そういう演説の下、3党合意がしっかりと進むべき道を示しました。

【参議院本会議 2013年5月10日(金)】

 マイナンバー法案が参院本会議で審議入りしました。事前の採決日程にさきだって、大臣の趣旨説明と質疑が行われました。異例の議事次第であり、おそらく安倍首相、甘利一体改革担当相のスケジュールの都合だと考えますが、3党合意の低所得者対策の実現に不可欠なマイナンバーだけに、少しでも早く成立させようという意欲がうかがえました。

 代表質問で、事業仕分けなど行政改革担当の内閣府副大臣を務めた民主党の藤本祐司さんが「民主主義の原則は、参加と公開と納得である」「デメリットも公開する」と述べ、マイナンバー導入の費用の高さや、個人カードの普及に関する政府のぶれ、施行後3年後の見直し規定による範囲の拡大(による情報セキュリティへの懸念)を質問しました。

 「オープンガバメント」の民主党らしさを示しました。

 
[画像]マイナンバー法案の質問にたつ、前内閣府副大臣で民主党の藤本祐司さん。

【衆議院内閣委員会 2013年5月10日(金)】

 衆院内閣委では、
岡田克也さんが質問に立ち、菅官房長官に閣議と閣僚懇談会の議事録作成について、民主党政権での有識者とりまとめに沿って実施するよう迫りましたが、菅長官は拒否しました。

  
[画像]質問する岡田克也さんと答弁する菅義偉・官房長官、2013年5月10日、衆院内閣委。 

 甘利一体改革担当大臣は「社会保障制度改革推進国民会議と(それにそった3党の国会の実務者による)3党協議はダブルトラック(並行的に)やる。次回の5月17日の国民会議から年金関係の話になっていく」と述べ、3党合意、一体改革関連法の中核である社会保障制度改革推進基本法の履行を明言しました。

 3党合意と、5党修正と、オープンガバメント。

 この骨組みのもと、3年後に全選挙区に候補者を立てられる政党は自民党と民主党の2つしかない。

 「見直し規定」の時期に「与党か、野党か」というのは、これは愚問です。

 進むべき道がはっきりと見えてきました。

 今週の国会は、衆院で昨年6月の改正時の付帯決議を受けた、「災害対策基本法改正法案(183閣法56号)」「復興法案(183閣法57号)」が審議入りました。これは震災の教訓から、復興計画や被災者台帳の作り方をあらかじめ定める法案です。東北の復興はまだまだ時間がかかりますが、震災後国会がようやく、「次(いつか必ずくる次の大災害)」の段階に入ってきた感じがしました。

 そして、
4月25日の参・厚労委(武内則男委員長)で審議入りした脱法ハーブを取り締まる改正麻薬取締法・薬事法(183参法4号)」もきょう衆本で可決・成立しました。


tags 安倍晋三 甘利明 菅義偉

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もはや社会党ではない・・・責任5党がマイナンバー法案「公正な給付と負担の確保」修正で可決 衆本

2013年05月09日 17時34分45秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【衆議院本会議 2013年5月9日(木)】

【マイナンバー4法案、5党修正で可決】


 マイナンバー関連4法案(183閣法3号、4号、5号、7号)が衆院で起立採決され、参院に送られました。今国会中に成立する見通し。

 これは、昨年6月の自公民3党の「社会保障と税の一体改革3党合意」の低所得者対策を実現するために必要な法案。

 そして、政府CIO(統括責任者)の設置根拠法となり、行政手続きを簡素化するという根っこからの行政改革に必要な法案。

 この、「自公民の社保・税3党」と、「民維み・行革3党」の利害が一致。民主党主導の5党修正と速やかな可決が実現しました。

【社会党が衆院予算委で質問時間を失った初めての国会】

 第183回通常国会は記念すべき国会です。

 ついに日本社会党(社会民主党に改称)が衆・予算委から消えました。沖縄の小選挙区と、村山大分社会党の比例復活の2議員がいますが、予算委(50人)、内閣委(40人)に社民党の議席はなく、ついにテレビ入り予算委に登場することは衆議院ではありませんでした。吉田茂内閣からNHKラジオ「国会中継」が始まったようですが、テレビ放送史上初めてのことではないでしょうか。

 社会党は万年野党で、スキャンダル追及と自衛隊問題に明け暮れてきました。過去の予算委の議事録をみると、スキャンダル質疑を正当化するために、防衛庁関連の予算細目はよく聞いていますが、それ以外の役所、たとえば、建設省や厚生省の予算書の中身についてはほとんど議事録に残っていません。財政民主主義において、1000兆円の財政赤字の責任は社会党にもあります。

 なかには改良主義の江田三郎元書記長や、田辺誠・初代シャドウ首相(ネクスト首相)が率いる「政構研派(政権構想研究会)」が政権をめざしていたことは間違いありません。が、政権獲得に必要なはずの過半数の議席につながる候補者を擁立したのは一度だけ。執行部は憲法96条の「改憲発議の3分の2条項」に目を付け、「3分の1の候補者を立てたら改憲を阻止できる。執行部(中執)の責任問題にならない」との理論で、「憲法9条を守る護憲で戦争をしない政党」というイメージを打ち出しました。政構研ですら、「自分の中選挙区に2人目3人目の社会党公認の新人候補が立たなくて済む」という本音もあったでしょう。

 とはいえ、日本社会党は、片山内閣、芦田内閣、細川内閣、村山内閣、橋本内閣、鳩山内閣などで政権を担いました。しかし、いずれも、途中で連立離脱をしています。公明党が立党から30年間野党でしたが、3回の政権はいずれも投げ出していません。今振り返ると、PKO国会での社会党の牛歩戦術に対して、公明党がPKO法とりまとめに舵を切ったという「わずかな違い」が存亡を決したことになります。それはベルリンの壁崩壊直後でした。震災後の今、新しい政治体制をつくるときです。

 これからは、デモクラシー、モナーキー(立憲君主制)のもと、自由主義経済と米中韓との親密かつ対等な外交関係にもとづく2つの政治勢力が交代で天皇陛下と国民をお守りする国会にしていかなければならないし、なりつつあります。

【社会党による自民党のチェックから、立法府が行政府をチェックする本来の姿に】

 そのなかで、「憲法を改正すると日本は戦争をする」、「国民総背番号制を導入すると、国家が国民を監視する」という洗脳によって、のうのうと国有地の党本部で既得権益を貪ってきた社会党が消えました。では、日本は今すぐ戦争をするのでしょうか。今すぐプライバシーがなくなるのでしょうか。遅きに失したとはいえ、新しい日本となりました。もちろん、戦争の危険も、独裁の危険も残っています。自民党だけではありません。民主党も必要なのです。

 そして、国会中心主義という考え方を持ちたいものです。私たちがアクセスしやすいのは国会です。例えば、国会議事堂というのは、金属探知器をくぐれば、誰でも入れます。金属探知器があるから敷居が高いのではありません。逆にいえば、金属探知器をくぐれば、誰でも入れるということです。

 国会によって、内閣提出法案が修正されました。少し引用が長くなりますが、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案、マイナンバー法案の第1条です。


[政府提出法案から引用はじめ]

第一条 この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)及び個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定めることを目的とする。

[引用終わり]

 これが衆・内閣委で次のように修正されました。

[衆議院修正後の法案から引用はじめ] 

第一条 この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより【行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、】かつこれらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)及び個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定めることを目的とする。

[引用おわり]

 このように、第1条にマイナンバーの導入で「行政運営の効率化」。そして、もっとも重要な「より公正な給付と負担の確保を図る」こと。この2つの文が挿入されました。法律が施行されれば、衆参の内閣委はいつでもマイナンバーが「行政運営の効率化」と「公正な給付と負担の確保」につながっているかどうか、国政調査することができます。

 そして、第3条。

[政府提出法案から引用はじめ] 

第三条 個人番号及び法人番号の利用は、この法律の定めるところにより、次に掲げる事項を旨として、行われなければならない。
 一 行政事務の処理において、個人又は法人その他の団体に関する情報の管理を一層効率化するとともに、当該事務の対象となる者を特定する簡易な手続を設けることによって、行政運営の効率化を図り、もって国民の利便性の向上に資すること

[引用おわり]

 これが、次のように修正されました。

[衆議院修正後の法案から引用はじめ] 

第三条 個人番号及び法人番号の利用は、この法律の定めるところにより、次に掲げる事項を旨として、行われなければならない。
 一 行政事務の処理において、個人又は法人その他の団体に関する情報の管理を一層効率化するとともに、当該事務の対象となる者を特定する簡易な手続を設けることによって、国民の利便性の向上及び行政運営の効率化に資すること

[引用おわり]

 このように、 

(閣法)行政運営の効率化を図り、もって国民の利便性の向上に資すること。

(5党修正)国民の利便性の向上及び行政運営の効率化に資すること。

 に国会が書き換えました。「行政運営の効率化が国民の利便性の向上だ」という上から目線が「国民の利便性の向上」「行政運営の効率化」が並べました。

 このような委員会修正。

 かつての自民党と社会党の国対委員長の料亭政治では、社会党が国会での修正を受け入れやむなく賛成に回るというシナリオが事前に用意されていた時代もあるようです。そして、一部の省では官僚が社会党が修正するための「のりしろ」を付けて法案を書いていたとも聞きます。

 今回の修正。客観的に官僚がわざと書いて、野党議員を回って「先生、これでお願いします」と用意したのりしろにはとうてい思えません。仮にそうなら大物過ぎます。ただ、5党とも、それぞれの支持者から後で不満を言われることに敏感になっているなあ、という気配は審議を聞いていて感じました。

 政治を国民の手に取り戻す。国会中心主義はどんどん進んでいて、この日の衆院では、災害が起きた後に、復興基本計画をつくる手順などを定める法案も審議入りしました。言うまでもなく東日本大震災の教訓にもとづくものです。この法案は昨年6月に改正された際に、事前に衆議院の付帯決議で「抜本改正」が盛り込まれていました。「3・11」の前には戻れませんが、なんとか次の震災に備える段階までノンストップ国会はやってきました。

 マイナンバー法案の5党修正と付帯決議による可決。討論なしで、あっさりと起立採決で終わりました。

 社会党が消えた第183回国会。

 三文雑誌とワイドショーの政治はきょう、完全に終焉しました。

 関連エントリー)

◎3党合意と5党修正が切り開いた「茜色の空」 マイナンバー社会保障と税の共通番号法案、修正可決

◎マイナンバー法成立へ 後藤祐一さんの「官房副長官めざす人のポイント」反映 「自公民維み」5党共同修正

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参議院、川口順子・環境委員長を解任 見習ってほしい武内則男・厚生労働委員長の「4・25」

2013年05月09日 10時58分24秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]2013年4月25日(木)の参・厚生労働委員会で「4階建て」議事を進める、民主党の武内則男さん、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【参議院本会議 2013年5月9日(木)】

 連休明け国会最初の参・本は「環境委員長川口順子君解任決議案」(183決議案3号)が議題になるという後味の悪いスタートとなってしまいました。

 決議案は、投票総数230。

 白票(賛成)123票

 青票(反対)107票。

 で可決されました。この結果、参議院は川口順子議員を環境委員長から解任しました。委員長解任は憲政史上初めて。後任の委員長は次の本会議で選挙される見通し。

 きょう付けの読売新聞社説で、参議院規則で委員長代理を立てられるとありました。これは参議院規則第31条「委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、理事がその職務を行う。」とあります。川口氏の場合は、「事故」でも「欠けたとき」でもないので、これは使えないでしょう。これに関しては2年前の連休明け国会の5月10日の参・総務委で二大政党間のやりとりがありました。(「まず委員長席に座っている人にお聞きします。あんた誰なの?」 参・総務委)。読売新聞論説委員も政局報道に明け暮れたうえで論説委員のポストを勝ち取ったのでしょうが、あまり付け焼刃で参議院規則を引用しないでいただきたい。

 後味の悪い政局を終え、参議院規則74条の4に基づく、本予算案の常任委員会への委嘱審査から正常化しました。なお9日に常任委委嘱審査、10日に特別委委嘱審査をする日程は7日午後1時ごろの予算委で全会一致で決定しており、この後の午後3時に、解任決議案が出たことから、日程が混乱したのだろうと推測します。参議院事務局委員部ももう少し、個別の議員と仲良くなってコミュニケーションをとってもいいのではないでしょうか。

 川口さんが環境委員会をすっぽかした4月25日(木)。この日は、連休前国会最後の参院本会議への上程法案(上がり法案)を処理する最終日ですが、川口順子さんと大きく明暗を分けた議員がいました。

 民主党・新緑風会で、高知選挙区で今夏改選を迎える武内則男さんです。 

 この日の厚生労働委員会は午前9時1分開会、午後2時47分散会。この中で、労働に関する集中審議、厚生に関する集中審議をやったうで、議員立法を2本可決しています。

 この日の議事次第は次のとおりです。

[議事録から引用はじめ] 

第4号 平成25年4月25日
第183回国会 厚生労働委員会 第4号
平成二十五年四月二十五日(木曜日)
   午前九時一分開会
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (雇用、労働等に関する件)
 (病院勤務医の宿日直の取扱いに関する件)
 (高額療養費制度の見直しに関する件)
 (抗がん剤による副作用救済制度の検討に関する件)
 (臨床研究における被験者保護に関する件)
 (民間医療保険の直接支払いサービスの是非に関する件)
 (保育所の待機児童解消の在り方に関する件)
○再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案(衆議院提出)
○麻薬及び向精神薬取締法及び薬事法の一部を改正する法律案(津田弥太郎君外十四名発議)

[引用いったんおわり]

 となっています。

 環境委員会がすっぽかされた中で、厚生労働委員会はこれだけの仕事をしました。

 最後に武内委員長は次のようにあいさつして、この日の委員会をしめくくっています。

[議事録から再度引用はじめ]

○委員長(武内則男君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。

 委員長より一言申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 両筆頭の大変な御努力もあって、本日、四階建てという御指摘もありながら、委員並びにオブザーバーの皆さんの御理解もいただいて、本日二本の法案、採決をすることができました。改めて両筆頭を含め、理事、オブザーバーの皆さんの御協力に感謝を申し上げたいというふうに思います。
 いよいよ大型連休に入ってまいります。言うまでもなく、厚生労働行政は国民の生活に本当に密接に関連をした法案を多く抱えておりますし、関係者を始め国民の皆さん方が早期の成立を望んでいる法案もございます。そうした法案の十分な審議と円滑な委員会運営に委員長としても最大限引き続き努力していく、そのことを申し上げながら、二点。
 一つには、今回の丸川政務官をめぐっての委員会でのやり取り、一企業の宣伝広告に掲載をされたという事実。そして、政務官に既に就任をされていたというこのことについては、厚生労働省、政府としても厳正に受け止めていただいて、御対応を心からお願いをして、本日の委員会については、これにて散会をいたしたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
   午後二時四十七分散会

[引用おわり]

 このように労働分野の集中審議、厚生分野の集中審議、さらに衆法「再生医療推進法」、参法の「脱法ハーブを規制する麻薬取締法および薬事法の改正法案」の趣旨説明を受けて、採決し、可決しました。翌日の本会議で、再生医療推進法は成立し、平田健二議長が天皇陛下に奏上。参法は、可決し、衆院に送付しました。

 これに対して、放射能被害の法案も出ている環境委員会が開けなかったのは、国会としての大失態です。自民党議員がいかに、党内の部会や総務会を優先し、国会を軽視してきたか如実に表したエピソードです。

 このように駆け込みで法案を成立させる、現在では野党の武内則男さん。民主党・新緑風会では、予算委員会理事や、議院運営委員会理事を務め、未来の会長候補です。

 高知市議から参議院議員に。実は武内さんは悪名高き自治労の組織内です。しかし、自治労だからなんでも悪いわけではありません。太い声で堂々と演説し、理事として動き回り、委員長として閣法でも衆法でも参法でもドンドン審議するその姿。 


 高知県連は民主党結党時は組織が強かったのですが、仕切り役だった医療法人理事長が衆院議員をやめてからはあまり強くありません。改選1議席の参院高知選挙区では自民党は若手県議を公認。3年前にも出ています。そのときは、坂本龍馬だか分かりませんが「幕末の志士の着物姿のコスプレ」を平然とホームページに出していました。落選後、3年経って、今回はそのようなコスプレは出していません。自民党高知県連の先輩に叱られたのなら、それは自民党の良い点です。が、国政をめざす若者にありがちな勘違いを感じます。現職の武内さんの国会内での仕事ぶりを見てください。「自治労だからだめ」では一面的に過ぎます。武内さんは川口さんと違って東大はおろか大学も出ていませんが、ずっと志のある政治家だと感じます。

 民主党は自治労や日教組組織内議員や支持者の要望をくみ上げながら、政策を練り、決定した党議に従う。それが民主党の「民主中道勢力の結集」であり、「連合収斂」です。


 自治労を毛嫌いしないでください。産別のトップはたいてい「会長」ですが、自治労はいまだに「中央執行委員長」と呼んでいます。古くさいですがそれも個性です。連合の会長代行も兼ねている自治労中央執行委員長は徳永秀昭さんです。あの有名な歌手の「徳永英明」と同姓同名です。

 今回の後味の悪い川口委員長解任決議案。徳永英明さんの透明感のあるボイスを聞いて、残り1ヶ月の国会をしっかり仕上げていきましょう。前へ。




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夏の決戦に向けてメンテナンス! 衆国交委で、道路・港湾・水防・河川法改正案が一斉に審議入り

2013年05月08日 16時59分03秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]道路法改正法案、港湾法改正法案、水防・河川法改正法案の旧建設省関連3法案の趣旨説明をする太田国交相、2013年5月8日(水)、衆国交委、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【衆議院国土交通委員会 2013年5月8日(水)】


 さあ夏の決戦に向けてメンテナンスの始まりです。

 「道路法などの改正法案(183閣法33号)」、
 「港湾法などの改正法案」(183閣法34号)、
 「水防法および河川法を改正する法案(183閣法47号)」 

 の旧建設省関連3法案が審議入りしました。

 太田国交相が趣旨説明しました。

 12年前の通常国会というと、古い話に聞こえるでしょうが、自民党あるいは与党が最後に勝った参院選の前の通常国会です。

 この12年前の第151通常国会でも水防法は改正されました。この後の参院選で自民党は小泉ブームで大勝しました。安倍首相の政権運営は、この国会を模範にしている節があります。

 道路法も、第159通常国会(年金国会)で、道路公団民営化にあわせて改正されました。このときの参院選で自民党は岡田民主党に負けましたが、土俵際の踏ん張りにつながったのかもしれません。

 このように旧建設省関連の、道路、港湾、河川(ダム)の法案で自民党支持団体を締め付けるのでしょう。

 道路法改正法案は次のような内容です。 

[道路法などの改正法案から引用はじめ]

 道路法改正法案には「道路管理者は、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため災害の発生時において道路管理者以外の者が道路の特定の維持又は修繕に関する工事を行うことができることをあらかじめ定めておく必要があると認めるときは、その管理する道路について、道路の維持又は修繕に関する工事を適確に行う能力を有すると認められる者(第二号において「維持修繕実施者」という。)との間において、次に掲げる事項を定めた協定(以下この条において「維持修繕協定」という。)を締結することができる。

[おわり]

 とあります。ですから、都道府県道、市町村道とも、道路のメンテナンスにあたる業者をあらかじめ契約しておくことができます。

 これは、道路メンテナンス業を商っていない私としても、ぜひとも、契約したいですよね。入札したり、随意契約しなくてもいいわけですから。協定を結んでおけば、あとは、「メンテナンスしてよ」と依頼すればいいわけですから。

 さらに、重量の重い自動車は他の道路に誘導しやすくなります。これも太田国交相の言う「リダンダンシー(一本だけでなく他のルートがある余裕のある道路政策)」につながるのだろうと考えます。7日の参院予算委では公明党の改選議員が道路メンテナンス技術の海外輸出を提案。ぜひ成長戦略として国策として取り組んで欲しいものです。

 4月15日の衆院予算委の分科会で、公明党の新人議員が同僚の太田国交相に質問しました。この議員は福岡出身の比例九州ブロック単独。早大法学部卒の弁護士の40歳代です。

 「私の実家は建設会社で、10年前に倒産しました。その中で、公共工事の単価が下がってきたのを肌身で感じました」。

 かねてから、公明党議員は弁護士が多く、政策立案能力に優れた同党の大きな人材供給源でしたが、あまり建設会社が実家というのはなかったように感じます。

 道路法、港湾法、河川法を細かく改正し、既得権益者を選挙運動に巻き込む自民党の伝統的な手法に、公明党が巻き込まれていっているような気がします。朱に交われば赤くなる。最近では、建設会社社長も「大衆」「庶民」なのでしょう。創価学会はもともと、零細の建設業者向けの金融会社が源流です。それは『人間革命』、『新・人間革命』でよく言及されています。

 景気循環はコンドラチェフ循環といって、50年で景気が一回りするという説があります。50年経って、日本が貧しくなって、また新しく立ち上がりつつあります。そこで建設業者の出番ということになります。

 ぜひ建設会社には立ち上がって欲しいですが、それ以外の庶民も選挙運動を手伝い、当選議員とつながりをもち、いつでも、国政の情報を得たり、国政に声を届けるようにしたいところです。

 公明党はメンテナンス!

 民主党はビルド!

 私たち民主党支持者も当選可能性が高い選挙事務所に駆けつけ、来訪者名簿に名前を書いたり、書かなかったりしながら、楽しくビラ折りなどの作業をしましょう。そうして、国政とのパイプを作りましょう。民主党候補予定者は、自民党候補予定者よりもずっと敷居が低いです。それだけは民主党の持ち味です。

 かつて新進党でともに苦労を味わった旧公明党ですが、残念ながら民主中道勢力の結集については、私は断念しました。逆に公明党が自民党側陣営にいることで、スムーズな政権交代ある二大政党制が実現するような気がしています。ぜひ、参院選で公明党には、埼玉選挙区などで全勝し、連立与党内での発言力を増して欲しいと考えます。

 公明党がんばってください。日頃からのメンテナンスで、夏の参院選、埼玉、神奈川、東京、大阪で圧倒的な票差で自民党をやっつけてほしいと場外から願っています。

 そして、自民党は悪の枢軸です。かつてちょとだけ垣間見た「御書」の一部分を思い返す次第です。

 百千万億倍もご用心あるべし!

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参議院は川口順子環境委員長を解任すべきだ 「新しい環境省」への思いなし 「谷垣問責」の過去も

2013年05月07日 23時59分59秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

(初投稿日時は2013年5月8日(水)午前8時半で、バックデート)

[画像]環境委員長選任のあいさつをする自民党の川口順子氏、第182臨時国会、2012年12月28日(金)、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 民主党・新緑風会ら「民維み」3党および生活の党、日本共産党、社民党、みどりの風、新党改革の8会派は連休明け初日の2013年5月7日(火)午後3時、橋本雅史・参議院事務総長に「環境委員長川口順子君解任決議案」(183決議3号)を提出しました。

 自民党の川口氏が参・議運委への届け出に背いて、連休前国会中に帰国せず、参・環境委員会が開けなかったため。解任は当然です。

 こちらをご覧ください。環境省の国会提出法案です。

環境省ホームページから引用はじめ]

●第183回国会(平成25年通常国会)

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案
大気汚染防止法の一部を改正する法律案
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案
放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

[引用おわり]

 このように6本の法案を閣法(内閣提出法案)として出しています。環境省は第164回国会(第3次小泉内閣)で6領域7法案を出しています。今国会は6領域6法案ですので、事実上最多タイの法案本数となります。この中には東電福島原発事故による放射能被害に関する法案も入っており、震災後の「新しい環境省」の仕事も含まれています。内閣官房内閣総務官室がつくっている「第183回通常国会提出予定法案調べ」では、法務省が9本、国交省が8本、厚労省が7本、環境省が6本となっています。環境省の提出予定本数がベスト5入りするのは極めて異例です。

  「2643億円」ーーこれが川口環境相が第1次小泉内閣で組んだ平成14年度予算の環境省の予算総額です。
 「1兆3914億円」ーーこれは東日本大震災を受けた平成23年度最終補正(4次補正)後の環境省の一般会計予算総額です。

 私は長年、役所は予算が増えれば増えるほどうれしいのだろうと考えていましたが、津波によるおびただしい震災がれきの発生は環境省の予算を年度途中で7倍にしました。それは同時に宿題が7倍になったことと同様です。もともと厚生省にあった廃棄物行政を環境庁に移したため、このような未経験の宿題が積み上がった格好で、橋本行革の失敗であることは明らかです。行政改革会議の橋本龍太郎会長(首相)、水野清・事務局長(首相補佐官)の想像力の欠如です。そのことを水野清さんの後援会を受けついだみんなの党参院国対委員長の水野賢一さんが気に病んで、このところ参院環境委員の常連になっているのだろうと推測します。

 統一地方選で民主党推薦で三重県知事選挙に出馬する予定だった四日市出身の南川秀樹・審議官がきゅうきょ次官就任の話が出て知事選を回避して、環境事務次官になりました。昔の霞が関の常識では考えられないことですが、不思議な巡り合わせで、南川次官のリーダーシップで環境省はよくがんばってきました。ことし元旦には、福島駐在の39歳のキャリア官僚が「今富士山にいる」というメールを兄に出した後に絶命するいたましい「車輪の下」もありましたが、必死に国を支えています。

 このように環境相時代の感覚とは違う役所になった環境省が一生懸命に法案を出していたことに、川口氏は思い至らなかったのでしょう。

 川口氏には自民党の谷垣禎一総裁を落とし穴に落とした過去があります。昨年の第180通常国会の2012年8月29日(水)の参院本会議。この議事録は自民党内の混乱により、いまだにホームページ上に公開されていません。私のノートから再現します。(関連エントリー公明党友情の退席も野田首相問責 参議院野党は支離滅裂)。

 「内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案」(180決議14号)が議題になりました。

 討論ではトップバッターの武内則男さん(民主党・新緑風会、高知選挙区=今夏改選)が「自民党のみなさんは提案理由をお読みになったのか?」「(社会保障と税の一体改革の民自公)3党合意をを否定する内容であり、自民党が賛成するのは節操がない」と呼びかけました。

 次に自民党を代表して川口氏が「賛成」討論に立ち、「決められない政治は与党(民主党)の資質の問題であり、その党首が野田総理である」「参議院は民主党が野田総理を次の総裁(代表の間違え)に(2012年9月の定期代表選で)選んでも、参議院はお迎えすることはない」と野党らしく野田首相を批判しました。そのうえで、川口氏は「自民党は与党力を持っています。いつでも政権に返り咲けます」として、残り任期1年を切っていた川口議員が、どのような手段でも与党に返り咲きたい意思があることをうかがわせました。

 そして、次に水野賢一さんが登壇し、「消費税増税はけしからん。というより3党協議けしからん」と演説しました。事実上、「野田問責」がみんなの党水野参院国対委員長がしかけた民自公への落とし穴であることが明らかになった瞬間でした。同党は衆院選で議席4・5倍増に成功しました。

 
[写真]水野賢一・みんなの党参院国対委員長(兼)参院議院運営委員会理事、みんなの党ホームページから。

 ここで川口氏は、谷垣総裁を落とし穴に落とそうとする自民党一部勢力の一員だったのか、あるいは単純に水野さんがしかけた民自公3党への落とし穴にひっかかったのか、不明です。

 川口氏は小泉内閣で外相も務めています。このとき、最も近い友好国であり、経済大国でもある台湾(中華民国,ROC)への訪問を申し出た水野賢一・政務官(当時・自民党衆院議員)の申し出を断ったため、水野政務官は辞任しました。

 今国会提出予定法案の資料は与野党問わず全議員に配られており、環境省の法案が多いことは、1月~2月の時点で中国大使館の政治部書記官も把握していたはずです。その情報網により、川口氏に元外相の国務委員が面会するという落とし穴がしかけられた可能性があります。 台湾訪問をのぞんだ政務官を辞任させた大臣として、中国は川口氏を「媚中派」として取り込んでいるのでしょう。

 聖徳太子の時代から、日中は対等の二国間関係を持っていますが、それは日本海という地政学的幸運もありますが、政治家たちが適度の緊張関係を保ってきたからです。台湾訪問をしようとした政務官を辞めさせ、国会の委員会を止めさせ、中国国務委員と会うような政治家は解任すべきです。

 清和会は利権の王様。

 川口氏は清和会の会員ではないようですが、小泉内閣の利権中心政治を象徴する隠れ清和会員でしょう。

 その一方で、水野議員についても、みんなの党幹事長代理の要職にありながら大人げない印象を持たざるを得ず、みんなの党の暴走にも自制を促したいところです。 

 良識の府、参議院は力強く、川口順子環境委員長を解任すべきです。

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与党・自民党議員の遅刻・欠席で、連休明け国会大失態のスタート 参・法務委、休憩に【再追記あり】

2013年05月07日 10時46分20秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【2013年(平成25年)5月7日(火) 参議院・法務委員会】

 連休明け国会は大失態のスタートとなってしまいました。一人の日本国民として慚愧にたえません。

 参・法務委員は20人で構成される最も小さい常任委の一つ。

 草川昭三委員長(公明党)が午前10時に開議し、空席の理事に、みんなの党の真山勇一さんを(補充で)選任しました。

 この後、裁判所職員定員法の一部改正法案(183閣法27号)の審議のため、政府参考人として警察庁警備局長らの出席が認められました。この人は「(通称)公安警察のトップ」なので、おそらく「ヘイトスピーチなどの問題」について、質疑があるのだろうと思いました。

 そして、この後、谷垣法相が趣旨説明に入るタイミングで、突然、森ゆうこ委員(生活の党)が「なんで与党(の一部の議員)がいないんですか!」と委員長に声をかけ、委員長が出席議員をかぞえながら、10時7分に速記を止めました。

 国会法49条にもとづく定足数は、委員の半数以上なので10人ということになり、ぎりぎり足りていたようにも見えました。

 この時点で出席が確認できたのは、民主党の前川清成さん、江田五月さん、小川敏夫さん、自民党の礒崎陽介さん、磯崎仁彦さん、公明党の石川博崇さん、生活の党の森ゆうこさん、日本共産党の井上哲士さんらでした。このほかに、参・第23委員会室から出て、探しに行っている理事や議員もいました。この時点でJR東海のホームページでは「新幹線に遅れはない」、羽田空港のホームページでも到着便の大きな遅れの情報はありませんでした。

 おそらく探しに行っても、国会議事堂・議員会館内に誰もいなかったと考えられます。

 草川委員長は10時32分、「いろいろとご存じの通りの経緯ですので、暫時休憩させていただきます。追って連絡させていただきます」として、休憩を宣言しました。今日中に再開できるかは不明。

【再追記 2013年5月8日 午前8時半】

 参議院法務委員会は、休憩のまま再開せず、2013年5月7日(火)午後5時過ぎに流会しました。

【再追記おわり】

【追記 2013年5月7日 午後0時50分】

 Twitter(ツイッター)のまとめサイトである「Togetter(ツゲッター)」で次のまとめを作成しました。ご覧ください。

参法務委が自民党議員欠席で流会!ヘイトスピーチ逃れの疑惑も浮上 2013年5月7日

【追記おわり】

 今国会の法務委員会は法案が多く、木曜日の衆院・本会議で、ハーグ条約国内実施法案が参院に送付される見通し。さらに冤罪死刑囚の方に年金を支給する法案などもあるため、審議日程は窮屈になりました。

 そもそも、今まだ暫定予算中なんですよ。与党・自民党参院議員はたるんでいます。江戸時代なら切腹物の大失態です。

 与党参院議員と同じ国家公務員特別職である自衛官、地方公務員である警察官はおろか、コンビのバイトでも、連休明けに遅刻したら叱られます。このように国会議員が連休明けに遅刻しているようでは、資源のない日本の労働生産性は下がるばかりです。この審議に遅れた参院議員への適正な審判こそ、3本目の矢、最大の成長戦略といえるでしょう。


[画像]野党党首から「長期政権になる」と太鼓判を押されて、相好を崩す安倍首相(自民党総裁)NHK=画像と本文はとくに関係ありません。

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安倍首相「96条改正」に立ちはだかる「0増5減石破・鳥取問題」の厚い壁

2013年05月06日 19時18分49秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

 2013年大型連休のデパ地下は1000円超のお弁当が飛ぶように売れていて、暫定予算中とは思えない光景でした。下野中の民主党にも真摯に経済政策を学んで欲しいと感じます。

 次の祝日は、7月15日(月)の海の日。そのときは、参院選真っ最中です。 

 連休明け国会は、5月7日(火)午前10時に参・法務委が開議され、午後はNHK入り参・予算委集中審議があるなど、初日からラストスパート。終盤国会に入ります。

 第183通常国会は、今週の4日間+5日間×6週間+会期末の3日間=37営業日ということになりました。

 前の任期の1回目の通常国会(第174通常国会)では、連休明けとともに国家公務員給与法案が衆院内閣委で不正常採決。田中けいしゅう(田中慶秋)内閣委員長解任決議案が本会議にかけられ、小泉新次郎さんが賛成討論に立つなか、不正常採決の中心となった議員が杖を付いて本会議場に入るという与党らしからぬ振る舞い。民主党政権は転倒、転落していきました。このときの国会傍聴ノートを振り返ると、鳩山グループの中心的人物から「あまりブログで民主党色を出さない方がよい」とのアドバイスを受けたと欄外にメモがありました。だったら、なぜ2009年5月の代表選で「鳩山ネクスト首相」をつくったのか、とことん問いつめたいところですが、やはり「与党経験のなさ」ということなんでしょう。

 自民党国対は教育がしっかりしているから、今度はそのようなことはないでしょうが、教育係の石破茂・幹事長に大きな問題が浮上しました。

 1票の格差、「鳥取問題」です。連休中のテレビニュースでもまとめられました。



 「衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(183閣法51号)」は公選法の別表をそのままにし、別表第一を、次のように書き換えるとしています。 

「鳥取県 第一区 鳥取市 倉吉市 岩美郡 八頭郡 東伯郡 三朝町 第二区 米子市 境港市 東伯郡 湯梨浜町 琴浦町 北栄町 西伯郡 日野郡」

 つまり鳥取県の定数は2のままです。

 しかし、平成24年3月31日時点の住民基本台帳で、日本の総人口は「1億2665万9683人」です。これを295選挙区で割ると、「42万9355人」が一つの選挙区の人口になります。鳥取県の人口は「58万8715人」です。鳥取県が持てるのは「1・37選挙区」に過ぎません。平成6年政治改革関連4法(細川・羽田法)の各県に1ずつ割り振る「1人別枠方式」は最高裁の「卒業」判決が確定しています。1・37選挙区ならば、四捨五入で鳥取県の定数は「1」であり、鳥取全県区にするのが自然の理。それを「2」にしているということは最高裁が「卒業」を判決した1人別枠方式を残していることになり、立法府が司法府の判断を踏みにじることにほかなりません。まさに、石破爆弾テロです。 

 私は憲法96条先行改正論でも押しつけ憲法を認めてしまうことになる全文改正論でもなく、部分改正で、力強く「自立と共生の国家」像を示すべきだと考えます。ぜひ、改憲したい。だからこそ、石破法案のめちゃくちゃな定数「2」をなんとか阻止して、修正可決のうえ、今国会で成立させて、区割り審の答申を秋に出してもらいたいと考えています。

 このような憲法違反法案を自民党が公明党とともに、今国会で成立させた場合は、参院選の「憲法96条改正公約」は、オピニオン・リーダー層から信を得られなくなるでしょう。すでに自民党系の読売新聞でも「参院修正論」が連休中に報じられ、参院選に向けた軌道修正の動きが党内外に出てきているようです。 この問題は国民の関心は低いのですが、オピニオン・リーダー層の根強い反発があります。特段、石破さんから仕事をもらっている人など、農業、防衛産業でもたいしていないでしょう。力強く石破・鳥取問題の解決に向けて、与野党が力を合わせていきたい、終盤国会となりました。

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今後の政治日程を更新しました 来年度予算・税制改正も加筆しました

2013年05月04日 07時19分49秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議


 「今後の政治日程by下町の太陽」(有料版、レジまぐ社)を更新しました。

http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65&entry=30667

 今回から、参院選後の平成26年度の予算、税制のスケジュール(大枠)を加筆。政策実現のために、勝ち組人生のための一助にしていただければ幸いです。

  

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日本国憲法、民主党内で「部分改憲」が大勢に 江田・長島論争で、条文ごと改憲の「改良主義」へ

2013年05月03日 07時07分04秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]ともに右を向く民主党の江田五月さん長島昭久さん、各々の公式ホームページから。

 ようやく左翼の連中(自称・知識人)に余裕が無くなってきてくれたおかげで、日本国憲法96条の「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会がこれを発議し国民に提案」するという条項を「過半数」にかえる「96条先行改憲論」が一気に勢いが出てきました。

 私は20年来の改憲(自主憲法制定)論者ですが、この「96条先行改憲運動」はあまり知らず、ここに来て勢いを得ているのは意外です。しかし「過半数」となると、時の与党の賛成だけで発議し、低投票率の国民投票で過半数あればいいことになるので、これはよく考えると、よくありません。

 2013年5月3日の憲法記念日を境に民主党内に日本国憲法を条文ごとに改正する「部分改憲論」が浮上しました。

 4月30日の常任幹事会で、民主党憲法調査会の副会長にわれわれ改憲派のオピニオン・リーダー、長島昭久さんが就任。

 これに先立つ30日付読売朝刊4面は参院民主党(民主党・新緑風会)元会長の江田五月さんと長島昭久さんのインタビューを載せ、「96条改正 民主に亀裂」との見出しで民主党対立を印象づけました。

 民主党幹事長の細野豪志さんは2日の記者会見で、「憲法調査会の副会長に長島さんも入ってもらった」と自ら言及し、憲法論争の調和を図りました。自民党が新旧対照表つきで昨年4月に決定した憲法改正草案への対案について、「2005年の民主党憲法提言はよく練れている」「民主党として最優先で提案できるのはどこか。いくつかの条文について具体的に提案したい」と述べ、部分的な改憲案を条文ごとに具体的に提示する考えを示しました。押しつけ憲法論を国家として認めてしまうことになりかねない全文改正案には消極的姿勢でした。

 読売新聞のインタビューで江田さんは「憲法は歴史的な産物で、戦後これだけ時間がたっていろいろ状況も変わっています」とし「たとえば、地方自治について92条に『地方自治の本旨に基づいて』と書いているけど、何が本旨だかよくわかならい」と「部分改憲」に言及しました。江田さんは「民主党内には憲法についていろんな意見があります。しかし、改正消極派も、どこかの政党のように憲法に指一本触れさせないというスタンスは取っていないはずです。共通点を見つければ難しくないと思います。民主党が2005年に作った憲法提言はよくできています。国民にアピールするために、かみ砕き、もう少し簡素にしてみる作業を進めるべきだと思っています」と語りました。

 第8章地方自治は戦後新設されたもので、GHQ押しつけのため、日本語がこなれておらず、新憲法を肉付けした「地方自治法」(昭和22年4月17日法律67号)も、突貫工事の爪痕で、一つ一つの条文は明確な表現でも、 前後の文脈がよく分からない面が散見されました。とくに「県の合併は互いの県議会が決定できる」としながら別の条文で「県の境界線は国会が決める」と矛盾したへんてこな法律でしたが、最近改正されました。憲法も改正すべし。

 長島さんのインタビューでは「現在の憲法はそろそろ限界に来ているように思います。環境権やプライバシー権など新しい人権を明文で盛り込むべきだし、9条の問題に解釈で対応し続けるのも難しくなっています」としました。そのうえで、「民主党が憲法という重要な課題でコンセンサスを作れないようでは仕方がない、とおしかりを受けるかもしれません。ただ、くもりなく見れば、2005年の党の憲法提言は改正の提言なんです。現行憲法の課題を書いているわけで、改正せずに課題が解決できるわけがない。党内でも憲法の中身の議論を早くやりたい。議論をしたうえで、どうしようもなければ党議拘束を外し、政治家の良心に従って発議の投票をするのも一つのアイデアです」としました。



 このうち、プライバシー権については、最高裁判所は昭和56年(1981年)に「前科・犯罪経歴は人の名誉・信用にかかわり、これをみだりに公開されないのは法律上の保護に値する利益である」とし、憲法13条の幸福追求権などから勘案して、憲法上の権利、人権であるとしていますが、現行憲法上に明文はありません。(参照、芦部信喜『憲法(第1版)』103ページ)。

 読売のインタビューでは、江田さんと長島さんは部分改憲で一致しました。

 憲法を全文改正してしまうと、GHQのマッカーサーあるいは民政局の押しつけ憲法であったことを国家として認めることになり、若者の自信を失うことになります。せっかく、社民党が衆院予算委員での議席を失った第183国会。マイナンバー法案も衆院委員会で可決しました。社会党は、幹事長経験者である江田三郎さんを政権交代ある政治を目指している「改良主義者だ」として追い出しました。これは、江田さんが社会主義革命(天皇陛下を殺す暴力革命)の達成ではなく国会の中で日本を良くしようとしているからけしからん、という荒唐無稽な批判です。極端に走った連中が暴走したわけですが、こういう極端な論を展開した方が組織が守れます。一方、社会党が野党第1党でいられたのは、中選挙区制の下、3人区なら1名、5人区なら2名という「3分の1以上」の候補者を出せば護憲政党としての責任を果たせた、という言い逃れができるという執行部と現職国会議員の既得権益が一致したためでした。過半数をとって政権を取ろうという気構えを持った議員は江田三郎さんや田辺誠初代シャドウ首相が率いる「政権構想研究会(政構研派)」にいましたが、「3分の1」に安住する土井たか子氏を担ぐ「社会主義協会(協会派)」が憲法96条を盾に護憲運動を盛り上げ、それにころっと引っかかった「自称・知識人」が脚を引っ張りました。すなわち、社会党は憲法やくざ。改称した社民党がベルリンの壁崩壊から20年後まで衆院予算委に議席を持ち続けてしまったことは、憲法96条は、社会党を助けて日本をくじいたと罪深き条文です。

 その一方で、「だから過半数」という論理のすり替えをしてしまうのが自民党の50年政権の常套手段。政権交代ある保守二大政党になったのだから、自民党はあまり肩に力を入れて極端に走る必要はありません。ある程度政権を担当して、腐ってきたら、民主党に替わってもらって、反省点をノートにしたため次に備えればよい。

 これまでは、改良主義をとった政党は、獲得議席は少数にとどまってきましたが、自民党か民主党かの政権交代ある二大政党政治が実現した今は、互いに改良主義であっても、お互いに一定の議席はとれることになります。

 弱い人を救える日本のためには、権力者は右手が強くなければなりません。憲法の改良主義で、北極星のように不動の憲法(不磨の大典)という理想ををめざし、シリウスのように輝く日本という現実をめざす。それが憲法改良主義であり、日本改良主義です。改良主義の時代がやってきました。

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岡田最高顧問「小泉郵政改革で国民は熱狂したけど10年経って何か良くなったのか?」と演説

2013年04月30日 23時59分59秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

(初投稿日時は2013-05-01 06:29:40で、バックデート)

 2013年4月30日(火)から3日間平日で連休の谷間となりました。いまだに暫定予算のままということで、本予算の公聴会がこの3日間、沖縄県、岩手県、国会内で開かれます。石井一・参議院予算委員長(兼)民主党常任幹事会議長が出張のため、民主党常幹は直嶋正行・両院議員総会長が代行して議事進行を進めました。


[写真]平成25年度本予算審査の地方公聴会のため出張した石井一・参議院予算委員長(今夏改選)。

 
[写真]直嶋正行さんの進行で、開かれた民主党常任幹事会で発言する海江田万里・党代表(ネクスト首相)、2013年4月30日(火)、党本部、筆者(宮崎信行)撮影。


[写真]海江田代表の話に耳を傾ける、江田五月、岡田克也、菅直人各最高顧問。

 この中で、海江田代表は、4月第4日曜日(28日)に開かれた参院山口補選について、前回の衆院選(4選挙区)を上回る得票を得たうえ、無党派層の得票は自民党候補(当選)を上回ったとの調査があるとしました。これは、時事通信が出口調査の結果ととして報道したものです。なお、当選した自民党の江島潔・新参院議員は、海江田さん、野田佳彦最高顧問と同く日本新党1993年衆院初挑戦組(細川チルドレン)のひとり。

 
[写真]民主党両院議員懇談会に出席した野田佳彦最高顧問(2列目真ん中)や菅直人最高顧問(3列目最奥)、民主党本部、筆者撮影。

 この後、「アベノミクス(アベノリスク)」に関する両院議員懇談会が開かれました。党本部の発表によると、衆院議員34人、参院議員29人の合計63議員が出席(他に秘書の代理出席)。

 海江田代表は「「対話と行脚を続けて全都道府県を一巡。昨日から2巡目に入った」と語りました。配付資料の「アベノミクスで皆さんの生活は良くなりましたか?」とのビラについて、「これから代表経験者もあわせて都内5カ所で一斉街頭演説会で配布します」とし、「理解を得られるマニフェスト(参院選公約のこと)をつくるために、話しあっていただきたい」と語りました。

 これについて、自由討議(マスコミ非公開)では、改選組の参院議員から「アベノミクス批判も良いが、自民党の土俵で勝負するのではなく、民主党の強みである社会保障の政策など、民主党政権の成果を今一度アピールすべきだ」との意見が出ました。

 
[写真]演説する岡田克也最高顧問(中央)や、大河原雅子参院議員(今夏改選)ら、東京・世田谷、2013年4月30日(火)、筆者(宮崎信行)撮影。

 党本部を飛び出しての街頭演説会では東京・墨田で、海江田代表と野田最高顧問の新旧代表がそろい踏み。町田市で菅最高顧問、北で細野豪志幹事長、枝野幸男元官房長官、鈴木寛参院議員(今夏改選)、大田で桜井充・政調会長、原口一博ネクスト総務大臣らが演説しました。

 東京・世田谷では、岡田最高顧問が「およそ10年前の小泉さんの失敗を繰り返してはいけません。郵政はよくなりましたか?あのときにいったいなぜ多くの国民が熱狂したのでしょう」と切り出すと、「そうだ、そうだ、何も良くなっていないぞ」と中年男性から合いの手が出ました。岡田さんは続けて、「アベノミクスで何でもよくなるような報道が多いが、第1の矢、第2の矢で一時的に良くなっているが、もっとも大事な第3の矢が出てきていない」と成長戦略がないことを批判しました。その中で「予告編」のかっこうで、安倍首相が女性の子育て支援を挙げたことについて、「待機児童をなくすのは大事ですが、その財源をつくったのは誰か。それは野田さんです」と語り、安倍首相の政策は、待機児童をなくすというだけで新しいことが何も加わっていないと批判しました。「今、衆議院本会議場に行くと、自民党は(およそ)300議席を得ている。しかし、このまま参院選も(同じような議席占有率で)いくとこの国はまた後戻りをします」と語りました。

 岡田さんは演説会に参加した都議3期目(それに先立ち区議2期)をめざす山口拓さん(40歳、新生党秘書会出身)や、都議2期目をめざす関口太一さん(37歳)について、「私たちに力を与えてください」として、都議選、参院選を活用して、改革の党としての民主党の足腰の強化に協力して欲しいと呼びかけました。

 聴衆は50人~100人~500人(三軒茶屋駅とキャロットタワーへの通行者などを含む)。
 地下鉄からの出口では「あの人じゃん、岡田さん」と会話し興味を示す1990年前後生まれの女性2人組や、「蓮舫さんと岡田さんだ」と電話する1980年代生まれの普段着姿の男性、「聞いたような声だと思ったら岡田さんじゃないか」という1960年前後生まれの男性がスタッフに話しかけるといった反応がありました。

 蛇足ですが、東京急行電鉄の三茶(三軒茶屋)駅から路面電車の世田谷線の三茶駅の間は距離があり、通勤時間帯にはものすごくたくさんの人が歩いているのですが、地下道が出来ていて20年ぐらい前に見た光景と違っていて、びっくりしましたが、これも地下道になってしまって、お日様が仰げないのは残念です。まあ、良くも悪くも東急らしいといえば、それまでですが。

 なお、蓮舫さんの演説に、「青天白日旗」をもって演説を妨害している男性2人組男性がいました。青天白日旗は中国国民党旗であり、台湾旗です。青天白日旗が現在も2000万人の豊かな人々の生活を支えるナショナル・フラッグであり、日本にバナナを供給してくれるのは、明治維新・日露戦争後、蓮舫さんのお父さんが日本で貿易商社を興したり、岡田さんの曾祖父の高田隆平さんが中華民国を建国した孫文に「1宿1飯」の支援をしたおかげであることを、私たち震災後日本人は知らなければなりません。たまたまこの日、フェースブック上の別々の台湾人の友人の一つは「きょうは公営プールで泳ぎました」という写真と「きょうは高雄駅に来ました」という写真のそれぞれ別の写真。とくに高雄駅は20年1ヶ月前に直接訪れた場所だけに、台湾と日本の生活水準の違いがあまりにも変わってしまっていることに驚いただけに、青天白日旗をもっての妨害と、それをいさめない普通の日本人に残念な思いがしました。2009年7月に見た「小手指のおじさん」(こてさしのおじさん・昭和10年代生まれ)のような人はなかなかいません。

 民主党への反応は良かったように感じましたが、いずれにしろ、組織のねばりがすべてです。

 

tags 小泉純一郎 安倍晋三

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羽田孜さん桐花大綬章、中野寛成、藤井裕久さんら旭日大綬章 政権交代訴えて、たった一度の人生で勲章

2013年04月29日 06時03分50秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]平成25年春の叙勲で、桐花大綬章を受章する羽田孜さん、旭日大綬章を受章する中野寛成さん藤井裕久さん(それぞれ、首相官邸ホームページ内写真から)。

 政府、内閣府賞勲局は2013年4月29日、平成25年春の叙勲4099人を発表し、発令しました。

 このうち、桐花大綬章には羽田孜・元内閣総理大臣(77歳)が選ばれました。

 旭日大授章には元衆議院副議長の中野寛成さん(72歳)、元大蔵・財務大臣の藤井裕久さん(70歳)、元法相の中井洽さん(70歳)、元法相の滝実さん(74)ら。

 民主党から叙勲したのは次のみなさん。

【桐花大綬章に羽田孜さん】


[写真]羽田孜さん(右)、筆者(宮崎信行)撮影。

 受章理由は「内閣総理大臣として国政を担当したほか、多年にわたり国会議員として議案審議の重責を果たした」。

 与党・自民党で小選挙区制による政権交代ある政治をめざして「改革フォーラム21」を結成し代表に就任。1993年6月18日の宮澤解散の後、新生党を結党して党首に就任。政権交代後の細川内閣で副総理、羽田内閣で第80代首相。その後、民主党幹事長、最高顧問を務めました。

 報道機関向けに発表したコメントでは、「政治改革と政権交代可能な2大政党によるダイナミックで緊張感のある本物の政治を興したい一念だった」、「2度の政権交代は私なりに満足のいく改革の成果で、民主政治の更なる発展の礎になった」としました。

 おめでとうございます!

【旭日大綬章に中野寛成さん】


[写真]中野寛成さん、筆者(宮崎信行撮影)。

 受章理由は「衆議院副議長として国会の円滑な運営に寄与した」。

 日本で初めて「政権交代をめざす野党」を合い言葉にした民社党結党に参画し、衆院議員に。党首も務める。民主党幹事長・国対委員長を経て衆議院副議長。政権交代後に国務大臣。現在は中央選挙管理会の会長代理。

 おめでとうございます!

【旭日大綬章に藤井裕久さん】


[写真]藤井裕久さん、筆者(宮崎信行)撮影。

 受章理由は「財務大臣などとして、国政の枢機に参画した」。

 改革フォーラム21結成、新生党結党に参画して、細川・羽田内閣で大蔵大臣。民主党に入党し、民主党幹事長、民主党代表代行。政権交代後に財務大臣、民主党税調会長。

 おめでとうございます!

【旭日大綬章に中井洽さん】

 受章理由は「法務大臣などとして、国政の枢機に参画した」。


[写真]中井洽さん、首相官邸ホームページから。

 民社党で羽田内閣で法相。民主党に入党し、政権交代後に国務相。おめでとうございます!

【旭日大綬章に滝実さん】


[写真]滝実さん(左)、筆者(宮崎信行)撮影。

 受章理由は「法務大臣として国政の枢機に参画した」。

 民主党に入党し、政権交代後に法相。おめでとうございます!

 ◇

 このほかの旭日大綬章は、民主党政権で閣僚を務めた与謝野馨さん(74歳)。

 
[写真]与謝野馨さん、首相官邸ホームページから。

 さらに公明党の池坊保子・元文部科学副大臣。自民党からは大野功統元防衛庁長官(77歳)、久間章生元防衛相(72歳)、中馬弘毅元行革相(76歳)の4元衆院議員、元法相の前田勲男・元参院議員(70歳)の5人。さらに自民党政権で閣僚を務めた遠山敦子・元文科相(74歳)。

 そして那須弘平・元最高裁判所裁判官(71)、宮川光治・元最高裁判所裁判官(71)。

 民間からは植松治雄・元日本医師会長(81)、羽佐間重彰・元産経新聞社会長(84)、吉田二郎・元南海電鉄会長(79)が選ばれました。

 ◇

【旭日重光章に山下八州男さん】

 民主党結党メンバーで岐阜県選出の国会議員をつとめ、政権交代後の2010年参院選で惜敗した山下八州男さん(70)に旭日重光章。おめでとうございます!

【旭日中綬章に工藤堅太郎さん】

 新生党1期生。民主党に入党し、岩手県連代表や参院会派副会長をつとめた後、政権交代。2010年参院選全国比例で惜敗した工藤堅太郎さん(70)に旭日中綬章が決まりました。おめとうございます!


[写真]工藤堅太郎さん。

 ◇

 このほか、民間人では、映画「下町の太陽」に主演し、同名の主題歌が年間1位になった女優の倍賞千恵子さん(71歳)が受章。私と同郷ですので、こころからお祝い申し上げます。

 ◇

 皇居宮殿での大綬章等勲章親授式で天皇陛下から勲章が授与され,安倍首相から勲記が伝達されます。



[写真]大綬章を授与する天皇陛下、宮内庁ホームページから。

 政権交代と民主党に貢献し、昨年の解散で引退したみなさんが、「日本を取り戻す」との合い言葉で政権再交代した自民党安倍政権初の叙勲者に名を連ねました。民主党から大量7人の受章者が出てすばらしい。自民党安倍内閣の判断を高く評価します。

 野党に耐えて忍んでつかんだ晴れの叙勲。

 まさに「報われた」との思い。

 心より、お祝い申し上げます。

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◎股裂き解消でついに民主中道勢力の結集が完成!連合第84回メーデー、政党党首は民主党のみに

2013年04月27日 21時12分55秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[写真]第84回メーデー中央大会であいさつする古賀伸明連合会長、連合ホームページから。

 連合は2013年4月27日(土)、第84回メーデーを全国各地で開き、中央大会には約4万名が参加しました。

 連合ホームページによると、古賀伸明会長(電機連合)、田村憲久厚労相(自民党)、猪瀬直樹・東京都知事(連合東京推薦)、海江田万里・民主党代表の4名が壇上であいさつしました。

 NHKニュースによると、「連合は、これまでメーデー中央大会に社民党も来賓として招待してきましたが、労働政策やエネルギー政策、それに消費税などを巡り、意見の隔たりが大きくなっているなどとして、今回招待しませんでした。これについて、社民党の福島党首はNHKの取材に対し、「毎年必ず参加し、労働者の権利を守ろうと発言してきたのに、招待されないのは全く理解できない」としています」と報じています。

 これにより、連合の結成以来の悲願である「支持政党股裂き」が解消されました。

 連合初代会長の山岸章さん(全電通=現在の情報労連)は、日本新党、新生党、民社党、社民連、民主改革連合、公明党、日本社会党、新党さきがけの8党派をまとめあげて、細川・羽田内閣を陰から作り上げました。裏の権力者といえば、小沢一郎・新生党代表幹事(当時)のイメージが強いですが、ホントウの裏の権力者は山岸さんでした。しかし、その後、連合加盟産別内に「山岸会長は政治道楽が過ぎる」との批判もありました。第2代芦田甚之助会長(ゼンセン同盟=現在のUAゼンセン)は、新進党結党大会にビデオ参加し、笹森清副会長(当時、電力総連)を派遣するなど政治とは距離を置きました。その一方で、ゼンセンの後輩である橋本龍太郎首相の求めに応じて、行政改革会議の15人の委員の一人に就任。芦田さんは15人の委員の中で1人だけ資料を連合本部(総評会館=現在の連合会館)に持ち帰るため、いつも1晩ずつ結論が遅れました。しかし、今だから分かるのですが、あれは、連合副会長のなかに自治労中央執行委員長がいたでしょうから、その人と相談していたのでしょう。そうして、橋本行革が実現しました。同時に、連合は政労会見を活発化し、政府・自民党との距離を近づけました。

 第3代鷲尾悦也会長(鉄鋼労連=現在の基幹労連)と笹森事務局長が1997年に就任。この時点で、新進党、第1次民主党、社会党改め社民党、民主改革連合、新党さきがけの5党に産別の支持政党が分かれました。橋本自民党を入れれば、6つに股裂きされました。

 この「股裂き解消」は連合では長年の懸案で、「解消すべし」との声と「政治とは距離を置くべし(芦田路線)」との声に分かれました。

 鷲尾・笹森体制発足直後に、1997年12月28日、新進党解党があり、あくる1998年統一会派「民友連(民主友愛太陽国民連合)」が通常国会中の4月に新党を立ち上げました。ここで、岡田克也さん、川端達夫さん、枝野幸男さん、伊藤英成さん、前川忠夫さんらが「政権担当可能な民主中道勢力の結集」を要請。鷲尾・笹森がこれに応じて、民主党統一を支え、7月の参院選で摩訶不思議な大圧勝を勝ち取りました。この間、自民党・伊吹文明労相から「政労会見中止」という露骨な選挙干渉を受けながらも、大圧勝がすべてを吹き飛ばしました。この後、2009年8月30日、政権交代を実現したのはみなさんご存じの通り。

 私鉄総連が、淵上貞雄・社民党副党首を応援していましたが、2010年参院選に組織内候補を民主党公認で擁立。2012年衆院選では組織内の辻元清美さんを民主党公認としては初当選させました。

 きょうをもって、民主中道勢力の結集が完成しました。歴史的な日です。

 給与の安定(消費税の増税)を求める自治労・日教組と、仕事と原材料の安定(原子力発電の再開による国情に応じた電力の安定供給)を求める電力総連、あるいは基幹労連らの「連合収斂(れんごうしゅうれん=一つの産別にとって極めて重要な政策要求は傘下産別すべてが連合のもとに収斂する)」が、第6代古賀会長のもと実現していることを頼もしく感じます。

 もはや総評でない。もはや同盟でもない。あるのはただ一つ、連合のみ。

 第5代高木剛会長(UIゼンセン=現在のUAゼンセン)に会長選挙で挑んだ女性が、社民党公認で夏の参院選に出馬するようです。また社民党又市征治参院議員の自治労の「組織外」という認定が外されましたが、これは3期13年目ということで武士の情けでしょう。それも含めて、連合は連合であり続けるという感じがします。

 春期生活闘争(春闘、賃闘)と夏季一時金闘争を一体化した「春夏一体闘争」という格好で組合員の負担を軽減していましたが、今春は、経営者側に「一時金だけアップ」という「春闘」をやられてしまったような気がします。さはさりながら、「職場から始めよう運動」4年目を迎えて、非正規労働者の就労実態を正社員の組合員がチェックして集約するしくみにより、非正規労働者の団結と権利が拡大していることを頼もしく感じます。「解雇の金銭解決」「日雇い派遣」「追い出し部屋」「厚労政務官のヒューマン・トラスト社広告出演」などの労働問題がすばやく国会で議論される時代がようやく来ました。

 なかんずく、UAゼンセンが100万人を大きく超えて、組合員を拡大し続けている努力には頭が下がるし、やはりゼンセンこそ労働運動だし、友愛(フラタニティー)だとの思いがします。

 最近では自民党も党大会で「がんばろう3唱」をしていますが、以前は「日本国バンザイ」「自由民主党バンザイ」の「万歳3唱」でした。それが、新進党を経て、民主党を経て、今や自民党まで腰に手をあてて万歳3唱するところまで波及してきました。

 世界的にはメーデー(5月1日)を祝日にしている国は多いので、日本でもメーデーを祝日にしてほしい。そして、第2代芦田会長、第3代鷲尾会長、第4代笹森会長がみな「旭日大綬章」なのに、ご健在の初代山岸会長が「旭日瑞宝章」止まりなのはどうしたことか。民主党の政権復帰をまたずに、今の自民党政権こそ山岸さんに旭日大綬章を伝達すべし。


[写真]山岸章初代連合会長、友愛労働歴史館展示写真から、筆者(宮崎信行)撮影。

 民主中道勢力の結集のもと、連合と民主党と日本国のさらなる発展に向けて。

 団結ヨーイ(用意)!

 連合、民主党、日本国、ガンバロー!、ガンバロー!!ガンバロー!!! 

       


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◎3党合意と5党修正が切り開いた「茜色の空」 マイナンバー社会保障と税の共通番号法案、修正可決

2013年04月26日 18時03分53秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

[画像]マイナンバー法可決の後、付帯決議を提出して政府に釘をさす、民主党の若井康彦・衆内閣委筆頭理事。

 マイナンバー法案が衆院内閣委員会で修正可決しました。構想以来40年前後を経た歴史的な瞬間です。

 政府提出の4法案に対して、木原誠二君・後藤祐一君外「自民党・公明党・民主党・日本維新の会・みんなの党」5党共同提出の2法案修正案が可決しました。日本共産党と生活の党は反対しました。

 ただし、政府提出法案で与野党修正が入った法案では異例なことに、5党は付帯決議を5本つけ、政府に釘をさしました。

 衆院内閣委では、3月27日から審議して1ヶ月。マイナンバー関連法案が採決されました。自公民維み5党修正(後藤修正)が賛成多数で可決しました。ただ、やはりいまだに政府による情報管理や、第三者による悪用の不安が残ることから、付帯決議がでました。

 この法案は3党合意より前に、社会保障と税の一体改革関連法案として昨年の通常国会に提出されていたものです。

 マイナンバー4法案とは、社会保障と税の共通番号法案(183閣法3号)、マイナンバーのための関係法律整備法案(4号)、政府CIOを設置する内閣法改正法案(5号)、地方公共団体情報システム機構法案(7号)です。

 3月27日の初質疑では、公明党議員が3名質疑に立ちました。過去に記憶がありません。高木美智代理事は「昨年の通常国会で実務者(自民党の平井卓也さん、民主党の岸本周平さん)でほぼ合意していた」と悔しさをにじませました。3名立ったというところに、公明党の必死さを感じました。

 その後、やはりシステム面への不安から、「マイポータル」に接続する際に専用回線からインターネットになるので、「なりすましログイン」などの懸念が出ました。

 最終日の午前中は総理入り質疑となり、修正案提出者でもある後藤祐一さんがトップバッターで質問。日本維新の会の松田学さんの質疑で、安倍首相は「オヤジが政調会長のころに実現しようとして、金丸さんに潰された」と明かしました。みんなの党の大熊利昭さんは「エポックメイキング(画期的)な日になる。歴史的な日だ」としながらも、「この重要な制度について、取材や報道が少ない」と指摘。安倍首相は「極めて重要な法案だが、なかなか取り上げ方が少ない。やはり国会というのは与野党が激しく対立しないと、取り上げてもらえないのかもしれない」と答弁。通常国会初体験の大熊さんは「対立すればよかった」と嘆くと、首相は政府としての広報活動を強化することを約束しました。

 午後は本来は内閣委員ではない玉木雄一郎さんが登場し、後藤祐一さんとの間で質疑答弁を展開。玉木さんが修正案の「政府は、給付付き税額控除の施策の導入を検討する場合には、(略)国の税務官署が保有しない個人所得課税に関する情報(略)を活用(略)するために必要な体制の整備を検討するものとする」とするとの付則について、玉木さんが「消費税10%時の給付付税額控除実現への強い意志か」と問うと、後藤さんは「委員の言うとおりだ」と応じました。初の「玉木・後藤問答」となりました。

 これは、低所得や無収入で確定申告が必要ない人の生活保護・年金、雑所得などの所得情報を集めることができるということだと考えます。だから、確定申告していない人も含めてすべての国民が給付付税額控除の対象者になるという意味のだと私は考えています。今後の3党協議に注目します。

 政府CIOについては、私は電子政府の専門家という位置づけだと思っていましたが、玉木さんがフロンティアを広げました。

 玉木さんは「私は世の中をイチバン変えたのは(Googleなどの)検索エンジンだと思っている。例えば、「鯨」と入れれば、各府省の行政事業レビューシートの該当部分が全部出てくる。私は予算の執行が終わった直後に決算ができあがることも可能だと思う。政府CIOに置かれてはぜひ行革の先頭に立って欲しい」と語りました。

 これに対して、遠藤紘一・政府CIOは「稲田朋美行革相とも一回会った」とし、「上司である山本一太IT相とも(行革を)やっていこうという話になっている」としました。

 
[画像]答弁する遠藤紘一・政府CIO、2013年4月26日(金)、衆議院内閣委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 なお、内閣法改正案の修正案により、「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」ではなく「本部長(首相)」が政府CIOが欲しい情報を本部員(大臣)に出させることができるようになったので、上司は総理という考え方もできるかもしれません。環境の整備をのぞみます。

 ただ、一連の審議のなかで、財務官僚である向井治紀・政府副CIO(昭和56年大蔵省入省)が「将来的にはマイナンバーを銀行通帳に入れる税制改革も可能だ」というような、前のめりな答弁が目立ったので、この辺が気になるところです。

 
[画像]向井治紀・政府副CIO(兼)内閣審議官(昭和56年大蔵省入省)、2013年4月26日(金)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 いずれにしろ、国会による政府の統制が効き続けることが必要です。そして、納税者というのは、確定申告をしていなくても、消費税を払った人は全員が納税者です。負担に見合う給付を受けるのは当然であり、制度に対して異議があれば、国会を通じて政府を変えることは当然の権利です。

 淡々とした奇妙な雰囲気で議事が進みましたが、散会後には、甘利大臣、山本大臣らを、岡田克也さんら内閣委員が立ち上がり、丸く囲んで拍手するという珍しいシーンもありました。


[画像]修正可決して散会後に、拍手しあう、閣僚と与野党・衆内閣委員たち。

 ◇

 連休前最終日の参議院本会議というと、2001年には不人気の森内閣が辞め、小泉純一郎さんが首班指名され、連休明け初日に所信表明演説し、そのまま会期終了後に参院選になだれ込み、勝利したのが与党による参院選勝利の最後ですが、きょうは参院本会議は4法案を成立させるという比較的少なめな国会になりました。「iPSなど再生医療推進法(183衆法4号、衆・厚労委員長提出)」と「生活拠点を整える自治体への交付金を設ける改正福島復興再生特別措置法(183閣法17号)」などが成立。津田弥太郎さん外14名提出の「脱法ハーブを取り締まる麻薬取締法および薬事法改正法案」が可決し、衆院に送られました。衆院本会議では「独立行政法人万博機構を廃止し大阪府庁に移管する法案(183閣法45号)」と「特別警報を新設する気象業務法・国交省設置法改正法案(183閣法23号)」が全会一致で参院に送られました。

 ◇

 連休の谷間の4月30日(火)~5月1日(水)に参・予算委の地方公聴会(沖縄、岩手)、5月2日(木)午前9時からは中央公聴会ということになりました。それ以外の審議はない見通し。

 ◇

 連休明け国会は37営業日しかありません。本予算成立後の国会も「自公」だったり、「自公維」だったり、「民み生維風社改」などのパーシャル連合で、さまざまな法律ができあがりそうです。

  ◇

 その中で、昨年6月15日の社会保障と税の一体改革3党合意を肉付けする法案がどんどん進んでいます。

 ◇

 衆・経産委(富田茂之委員長)は、「消費税の円滑で適正な転嫁を確保する法案(183閣法36号)」の審査を進め、参考人質疑をしました。87歳の清水信次・日本チェーンストア協会会長=ライフストア(ライフコーポレーション)代表取締役CEOが出席。民主党の近藤洋介さんらの質問に対して、「こんなに安全ですばらしい国は他にないと思う。しかし、危機感を持っている」「死ぬというのはある意味平等で向こうには誰も(お札の)1枚も持っていけない」「(国会で参考人として意見を述べるという)こういう機会はこれが最後だと思う。ぜひ良い日本を残していってほしい」とおっしゃいました。

 清水さんは二大政党論者で、私たち、政権交代ある保守2大政党政治を20年以上追い求めてきた者にとってはけっして、脚を向けて寝られない人物。ずっと非自民勢力を支え続けてくれた随一の財界人です。一時、小沢自由党系ということもありましたが、いずれにしろ、20年間、ずっと非自民だった方です。



[画像]「良い日本を残してほしい」政権交代ある二大政党政治でずっと非自民側を応援してくださった清水信次・ライフストア(ライフコーポレーション)代表取締役CEO、2013年4月26日(金)、衆議院インターネット審議中継から。

 3党合意では「転嫁対策については、(略)独占禁止法・下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずる旨の規定を追加する」とあり、これに基づき、今回の法案が出てきています。日本チェーンストア協会の清水会長のほか、岡田元也副会長にもご理解いただきたいところですね。

 この法案の採決は連休明けになったようです。

 ◇

 ところで、茜色の空というのはどういう空か。

 私は知らなかったのですが、一眼レフ愛好者の方が投稿しているサイト「GANREF」の投稿写真によると、次のような空のようです。
 次のリンク先にある写真のような空です。
 http://ganref.jp/m/p_doll/portfolios/photo_detail/5f57e330b729f73b56dfe3fdb3585a26

 まさに日本国の明日の責任のために社会保障と税の一体改革を成し、そして下野した夕方の民主党を表したかのような空であります。日が暮れながら染まっていく茜色の空は、日が昇れば、突き抜けるような青空になることもあるのでしょうか。

 ところで、仕立て直す前の「きょう採決へ」という朝投稿したエントリーで、次のような大平首相と野田首相の写真を載せました。

 

 よく考えたら、これはちょっと表現不足でした。私としたことがうかつでした。失敬、失敬。

 

 こうでなければいけません。

 右は、2013年4月26日(金)の衆院法務委員会で答弁する谷垣法相(前自民党総裁)です。この後、法務省に戻って、死刑執行の記者会見をしましたが、泰然自若としています。社会保障と税の共通番号制度の衆院委員会通過のエントリーに谷垣さんを忘れるとは失礼しました。経世会が汗をかき、宏池会が知恵を出し、作り上げてきた日本。大平さん、清水さん、谷垣さん、野田さん、岡田さん、古川さん、古本さん、金子洋一さん、岸本さん、後藤さん、玉木さん。

 党も歳も違い、共通点は子の世代、孫の世代に良い日本を残したいという志のみ。

 政治の要諦は実に簡単であり、単純であり、すばらしいものだと感じます。

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4月25日(木)のつぶやき その2

2013年04月26日 00時56分42秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

#kokkai 参・厚労委。午前中は労働に関する質疑、午後は社会保障に関する質疑。さらに、「再生医療推進法案」と「麻薬取締法改正法案」の2つの趣旨説明と採決の4本建てという荒技の連休前国会となりました。

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午前中に復興大臣が参院予算委に呼ばれたため、衆参両院の「東日本大震災復興特別委員会」が同時に開かれる異例の連休前国会となっています。#kokkai


#kokkai 同じ委員会を両院で同時に開けるのは、与党の質問時間と野党の質問時間を入れ替えて、大臣の拘束を片方に絞っているからだと思います。事務局の積み木細工です。


福島みずほさんはきょうだけで4回目の質疑登場ですので、ノリが良い感じです。#kokkai

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1日4回質疑に登場、最後はテレビ入りで対総理。連立政権の大臣を投げ捨て、小さい野党の党首の座を優先する福島みずほさんの気持ちは分からなくもありません。#kokkai

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谷垣法相「法務委員会はたーくさん、課題をかかえておりまして、ハーグ条約(実施の国内法案)とか、野党のご協力をいただいて大車輪でやっていていささか日程的に苦しい」として、「会社法改正もアベノミクスに入れて欲しい」との舛添要一さんの質問に否定的な答弁。#kokkai

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民主党単独では参議院過半数がありませんでした。「3・11」から半年以上経って、復興基本法、復興庁設置法、復興財源確保法が成立しないので、「全国防災に使える」との文言を入れる修正の見返りに、自民党、公明党に賛成してもらった経緯があります。@think_jp

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