(初投稿は午後1時20分で、午後8時更新)
[写真]参議院の維新の控室、窓の奥の「塔」のようなものは、憲政記念館、きょねん2017年、宮崎信行撮影。
おどろおどろしいタイトルをつけてみましたが、日欧EPA・漁業の対決を見越して、与党が野党と折り合える法案を優先したため、参議院本会議はすべて全会一致で、来週の会期末週を迎えることになります。「外国人材」「水道法」の2大議案はきょうの動きはありませんが、法案を待ち構える衆議院厚生労働委員会は一般質疑で地ならし。議員連盟が準備してきた、チケット転売防止の法案が起草されましたが、所管が取締機関を持たない文化庁ということに早くも議員から不満が漏れました。きょうは赤旗も「選挙で勝つしかない」という趣旨の1面トップ記事となっており、第197回臨時国会は早くも終戦モードとなってしまいました。
秋篠宮文仁親王殿下におかれましては、きょう、53歳のお誕生日を迎えられました。おめでとうございます。来年5月に「皇嗣殿下」になれる殿下は、紀子妃殿下とともに記者会見。大嘗祭への国庫支出に対する否定的な考え、宮内庁長官への不信に加えて、眞子内親王殿下と近く婚約すると発表された男性とその母に関する金銭トラブル報道などに対する不信を明確にされました。平成のうちに、整理できるものは整理したいところです。小室氏は、眞子内親王殿下との婚約の内定を、平成のうちに辞退すべし。
【参議院本会議 平成30年2018年11月30日(金)】
「日中社会保障協定の承認」(197条約3号)が投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で両院承認されました。
「GI法特定農林水産物の名称保護法を改正して日欧EPAを国内実施する改正法律」(197閣法9号)は、投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。
「洋上風力発電利用促進法」(197閣法5号)は投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。この法案は先の国会で審議未了だった閣法のうち唯一まるっきりの廃案となりました(関連エントリー)。今国会に再提出されたものには、「国が事業者に港湾の情報を公開する」という一条項が加わりました。
この記事のタイトルの通り、全会一致が不気味に聞こえる政情ですが、「日中」「GI」は「日欧EPA」「漁業法」という難しい法案の方を後回しにした与党国対の配慮があらわれていると思います。
法案採決に先立ち、趣旨説明と代表質問がありました。
「漁業法改正案」(197閣法8号)は、水産改革法案とも呼ばれています。「漁業の民主化が戦前まで逆戻りする」との批判もむなしく、やはり全体の世論は盛り上がってきません。
【衆議院内閣委員会 同日】
「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を祝日とする法案」(197閣法13号)が採決され、共産の反対、自民・公明・立憲・国民などの賛成多数で可決すべきだとの審査結果がまとまりました。
天皇の即位の日2019年5月1日と、即位礼正殿の儀がある2019年10月22日を祝日に。そして、現行法の規定通り、4月30日と5月2日も国民の祝日になることが、この法案の附則にも明記されました。このため、土曜日が休みの人は、来年のGWは10連休となります。参議院送付後、今国会の当初会期内に成立する見通し。
【衆議院文部科学委員会 同日】
「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律案」(197衆法 号)が起草されました。自民・公明・立憲・国民・無所属の会・維新・未来日本の7会派共同で提出。チケット転売禁止法案とでもいうのでしょうか。
共同での提出に加わらなかった社民党の吉川元幹事長は、質疑のなかで、文化庁の所管になるとの答弁をひきだし、法律を運用するうえでの違反の摘発について懸念を表明しました。
採決は全会一致で可決すべし、となりました。
この後、「研究開発力強化法改正案」(197衆法 号)が、自民党の元文科相・渡海紀三朗さんから趣旨説明されました。採決では、社民が反対し、自公立国などが賛成し、可決しました。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
一般質疑が3時間コースでありました。自由テーマとなりました。来週に送られてくるであろう、水道法改正案審議をめぐる地ならし、という見方もできます。
【参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会 同日】
「2019年4月7日と21日を統一地方選とする臨時特例法案」(197閣法12号)が総務相から趣旨説明されました。質疑は後日。
【参議院消費者問題に関する特別委員会 同日】
「食品表示法改正案」(197閣法11号)が趣旨説明されました。宮澤洋一・特別委員長は、連日「自民党税調会長」の肩書でインタビューに登場。国会閉会後、税制と中期防で、自民党本部の方が熱気がある平成最後の師走となりそうです。
【参議院東日本大震災復興特別委員会 同日】
大臣の所信表明と政務三役のあいさつがありました。大臣は「ロボット」を「ロケット」と読み違えたと訂正しました。まあどうでもいい話ですが。
【衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会 同日】
立憲の末松義規さんに特別委員長ポストが割り振られています。
大臣の所信表明を聞きました。
【衆議院国土交通委員会 同日】
一般質疑。
その後、議員立法へ。
自民党の盛山正仁さんと国民の小宮山泰子さんらが発案して、答弁しました。
「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案」(197衆法 号)が起草されました。タイトルが非常に抽象的なのですが、盛山さんによると「障害の有り無しや年齢に関係なく生活できるユニバーサル社会」をつくるための諸施策は各省庁にまたがってきたため、総合的かつ一体的な推進が必要だとの目標にもとづき、国の責任を明らかにして法制上財政上の措置を講じることを義務付け、自治体には財政上の措置を努力義務にして、民間にも措置を求める内容。国に対しては、毎年1回実施状況をとりまとめて発表することを義務付けました。関係閣僚会議ができると思います。また、これによって定義づけられた理念・スローガンを重箱にして、後々、民間も含めた政策減税が自民党税調で提起されるかもしれません。
共産党の宮本岳志が「質疑的な発言」をして、盛山さん、小宮山さんと対話し、採決。全会一致で可決すべきだ、と決まりました。
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