けさの報道で、コロナ禍があぶりだす「文京区本駒込」の医師格差が明らかになりました。同じ場所にいながら、正社員と非正規社員の待遇が違って、お互いにそれを知らない、ますます情報が閉鎖的で陰湿な21世紀日本を象徴する「人間を幸福にしない日本というシステム」をあぶりだしました。
一つは、毎日新聞が、感染症指定医療機関「都立駒込病院」感染症科の4人の医師の勤務時間について、例えばきょねん2020年5月分給与で、月327時間超勤となった職員がいることが、都庁に対する情報開示請求で明らかになりました。
もう一つは週刊文春で、日本医師会(文京区)の中川俊男会長が、先月2021年4月20日早朝に、「ダイプリ」での陣頭指揮が批判された、自見はなこ前厚生労働政務官(日本医師会組織内の自民党参議院議員)の千代田区平河町・麹町地区の都市センターホテル2階コスモスホールでの政治資金パーティー(1枚2万円)にリアルに参加しており、「医療崩壊危機」の発信と二枚舌だったことが明らかになりました。
日本医師会と都立駒込病院。この2つは実は、「文京区本駒込」という同じ町にあります。前々世紀後半に、明治維新政府が感染症指定医療機関3つのうちの1つとして設けた駒込病院は、とくに差別の問題もなく、現存しています。
筆者は、きょねん1月の「ダイプリ・武漢チャーター便」から降りた感染者が優先的に運ばれていた当時から駒込病院ウォッチャーとして、継続して様子をうかがってきました。
毎日報道は4月16日から5月15日分となっています。
その前日4月15日の写真。
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後ろの感染症病棟はフル稼働。手前の駐車場は他地域ナンバーも多い状態。そして、建設中のものは、同じ都庁が発注した保育室で、非常事態宣言ですが地元の中小建設業者が作業を進めていたようです。
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そして、きわめて軽微な敷地内での感染があり消毒のうえカーテンが設置されていました。そして、右側で見切れているところが、テラスハウスのようになっており、医師が休める施設になっていると思います。
そして、5月8日の写真です。
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この病棟は、実は「がんセンター」なのですが、全館が感染症病棟に衣替えされていました。
感染症科の4人の医師のうち2人は見ていると思いますが、30代の青い手術着を着た男性若手医師はくたびれ果てて、テラスハウスの方に向かう姿を見ました。一方、50代の管理職の他の科の医師や、救急車入口(この病院は3次ではなく2次)から早朝出てきた女性看護師は、猛者という印象。そして、私が最も心配していたのは、朝7時台に出勤する、おそらく病院食の配膳などを担当する男女スタッフの疲労困憊ぶりですが、これはしばらくして働き方改革があったようで解消されました。
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そして、歩いて15分ほどかかりますが、同じ「文京区本駒込」の日本医師会、きょねん2020年3月5日撮影。言うまでもなく開業医の総本山。都立駒込病院に向かうタクシー運転手さんに聞いたところ、感染症科は開業が難しく、志望者が極めて少ない、と外科医が語っていたとのことです。
高崎市の小児科院長が医師の代表のようにテレビに出ていますが、感染症の何が分かるのでしょうか。
文京区本駒込は、江戸時代はギリギリ江戸から外れた武蔵国のおそらく山林で、明治維新後に東京市の内側に入った、まさに漱石の世界、明治維新による医師等国家資格中産階級の繁栄を象徴するような街です。
アメリカでは医師の年収が1億円になるようですが、リンゴが赤くなると医師は青くなるとの英語のことわざの通り、ビジネスとしての意識が高くなります。日本は医師数はOECD平均、人口当たり病床数は世界トップですが、民間経営が多いです。そこで「お医者様」というような言い方がされてきた、江戸時代のおかかえ藩医が、明治維新後の国家資格職である医師・教師・看護師の行き過ぎた中産階級優遇が曲がり角にさしかかったことを、あぶりだしつつあるコロナ禍ということになりそうです。
あと2年ほどはなかなか大変です。
参議院厚生労働委員会では、現在、勤務医のブラック労働の緩和と、病床削減の地域医療構想プログラム進行の2つの改正を束ねた法案(204閣法17号)が審議中ですから、対政府質疑で質問がでるかもしれません。
以上です。