トヨタ自動車出身の経済産業大臣、直嶋正行さんは3日の閣議後会見で「成長戦略をはじめ、積み上げてきた政策を実行していくことが私の役目」として、菅直人さんを支持する考えを表明したそうです。
そして、円高対策として、「重視するのは投資と雇用。企業に国内で設備投資をしてもらえるような応援をしたい。これが雇用の創出にもつながり日本経済を活性化する」として、菅内閣が来週にも閣議決定する追加経済対策に自信をのぞかせました。
直嶋さんは、若くしてお父さんを亡くし、長男として働きながら定時制高校、神戸大学で学びました。トヨタ自動車販売で働きました。その後、トヨタ自動車労働組合を元とする自動車総連のはたらく仲間の代表として、参院議員を18年つとめています。コツコツとためたオカネで、ブルジョワ出身の岡田克也外相と同じ、新宿・防衛省の近くに建つタワーマンションの住人となりました。なおこれはきわめてどうでもいい情報ですが、岡田さんが最上階で、直嶋さんはその1階下のようです。
僕は経産省のことはあまりよく分からないのですが、直嶋さんは官僚の使い方が安定していて脱官僚依存政治に成功しているとされています。「いや、直嶋大臣は官僚に取り込まれているんだよ」と反論する人がいるのが、私はある意味、脱官僚依存ができている証拠だと思います。
直嶋さんは「不況の時こそ経産省が必要なんだよ」と野党時代からの仲間に述べているそうです。その心意気やよし。
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代表選で中立の立場をとっている民社協会(田中慶秋会長)は代表選での支援候補について、6日(月)の理事会で最終決定に向けて協議することにしました。民社協会の会員数は、2008年の政治資金収支報告書によると、「5852人」。これは言うまでもなく、「党内グループ」では断然トップで、その多くが「民主党員・サポーター」登録していると思われます。
5000人ものメンバーを抱えているのは、国会議員団、各県の民社協会、同盟系産別と3つのタテ・ヨコの組織を持っているからです。
例えば機関紙である「月刊民社」の最新号では、「地方の動き」のコーナーで、徳島県民社協会の第16回定期総会のようすが紹介されています。来賓・役員・代議員50人が出席し、文科政務官の高井美穂さん(徳島2区)が来賓あいさつし、来春の統一地方選の組織内候補者の紹介と決意表明があったとされています。
このほか、「友好団体だより」のコーナーでは、「友愛会創立を記念する会」が“98周年記念パーティー”を開いたという記事が載っています。日本でイチバン最初に出来た労働組合である「友愛会」の98周年を祝ったパーティーで、再来年の100周年記念事業で、新・友愛会館を建築する、といった取り組みへの呼びかけがあったそうです。そして、記念講演会として『鈴木文治・友愛会と吉野作造』が開かれました。この後、記念パーティーで、「記念する会」会長で元参院副議長の今泉昭さん、連合会長の古賀伸明さん、民社協会長の田中慶秋さんが来賓としてあいさつし、「会場は、友情と懇親を深める有意義な場となり、和やかに2時間を過ごし、式典は無事終了した」と、ほのぼのと記事が締めくくられています。ちなみに、鈴木文治(1885-1946)とは、日本最初の労働組合である「友愛会」の創立者で、のちに、衆議院にも3回当選しています。
民主党は野党時代に「寄り合い所帯」と揶揄されましたが、与党になってからは、政策プロセスの変更があり、そう言われなくなりました。とはいえ、民社協会のような“縁の下の力持ち”がいるから、民主党が組織として成長し、政権交代に成功したのです。政党は組織ですから、だれか一人の剛腕でモノゴトを実現することはできません。
民社協会は国会議員、地方議員、産別それぞれの役員が同等の発言権があるので、なかなかモノゴトが決まらない傾向があります。そんな菅さんが言う「熟議」のDNAが五臓六腑に染み渡っている。それが民社協会です。
なお、当ブログは今回の代表選で菅さんを応援しています。