【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

大義を失いつつある参院選 国民が求めるのは「二大政党制の完成」

2010年04月06日 06時59分26秒 | 第22回参院選(2010年7月11日)反省の夏

 おはようございます。

 きょうから本格的に後半国会がスタートしそうですが、予算成立が3月24日と思いのほか早かったので、ここのところ、政治から離れて、頭がスッキリしました。

 さて、戦いには「大義」が必要です。口実と言ってもいいかもしれません。ブッシュ政権は「大量破壊兵器の存在」を大義、口実にしてイラク戦争を始めました。ちなみに戦争に勝ち負けはあっても、善と悪というものは存在しません。

 遅くとも7月25日までに投票を迎える第22回参議院通常選挙の「大義」とは何か。それは、「政権交代可能な二大政党制の完成」だったんだと思います。

 昨年夏、日本国民の最も暑い夏に、私は全国で民主党幹部の遊説をたくさん聞きました。それは、まさに「政権交代」「政権交代」という言葉が呪文のように繰り返される演説でした。これは聴衆の反応を見た上で、幹部は示し合わせて「政権交代」というキーワードに統一して、第45回衆院選の「大義」として自信を持って“集中爆撃”したんでしょう。

 私が実際に聞いた限り、鳩山由紀夫代表、岡田克也幹事長、菅直人代表代行は、「政権交代」と言っても、「二大政党制」という言葉は1回も使っていないと思います。これは、2009年8月時点での日本国民には、「二大政党制」が目に見えていなかったからだと思います。

 第45回衆院選の国民の選択は「政権交代ある二大政党制」であって、「民主党政権」は二の次だったと思います。

 「2人区での2人擁立」が全国的な話題になっています。現在の国政において、「2」という数字は、民主党と自民党の「1+1=2」を連想させるのに、小沢一郎さんが「2+0=2」を目指していることに、「民主党一党独裁体制」を狙っているかのような恐怖心を全国民に与えることになり、投票先から民主党支持率が急落しているのだと考えます。小沢一郎さんが自民党支持団体すべてに手を突っ込んでいるのも問題です。

 小沢一郎さんは、二大政党を目指した新進党を解党し、ミニ政党自由党で小渕恵三自民党内閣と連立した過去があり、私は、彼は二大政党論者ではないと疑っています。自由党出身の山岡賢次国対委員長は「民主党政権は30年続く」と語ったとされています。

 自民党もようやく次の内閣にあたる「政権力委員会」というのを作ってくれるようで歓迎したいです。政務調査会でも国会対策委員会でもなく、選挙対策本部に置くようで、新しい試みとして注目したいと思います。

 さて、大義を失った参院選まで3ヶ月。ここからどう立て直すかということですが、基本的には、かなり厳しいと思います。一度擁立したものを取り下げるということは士気に関わります。「比例転出」などという理由を付けて、2人目を比例に回すという手もあります。

 自民党が次の内閣を作ったということは、国民が二大政党制の完成を望んでいることに日常活動で気付いている証拠だと思います。みんなの党も、第3極を目指しているのではなく、政界再編の起爆剤を目指しています。

 このように選挙というのものは、大義、戦いの構図の設定を失敗すると闘えません。小沢一郎さん率いる大義無き戦いに突入します。さながら太平洋戦争のようにも思えますが、これは7月11日(~25日)には終戦することが決まっている戦いだからまだマシかもしれません。引き際が大事です。