【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

稲田朋美行革相、岡田克也前行革相引き継ぎ「独立行政法人通則法改正法案」の衆通過に成功

2014年05月27日 13時28分07秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[写真]自民党の稲田朋美行革担当大臣と、民主党の岡田克也前行革担当大臣(副総理兼務)、ともに首相官邸ウェブサイトから。

【2014年5月27日(火)衆議院本会議】

 独立行政法人通則法を改正する2法案(186閣法77・78号)が自公民修正を経て、圧倒的多数の賛成で通過しました。参院の日程はやや窮屈ですが、今国会の会期末までにはギリギリ成立する見通し。

 独立行政法人について、「研究機関」「行政執行」などの業務ごとの個性は認めながらも、目標設定、業績評価の統一ルールをつくり、所管大臣、法人の監事、第三者機関などのガバナンスを例外なく強化することを定めた法律(案)です。来年4月1日施行予定。

 野田内閣の岡田克也副総理(兼)行革担当大臣が2012年5月11日に閣議決定のうえ国会に提出。政権交代時に「引き継ぎ事項」としたペーパーを稲田朋美・新大臣に渡しており、「民主党事業仕分け路線」を少し軌道修正しながらも、自民党若手のホープ、稲田大臣が仕上げた格好です。

 政権交代直後の国会では、岡田さんが自ら志願して内閣委員になり、岡田チルドレンとされる民主党議員が稲田大臣を最初の質疑でとことん攻撃し、大臣は六法全書を持ちながら答弁する異例の事態となりました。(2013年3月15日付エントリー稲田大臣がんじがらめ!法律、所信、公約 衆・内閣委など常任委で一般的質疑)。このときは、甘利明大臣が散会直前に、「政権がスタートしてまだ2ヶ月。稲田大臣は我が党を代表する女性議員のエースだ」として、手加減を求めました。それが功を奏したのか、稲田大臣はその後安定した仕事ぶりで、大臣在任期間は500日間を越えました。岡田さんも昨秋の臨時国会から、自らの意思で内閣委員は後輩に任せて、花形の予算委員に異動しました。 

  独法通則法をめぐっては、岡田さんは副総理時代当時7期生の2012年5月24日、自民党の当時1期生で行革部局の官僚出身でもある自民党の橘慶一郎さんから人使いが荒い、と説教されたことがありました。

 橘さんは岡田さんを次のように説教しました。長いですが、引用します。

 「独法通則法改正法案が閣議決定をされております。今、百四本というのは、これは一月の初めの話でありまして、その後またいろいろ検討なさって、さらに法案を閣議決定されて国会へ出してくるということです。今ほど総理は、出した以上は成立を期すんだとおっしゃいました。しかし、今、もう既にこれだけの、言ってみれば、列車が渋滞しているわけです。車が渋滞している中に、さらにこの渋滞の列にまた一台車を置く。それは、何といいますか、法案を起草したんだ、こういうふうに考えているんだということで、ただ出せばいい、参加すればいいというものではないというのは、今総理がおっしゃったとおりであります。もし、それが物理的に無理であれば、そこまでの仕事を今、それこそ皆さん方のスタッフ、公務員の皆さんにそこまでさせるのか。もし秋の臨時国会になるということになれば、それは夏から秋にかけて仕事をすればいいわけでありまして、今本当にそういう仕事をどんどんどんどん、仕事をすることはいいことかもしれませんけれども、それが今おっしゃったように形にならなければ、その仕事は要するに成果にならないわけです。今、皆さんのいろいろなお気持ちの中で、御意見の中で、給与もみんな下がっております。さらに仕事をさせ、その仕事が法案として成立しなければ成果にならない。成果にならなければコストパフォーマンスが悪いということであります。そういうことをみすみすさせていくということはおかしいんじゃないかと私は思うのであります。ここについて、なぜさらにこういう法案をまたつくらせるのか。それから、出先機関の地方への移譲の法案だって、それは大事かもしれません。知事会と話をされたのも聞いていますけれども、物理的に、国会と内閣が向き合ったときに、今おっしゃったような状況なわけですから、そこで本当にこういうことで、どんどんつくれ、仕事しろということでいいのか。これは、行政改革ということからいえば、行政改革というのは、必要な仕事はしなきゃいけない、必要じゃないものはしないというのも行政改革であります。それでスタッフの数も減らせるかもしれません。この辺をどうお考えなのか、確認させてください」

 「しかし、岡田副総理は行政改革の担当でもあります。私、先ほど少し話を長く申し上げたとおり、どこまで仕事をさせるか、これもまた管理者のといいますか、政府を預かっている皆さんのやはり大事なポイントだと思います。やはり、成果を上げさせていく、若い方々に、そうだ、俺のやったこともちゃんと実現したんだと思わせることも、それこそ国家公務員もなさったことのある岡田大臣としては、ぜひそういうこともお考えいただきたい、このことは申し上げておきたいと思います」 

 橘さんの説教には、民主党政権の失敗の本質を垣間見ることができます。

 実はこの説教には、不肖・私まで参加させていただきました。岡田さんの2012年7月27日(第180通常国会会期中)の記者会見で、次のように質問しています(首相官邸ウェブサイト内記者会見議事録から)。

 「記者 フリーランスで宮崎信行です。独立行政法人通則法案の話が出ましたけれども、これが閣議決定された直後に、自民党の橘さんが委員会で岡田大臣に対して、ちょっと内閣府の官僚とかを使い過ぎじゃないかと、仕事をした以上は成立させたいものなんですよという話が、大分前ですがあったかと思います。そのときに思ったんですけれども、こういった形で法案をどんどん出していかれる。私は、いつ改正になるかなんて全く聞きませんけれども、こうやって法案を出していくことで、次の解散総選挙のときに、ある意味マニフェストよりもっと具体的な形で、未成立の法案というのをメニューとして出していこうと、そういったお考えはありますでしょうか。」

 「岡田副総理 いや、そうではございません。何とか成立させたいというふうに考えています。マイナンバー制度、先程いろいろ御意見もありましたが、これがどのぐらい時間がかかるかと、その状況によっては次は独法ということに、まあ、次かどうか分かりませんが、独法の審議の可能性も見えてきますから、是非でしね、活発に御審議いただいて、順次、成立をというふうに考えているところです。野党の皆さんにも是非審議に協力をしていただきたいというふうに思っています

 これは解散から4か月前の記者会見ですが、私も「解散総選挙のときに有権者に対して(マニフェストよりも具体的な)未成立の法案メニューを出すのか」と質問しており、私自身も第45期衆議院での成立は難しいとの前提で質問していたことが、自分自身が今読み返しても感じます。

 このような説教に「提出した以上は成立させたい」と防戦一方だった岡田さんですが、2年後、稲田朋美大臣が衆議院可決に成功。稲田さんも現在3期生ですから、政権交代ある小選挙区政治で、力のある者は当選回数に関係なくどんどん活躍できる時代になったと感じます。

 政権交代ある二大政党政治のパターンの一つとなった「稲田・岡田法」の衆議院通過です。

 ◇

 同日の本会議ではこのほか、次の法案も可決し、参議院に送られました。ただ、参議院の厚生労働委員会と法務委員会は「渋滞」があるため、残り3週間余りでの可決・成立は確定しませんが、おそらく成立すると思われます。

 「少年院法と少年鑑別所法を新しく別々の設ける3法案」(186閣法38~40号)
 
 「アレルギー疾患対策推進基本法案」(186衆法23号)

 「国民の医療の質の向上のための医療機器の研究開発の普及促進法案」(186衆法24号)

 「過労死等の防止対策推進法案」(186衆法25号)

 「追納などをしやすくする国民年金法改正法案」(186閣法33号)。

【同日 衆議院常任委員会】 

 総務委員会で「電気通信事業法改正法案」(186閣法74号)、農林水産委員会で「特定農産加工業経営改善臨時措置法改正法案」(186閣法60号)が審議入りました。両案とも、参議院先議で可決して、衆議院に送られてきており、会期内に成立する運び。

 このように、厚生労働委員会以外の衆議院の委員会はほとんど法案審査にめどがついており、会期末にかけて「士(さむらい)業」と言われる国家資格に関する各種団体の働きかけを受けた議員立法のかけこみが見られそうです。いずれにせよ、会期は延長されず、長い夏休みとなりそうです。

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