【写真】中根康浩・民主党衆議院議員、民主党ウェブサイトから。
【2014年5月23日(金)参議院本会議】
厚労省の失態によるおとといの流会をへて、日程を立て直して開かれました。
残り会期ちょうど1か月、気を取り直して、まいりましょう。
採決では、9法が成立しました。
政令指定都市に総合区を設け、中核市と特例市を一本化し、基礎自治体同士の連携協約を認める、改正地方自治法は、投票総数235、賛成223、反対12の賛成多数で可決し、成立しました。
(関連エントリー2013年9月15日付中核市・特例市一本化の地方自治法改正法案、第186通常国会に提出、川端答弁実現へ)
(関連エントリー 2013年12月16日付もはや合併ではない 「連携協約」で自治体相互補完 地方自治法改正法案、第186通常国会に提出へ)
(関連エントリー2014年4月22日付維新の三宅博さんが「政令市の区長公選制」の修正案提出も否決の公算高まる 地方自治法改正案 衆・総務委)
(関連エントリー2014年4月24日付橋下徹・大阪市長が国会に乗り込むも、維新の修正案は否決 地方自治法改正案と4次一括法案が衆委可決)
なお、参議院では第4次地方分権一括法案は分離して、総務委員会で審査中です。
日本版NIH法(独立行政法人日本医療研究開発機構法)は賛成209、反対27で可決し、成立しました。衆院段階では山中伸弥さん、参院では野依良治さんと2人のノーベル賞受賞者から参考人として意見を聞きながら、「STAP細胞事件」という世論に配慮しながらも、真摯な審査で成立しました。
(関連エントリー2014年4月9日付日本版NIH法案が衆議院内閣委員会で可決、今国会成立へ)
(関連エントリー2014年5月13日付蓮舫さん「STAP細胞はありますか?」野依良治・理化学研究所理事長(ノーベル賞受賞者)と歴史という法廷)
金融商品取引法を改正してクラウドファンディングの規制を新設する法律(186閣法67号)と保険業法を改正して外交員・代理店の規制を強化する法律(68号)は賛成223、反対12で可決し、成立。今国会の金融庁提出法律はすべて成立しました。
議員立法の「(2016年から)8月11日を山の日とする改正祝日法」(議案番号186衆法9号)は賛成213、反対15。やはりやや批判があったようで、「超党派の議員連盟方式」の議員立法が少しずつ時代にそぐわなくなってきたような気がしますが、成立しました。
改正鳥獣保護法は賛成223、反対12で可決し、成立しました。この法律として初めて重要広範議案となりましたが、衆議院本会議での審議の後、自民党ベテランが「銃刀法改正などについて」会合を持つことになり、やはり本会議で議論をすると波及効果が強いのだろうな、と感じさせる場面がありました。
そして、「難病患者医療法(難病新法)」と小児特定疾患を増やす「改正児童福祉法」が可決し、成立しました。来年1月1日から施行。 指定難病は56から300に増え、公費助成を受けられる患者数は2倍になります。
昨秋の第185臨時国会での社会保障制度改革プログラム法の強行採決で問題になったときには、難病患者の自己負担が「ゼロ」から「月4万4440円」に増える前提でした。これに、民主党の中根康浩さんが猛反発。その後、田村憲久厚生労働大臣も患者団体からの猛反発を受けて、もっとも多い人でもこれよりも低い金額で済むことになりました。この審議の過程で、安倍晋三首相が2007年8月に「難病である潰瘍性大腸炎の悪化」を理由に総辞職した後、2012年9月に「画期的新薬の登場による体調が回復した」として自民党総裁に復帰した「画期的新薬」は「外国産のものである」と安倍首相自ら答弁しました。もともと、この制度は「治験」が目的で始まったために自己負担が無料だったわけですが、医薬品、医療機器開発のグローバル化も含めて、治験と治療があわさった制度へと進化することになりました。
「待っている人がいる」として法案賛成に回った民主党。きょう成立した法案は政府の提出時とは一部が違います。
政府提出案は「(検討)附則第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ、特定医療費の支給に係る事務の実施主体の在り方その他の事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」
きょう成立した法律は「(検討)附則第二条 政府は、この法律の施行後五年以内を目途として、この法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ、特定医療費の支給に係る事務の実施主体の在り方その他の事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」
見直し規定が「5年をめど」から「5年以内をめど」にかわりました。
衆議院で中根康浩さんが提出して、全会一致で可決したものです。中根修正は「以内」の2文字を挿入しただけ。これを来週にも天皇陛下が法律として公布なさいます。与党でない中根さん、理事でもない中根さんが筆頭発議者になったわずか2文字の修正。これに全員が賛成する。この青春ドラマのラグビー部のような話の結末。参議院本会議押しボタン採決の結果は、「投票総数236、賛成235、反対1」。ちょっとだけかっこわるい、泥臭いラストでした。