渡辺恒雄の後継者、宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「連帯保証人禁止法案」を提出 民主党・共産党・社民党ら 来年の「民法債権編抜本改正法案」さきどり

2014年05月21日 17時41分53秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[写真]中村剛・参議院事務総長に法案を提出する、(左から)大塚耕平・元金融担当副大臣、糸数慶子さん、前川清成・元法務副大臣、小川敏夫元法相、民主党ウェブサイトから。

 民主党は2014年5月21日(水)、参議院に「融資の連帯保証を禁止する法案」を、日本共産党、社民党、生活の党、会派に属しない議員の糸数慶子さんと共同で提出しました。

 銀行融資にかかる第三者保証のうち、今まで通り、(1)社長本人(2)他の法人の保証は認めるものの、それ以外の「社長ではない個人による保証」すなわち「連帯保証」を無効とする法案。法務省は、2009年政権交代直後に、千葉景子法相(民主党)の諮問により、法制審議会が民法の債権編(債権法) の全面改正法案を作成しており、来年の通常国会に提出します。それに先立ち、連帯保証を先行して廃止する法案を提出したことになります。

 民主党は2003菅マニフェストから「政府系金融機関の個人保証廃止」、2007小沢マニフェストから「融資の際に不動産担保・人的保証に過度に依存しない資金調達体制の整備」を盛り込んでいました。

 なお、「第三者保証」「個人保証」と言った場合は、1人で新規創業した法人が融資を受けるときに社長が保証人になる融資でも「第三者」「個人」ですから、これは、認めないと新規創業者本人が困ります。これとは別に、融資のときに、法人に対して、社長ではない第三者が「連帯保証人」になることを無効とする法案です。もちろん、アパートを借りるときの連帯保証人はまったく別の話です。

 海江田万里ネクスト総理は「いのち、雇用、暮らしを守る民主党」をうたっており、頼まれて連帯保証人に名前を貸したことにより、後々まったく経営にタッチしていなかった会社の倒産によりおびただしい借金を肩代わりさせられ、自殺する人を根絶するのが法案の最大のねらいになります。

 (関連エントリー 2013年2月28日付◎「連帯保証人廃止」へ 民法改正法案、2015年国会提出へ 2009民主党マニフェスト実現へ) 


 わが国の金融システムにおいて、連帯保証人制度があるのは、江戸経済で発達した手形(約束手形)という決済慣行において裏書保証というわが国だけのシステムがあったことからできたシステムと考えられます。現在でも多くの金融機関が連帯保証人をとって法人融資をしていますが、実際に法改正について、巻き返しの働きかけ活動はみられません。

 法案の主要部分の要綱は次の通りです。

 「業者の貸金等債務を主たる債務とする保証契約による過大な保証債務の負担により、保証人の生活の破綻等を招く事例が多く生じていることを踏まえ、保証人が金銭の貸付け等を業として行う者との間で締結する保証契約のうち、主たる債務者が事業のために負担する貸金等債務を主たる債務とする保証契約等は、保証人が法人又は主たる債務者である法人の代表者である場合を除き、その効力を生じない

 参議院法務委員長は公明党であることから、同党が賛同する可能性もあると考えられます。

 まずが参議院議院運営委員会が6月22日の会期末までに、この法案をしっかりと法務委員会に付託することを賛成多数で可決するかどうか、参議院の良識が問われることになります。

 ◇

 第185臨時国会の「婚外子差別規定を削除する改正民法」の積み残しである、出生届の「嫡出である子」かどうかは記載させる欄を削除する戸籍法改正法案も同時に提出されました。 

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参議院本会議、田村憲久厚労大臣の趣旨説明演説ミスで休憩のまま「終了」 今国会初の空転 

2014年05月21日 13時52分31秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

【2014年5月21日(水)参議院本会議】

 午前10時に開議。

 山崎正昭議長は日程に追加して、まず重要広範議案の趣旨説明と代表質問から議事を始めました。

 地域医療・介護総合法案(地域包括ケアシステム法案)(186閣法23号)について、田村憲久厚生労働大臣から趣旨説明を受けました。この後、山崎議長は、最初の質疑者として、自民党の高階恵美子(たかがい・えみこ)前厚労政務官を指名し、登壇しました。ここで、田村大臣の趣旨説明演説が議席に配られたものと違うことなどから協議となり、議長はいったん「田村大臣から補足の説明を受けます」と語りましたが、10時15分に「暫時休憩します」と宣言しました。

 第186通常国会での、開議後の数分以上の空転は、衆参両院、本会議・委員会問わず初めての事態となりました。各会派はきょうの本会議はこのまま再開しないことで合意済み。議長の散会宣告もなく、休憩のまま、午後11時59分過ぎに事実上の「散会」になる見通し。

 きょうの本会議で採決され、可決・成立する運びだった「難病患者医療法案」(186閣法24号もあさって(以降)にずれ込むことになりました。おそらく、傍聴者に寄り添って取材していた記者・カメラマンも待ちくたびれたでしょう。昨年末も与党が特定秘密保護法をいそいだため、「婚外子差別を削除する改正民法」の成立が遅れて、裁判闘争を闘った傍聴者のインタビューが夜になったことがありました。政治部以外の意欲ある記者が、「国会取材はこりごり」となって、出稿意欲が減退することになりそうです。今国会はやたらと論説委員が社説で法案を取り上げるというシーンが多かっただけに、空転・不正常は与野党双方の損です。

 それにしても、答弁に先立つ、趣旨説明演説でミスが出る事態は、ちょっと記憶がありません。

 重要法案がありますので、早めの正常化を求めたいところです。衆議院厚生労働委員会は動いているようですが、両院での審議日程確保が会期末にかけ、大きく混乱する事態となりました。

 高支持率与党の自民党、好事魔多しです。

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