[写真]中村剛・参議院事務総長に法案を提出する、(左から)大塚耕平・元金融担当副大臣、糸数慶子さん、前川清成・元法務副大臣、小川敏夫元法相、民主党ウェブサイトから。
民主党は2014年5月21日(水)、参議院に「融資の連帯保証を禁止する法案」を、日本共産党、社民党、生活の党、会派に属しない議員の糸数慶子さんと共同で提出しました。
銀行融資にかかる第三者保証のうち、今まで通り、(1)社長本人(2)他の法人の保証は認めるものの、それ以外の「社長ではない個人による保証」すなわち「連帯保証」を無効とする法案。法務省は、2009年政権交代直後に、千葉景子法相(民主党)の諮問により、法制審議会が民法の債権編(債権法) の全面改正法案を作成しており、来年の通常国会に提出します。それに先立ち、連帯保証を先行して廃止する法案を提出したことになります。
民主党は2003菅マニフェストから「政府系金融機関の個人保証廃止」、2007小沢マニフェストから「融資の際に不動産担保・人的保証に過度に依存しない資金調達体制の整備」を盛り込んでいました。
なお、「第三者保証」「個人保証」と言った場合は、1人で新規創業した法人が融資を受けるときに社長が保証人になる融資でも「第三者」「個人」ですから、これは、認めないと新規創業者本人が困ります。これとは別に、融資のときに、法人に対して、社長ではない第三者が「連帯保証人」になることを無効とする法案です。もちろん、アパートを借りるときの連帯保証人はまったく別の話です。
海江田万里ネクスト総理は「いのち、雇用、暮らしを守る民主党」をうたっており、頼まれて連帯保証人に名前を貸したことにより、後々まったく経営にタッチしていなかった会社の倒産によりおびただしい借金を肩代わりさせられ、自殺する人を根絶するのが法案の最大のねらいになります。
(関連エントリー 2013年2月28日付◎「連帯保証人廃止」へ 民法改正法案、2015年国会提出へ 2009民主党マニフェスト実現へ)
わが国の金融システムにおいて、連帯保証人制度があるのは、江戸経済で発達した手形(約束手形)という決済慣行において裏書保証というわが国だけのシステムがあったことからできたシステムと考えられます。現在でも多くの金融機関が連帯保証人をとって法人融資をしていますが、実際に法改正について、巻き返しの働きかけ活動はみられません。
法案の主要部分の要綱は次の通りです。
「業者の貸金等債務を主たる債務とする保証契約による過大な保証債務の負担により、保証人の生活の破綻等を招く事例が多く生じていることを踏まえ、保証人が金銭の貸付け等を業として行う者との間で締結する保証契約のうち、主たる債務者が事業のために負担する貸金等債務を主たる債務とする保証契約等は、保証人が法人又は主たる債務者である法人の代表者である場合を除き、その効力を生じない」
参議院法務委員長は公明党であることから、同党が賛同する可能性もあると考えられます。
まずが参議院議院運営委員会が6月22日の会期末までに、この法案をしっかりと法務委員会に付託することを賛成多数で可決するかどうか、参議院の良識が問われることになります。
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第185臨時国会の「婚外子差別規定を削除する改正民法」の積み残しである、出生届の「嫡出である子」かどうかは記載させる欄を削除する戸籍法改正法案も同時に提出されました。