【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第198回通常国会は150日間の会期を終えて閉幕 令和初

2019年06月26日 22時11分12秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

[写真]国会内の自民党幹事長室前の赤じゅうたん、国会本館2階の衆議院側の皇居側、2017年、衆議院の向大野新治事務総長(当時)のおとりはからいで、宮崎信行が撮影・所持・掲載。

 第198回「令和元年」通常国会がまったく盛り上がらずに150日間の会期を終えて閉会しました。6年前とまったく同じ6・26閉会となりました。

 個人的にも大変お世話になった、向大野新治・衆議院事務総長が辞職。後任には岡田憲治(おかだ・のりはる)事務総長が就任。学者の人とは違う人物です。

 野党会派「未来日本」の長島昭久さんが自民党に入党し、大野元裕さんが国民民主党を離党しました。これにより、現在国会議員の出身高校で最多であり、資産家の子息が通う傾向がある、「慶應高校」の卒業生のうち、野党にいるのは、佐藤公治さん、「維新・希望」の松沢成文さんの2人だけになりました。私としては、公治さん(元新生党秘書会青年部長)と、次の選挙で国政復帰する松野頼久さん(元日本新党広報部長)という学生時代からお世話になっている2人だけになってしまいました。私は日大系から早稲田に進みましたが、慶應高校系の人に、四半世紀かわいがってきていただいたのだと感じますが、野党系にはだんだん居場所がなくなってきました。

 これから90日間で、国会が開かれるのは5営業日ほどだと考えます。正直、12年間ともしてきた、心のたいまつ、心のほのおは、消えかけています。やはり2014年解釈改憲、2015年安保法制、また、2013年からの異次元の金融緩和で、グローバルマネー資本主義が民主主義を根こそぎなぎ倒してしまった、と考えます。野党が候補者を擁立できないんだから、民主主義どころではありません。日本の人口は1・2億人なのに、2009年から2012年にかけて、民主党が0・2億票を失ってしまったことについて、日本国民を信用できなくなった気持ちが私の中にあります。狂気です。ふだん、声も荒げずに通勤している日本人がこんなに陰湿だとは。

 違ったかたちでのジャーナリスト活動も模索していこうとは考えていますが、とにもかくにも、令和の改元のムードもほとんどなく。トランプ大統領が日米安保破棄に言及。日本国憲法も日米安全保障条約も、国会では多くの時間を割かずに効力を持っているものです。川下に位置する国会については、ツイッターでの国会クラスタもありますし、レガシーメディアもネットメディアも経営が難航しているように見受けられる中、自分のスキルは持ったまま、後ろに引こうと思います。

【衆議院予算委員会 令和元年2019年6月26日(水)】

 野党側の逢坂誠二・筆頭理事が「117日間予算委員会が開かれなかったことについて発言を求める動議」を提出。野田聖子委員長が採決した結果、賛成少数で否決され、発言できませんでした。今国会では、地方公聴会の取材にでかけました。私にとって初めての経験でした。この150日間、あまり目的が絞られていない、散漫な取材を続けましたが、経験値を積み重ねることはできました。

【衆議院地方創生に関する特別委員会 同日】

 「地域再生法改正案」(198閣法48号)の継続審議を決定。一方、「スーパーシティー法案」(198閣法57号)について、委員長が継続を発議せず、本会議に報告後、審議未了で廃案となりました。安倍晋三内閣の金看板である「毎国会ごとに提出する」、構造改革特区法及び国家戦略特区法改正案は、2会期連続で、審議未了廃案となりました。

【衆議院本会議 同日】

 「ILOへの貢献決議」が全会一致で採択されました。この後、請願529件を採択。そして、向大野新治事務総長が辞任。ここで、岡田憲治事務次長が総長席に。選挙の結果、岡田さんが事務総長になりました。

【参議院憲法審査会 同日】

 中曽根康弘首相の秘書だった、自民党の柳本卓治会長が「5年間大過なく会長をつとめることができた」とし「議員を引退する」と宣言。新しい体制で臨むことになりますが、むこう3年間、おそらく憲法改正発議はないのではないでしょうか。

【参議院本会議 同日】

 「ILO100年を祝い一層貢献する決議」が投票総数233、賛成233、反対0で採択されました。但し我が国は、ILO100号条約など、国内実施法が未整備の条約が大量にあります。それで、何を貢献するというのでしょうか。より一層の省力化機械投資を進めて、一人当たりの労働時間の短縮と賃金上昇を図るべきです。それしかありません。

 この後、磯崎陽輔さんが登壇。なんでも「分かりやすい公文書の書き方」という「ぎょうせい」から出ている本が増刷されたそうですが、「傍目に分かりやすい文章で自衛隊をホルムズ海峡に送り込む2014年解釈改憲で国民をだます方法」というようなタイトルにした方がいいのではないでしょうか。参議院規則の改定案で、ペーパレス化を推進。これは、投票総数229、賛成215、反対14の賛成多数で採択され、成立しました。

 その後伊達忠一議長が起立。「私もこの機に引退します」。中山恭子さんが登壇し伊達さんらをねぎらいました。決まり文句の「選挙にのぞまれるかたはぜひご当選いただきたい」との言葉。仮に1人区で、自分の党の新人と、反対党の現職がいた場合に、反対党の現職の当選をのぞむのでしょうか。それは政治ではありません。

 第19回統一地方選直後から、激しい議員不信を私はいだいております。二元代表制において、1人区で自分の党の新人と、反対党の現職がいた場合、多くは反対党の現職の当選を願っているのは議員の実態です。一方、報道によると、名古屋市議会議員選挙では、減税日本公認の新人が、自転車で、河村たかし代表(兼)名古屋市長の演説テープを流すだけの選挙運動で当選したそうです。すなわち、二元代表制において、河村党首兼市長とまったく同じ行動を向こう4年間議会でとりつづけます、という発信が支持されたわけです。このような時代の変化が起きている中で、議会が一致結束して首長とたたかうなどという寝ぼけたことを言っている馬鹿な地方議員6万人は消えて無くなれ、と本気で考えています。
 
 地方議員6万人など、形を変えた生活保護受給者や、地方公務員が飼育する社会不適合者動物園だと、切り捨てておいて、トランプさんの日米同盟破棄宣言や、アメリカとイランをめぐるホルムズ海峡情勢、米中の貿易摩擦。そういった情勢の中で、立憲民主党が打ち出した、「#令和デモクラシー(はっしゅたぐれいわでもくらしー)」によるボトムアップが、とくに、全国比例でどのように作用するのか。土俵際の日本議会制民主政治の最後の実験になりそうです。

 社長就任後初めての通常国会となりました。これだけ口の悪い私を支えてくださる、というよりも、口が悪ければ悪いほど、ますます、支えてくださる方がいらっしゃることを、目の当たりにしながら、このブログを書いているわけですが、本当に感謝します。ありがとうございました。

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