ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

野党になめられるな 予算は何が何でもきょう中の審議入りを

2011年01月28日 15時58分21秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意
[写真]中井洽・衆院予算委員長

 代表質問が参院で行われているので、気もそぞろで申し訳ないが、きょう午後4時20分から、衆院予算委員会が設定されています。野党が理事会を欠席する中、中井洽委員長が職権でセットしました。

 平成23年度総予算(案)審議は、野田佳彦財務大臣の趣旨説明、財務副大臣(おそらく櫻井充副大臣)の補足説明からスタートしますが、これは何が何でもきょう1月28日(金)に野党欠席でもやるべきだと、私は主張します。

 国民生活、景気、雇用はドン底です。

 昨年の予算審議は、「箇所付け漏洩事件」というのがあって、野党の抵抗で審議入りが遅れました。私にとっても、「箇所付け漏洩事件」は政権交代後、もっとも民主党、小沢一郎幹事長体制に失望した残念な事件でした。これに関して、馬淵澄夫・国土交通副大臣と平野博文・官房長官(ともに当時)が陳謝した上で、昨年2月4日午後6時50分から予算審議がスタートしています。

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 ところが、ことしはこの「箇所付け漏洩事件」のように、野党が審議入りを拒否する具体的な材料はないと思います。ただ、きょうの参院本会議で、菅直人首相が答弁漏れをしないように注意していただきたいところですが、これさえなければ、国民生活の悲惨な現状を考えれば、1月中ですが、予算はすぐに審議入りすべきです。私もすべて読んだわけではありませんが、平成23年度予算書はよくできていると評価しています。

 金曜日の審議入りで、月曜日に基本的質疑となると、官僚のみなさんや、NHKには苦労をかけるけれど、いずれにしろ、国民生活のためには耐えていただきたい。とくに、代表質問では、公明党の井上義久幹事長が民主党を厳しく攻めるなど、民主党は少し野党になめられている。小沢一郎氏の政倫審に賛成したり、反対したり、証人喚問をやれといったり、やるなといったり、野党の思うがままになっています。

 国会はけんかです。外で決闘したり、戦闘したりするのが無政府状態や戦争であり、国会の中や選挙で戦争をするのが、法治国家であり、デモクラシー(民主国家)です。

 けんかは初めが肝腎。S&Pが国債の格下げを発表し、民主党幹事長の岡田克也さんは「いくつもある格付け会社の一つ」と冷静なメッセージを記者会見で発しましたが、ここで、予算関連法案を人質に取ろうとしている野党を一発ぶちかますチャンスです。統一地方選を前に、公明党が2週間、3週間と審議拒否できるわけがありません。菅と岡田が怒ったら、どれだけ恐いか見せつけてやりましょう。

 2月6日の名古屋市長選はいずれにしろ、民主党議員だった人同士の選挙ですし、県知事選とねじれています。北九州市長選は民主党議員だった素晴らしい人が相乗りですから、2月6日週からの野党の攻勢はあり得ません。

 そこで、「小沢一郎元代表の強制起訴」がいつになるかです。これがあると、野党は審議拒否するでしょう。ここで、民主党としては、小沢一郎(氏)の政倫審カード、証人喚問カードを切ることができます。証人喚問は議院証言法の偽証罪からして、難しい面がありますが、以前、新進党の友部達夫・参院議員が起訴後に証人喚問を受けていますから、不可能ではありません。また今回は「強制起訴」といっても、検察審査会の議決に基づくものですので、友部さんのときに比べれば「起訴」の意味合いは違います。ハードルは低いと言え、民主党は野党に譲歩する(カードを切る)べきでしょう。

 そして、4月10日・24日の統一地方選ですが、これは市町村合併&定数削減で、ホントウに苦しいのは、公明党、自民党、日本共産党の現職地方議員たちです。民主党が苦戦しているのは事実ですが、苦しんでいる人の数は公明党、自民党、日本共産党の方が多いのです。野党が足並みを揃えて、国会で1週間も、2週間も審議拒否をするのはムリでしょう。

 今国会は、予算審議は低調になりそうな気配を感じています。というのは、予算関連法案が野党のターゲットになっているからです。しかし、ここは両院協議会の協議委員の選出方法が、国会法、衆参規則になりことを利用して、協議委員を選挙にしてしまう手がある、と私は考えています。これまでは、衆参不一致の場合は、衆院議長(あるいは参院議長)が「これより協議委員の選挙に入ります」と言ったところで、動議が提出され、「議長において指名することをのぞみます」「今の動議にご異議ありませんか」「異議無し」「それでは議長は協議委員に~10人の議員名~さんを指名します」という運びになっていました。しかし、これは先例に過ぎないので、衆参とも、協議委員10人を選挙すれば、いい。そうすると、票割りすれば、民主党側から見て、衆議院では7人対3人、参議院では4人対6人が協議委員になります。総計で、民主党側から見て、11人対9人の協議委員で両院協議会が開かれますから、くじ引きで衆参どっちが議長をとろうとも、打ち切り動議を出して、採決に持ち込めば、衆参関係なく、民主党側の意見にそった結果が両院協議会で出るはずです。これは私の思い付きですが、ぜひ、民主党国対は、衆参事務局に問い合わせてみて欲しいと思います。ネックは参院議院運営委員長が自民党の鈴木政二さんだということですが、国会法第88条が「両院協議会の拒否の禁止」を定めているので、参院本会議を開かないわけにはいかないはずです。この辺は、1月20日に出た、大山礼子著の岩波新書「日本の国会--審議する立法府へ」の第4章の194ページ辺りを読んでいて、思いつきました。2月後半、3月後半にも、このことは触れていくことになると思います。

 もう一つ、ぜひ両院協議会は、国会議事堂本館3階の「(常任)委員長室」ではなく、交代で第一委員(会)室で開催し、インターネット中継してほしいと考えます。これは民主党に有利ですが、さいわい自民党の国対委員長も国会審議のネット中継を推進してきた逢沢一郎さんですから、彼の政治活動歴からして、拒むことはできないと思います。参議院ということですが、参議院は国会同意人事の議院運営委員会のネット中継(録画中継)の実績がありますし、議事録をつくることになったのは、2008年の北澤俊美・協議委員議長の提案からです。速記者は衆参で統一されているのでやりやすかったのです。ネット中継業者は、衆参では別々ですが、これは党首討論のように、第一委員(会)室を交互に使っていけば、その院の出入り業者が担当するということで問題ないでしょう。

 ここは、長期金利も含めて、日本国民にとっての瀬戸際になりかねないので、ぜひ準備を進めて欲しいと思います。菅さんの言うとおり、自信を持ちましょう。ただし、先行きの透明性、安心感という下地がなければ、自信を持て!とだけ言われてもムリな話です。国債格下げは、公明党などの野党の理由なき反抗にあります。なめられちゃいけません。もう民主党の支持率は、これ以上下がりようがない、まだ下がるかもしれませんが、実は底堅いと思われます。大事なのは、友情と勇気です。突撃しましょう! 国民の生活のために。

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