宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

令和の政治改革・第3弾「企業の献金」で小泉進次郎「総総合意で小沢一郎・新生党代表幹事に聞くべきだ」

2025年03月10日 19時39分26秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]小泉進次郎、小沢一郎両衆院議員、各々3年前の2022年7月に神奈川で、2014年12月に都内で、宮崎信行撮影。

 令和の政治改革は、3弾のうち第2弾の後半となっています。第1弾は政策活動費廃止、調査研究広報滞在費の領収書添付、政治資金収支報告書のオンラインデータベース化、政治資金監視委員会新設のプログラムがきょねん制定されました。第2弾前半として、ポスターの品位規定とSNS量的制限の検討条項の法案が衆議院を通過しました。第2弾後半として、平成6年1月の政治改革4法の両院協議会に前後した総総合意(細川護熙、河野洋平両氏)をうけた企業・団体の政治支部などへの政治献金の禁止が議題となります。3月31日が締め切りだと主要会派が合意しています。第3弾の人口及び面積を勘案した衆議院選挙制度改革も協議会がスタートしています。

 一方、高額療養費引き上げ凍結による100億円程度に関しては、予備費からの歳出を明言することで、令和7年度予算案は衆議院送付通りに参議院で議決する可能性が高まりました。重要広範議案に指定済みの年金法改正案(未提出)に関する与野党協議を、自公が提案する段取りが、今週なされそうです。

【衆議院政治改革に関する特別委員会】
 きょうの議題は「政治改革に関する件(企業・団体献金の在り方)各会派の意見表明」として5分ずつ40分程度行われました。

 筆者自身も、平成6年1月の法律は、附則に「企業献金は5年後に廃止する」と書いてあったと誤解していました。たしかに「5年後検討条項」だけでした。

 小泉進次郎さんは、伊吹文明さんの話だとして「総総合意に携わっていた責任者が、当時の新生党代表幹事の小沢一郎氏であったと断言しています。もし禁止が前提と主張するのであれば、総総合意の交渉当事者であった当時の新生党代表幹事の小沢一郎氏に確認すべきだ。仮に企業団体献金を禁止すれば、政党助成金への依存度が強まり、公的助成に頼る官製政党、税金丸抱え政党になってしまいます。民主主義にとって、果たして良いことなのでしょうか。大事なことは、政党助成金、個人献金、企業団体献金のバランスです。したがって、我が党は企業団体献金については禁止より公開という考え方のもとに、その透明性公開性を一層強化するための具体案として、企業団体献金公開強化法案を提出いたしました」と語りました。

 小沢さんはその後、新生党、新進党、自由党、日本未来の党を解党して、多額の現金を手にしています。足立康史前議員が出版した暴露本がその可能性を指摘しているとおりです。小沢さんは企業献金がいらないように思いますが、新興宗教「ワールドメイト」の団体職員として多額の月給を、宿敵だったはずの亀井静香さん(議員引退により公開義務はなし)とともにもらっています。こちらは月給ですから団体献金にもなりません。この間、ゼネコン二十数社で岩手の選挙区選対を組む体制からも、まるっきり転向しても、小沢衆議院議員であり続けています。小泉さんは、議員立法を出していないとのSNSの批判が気になったようで、ようやく主体的に法案提出者として成案を得てきましたので、かけひきで、小沢さんの名前を出したものと考えられます。

 すでに提出済みの法案を次回は審議するものと考えられます。

【参・予算委員会】
 「令和7年度予算案」は5日目で、そのうち集中審議1日目「石破内閣の基本姿勢等」。質疑時間は往復方式。

 首相は予算再修正について「今後どう取り扱うかは、これは与党においてよくご判断をいただき、あるいは本委員会において各党も御意見も承りながら、よりよい方向性を見いだして結論を得たいと思っております。今後どう取り扱うかは、これは与党においてよくご判断をいただき、あるいは本委員会において各党も御意見も承りながら、よりよい方向性を見いだして結論を得たいと思っております」と述べました。維新の片山大介さんへの答弁。 

 自民党の高橋はるみさんが質問しました。ここ6年間、「2輪車」選挙での車上労務員報酬上限問題と旧安倍派裏金問題でしか登場しなかった印象もありますが、高橋さんは北海道3人区で自民2人公認で再選出馬することになり、有力。昨秋20年ぶりに村上誠一郎さんが入閣し、立憲では平岡秀夫さんが11年ぶりに衆院議員に返り咲き、岡田克也さんも同党常任幹事会出席最多回数を更新し続けるなど、東大法学部同級生たち71歳は全然若いという印象です。

 首相は「先週金曜日に当委員会でお約束をいたしました通り、患者団体の皆様方のお話を直接承るという機会を得ました」とし「高額療養費の見直しにつきましては、本年8月の定率改定も含めまして、見直し全体については実施を見合わせるというような、偉そうな言い方をすれば決断をさせていただいたところでございまして、本年の秋までに改めて方針を検討して決定することといたしたい」と語りました。

 この後の、徳永エリ・立憲筆頭理事の質問も含めて、石破茂さんの立場から、予算案の参議院での再修正に関する言及はありませんでした。その後、上述の通り、維新に対して「いろいろな報道がありますが、再修正を指示したということはございません」と答弁しました。あすは予算委はありません。

●東京駅前丸善常連の読書家、浜野議員がザイム真理教の洗脳から目覚める

 ザイム真理教の洗脳から、また一人目覚めました。国民民主党で関西電力労組の浜野喜史さんです。浜野さんは、新幹線に乗る前に、東京駅「丸善」で本を買う姿を見かけました。丸善で本を買う国会議員はほとんど見たことがありません。浜野さんは自分で本を買うので、レクチャー・ご説明で洗脳されにくかったのでしょう。

 浜野さんは「財務大臣にお伺いしたんですけれども、令和7年度の国債の発行についてどの程度までなら許容できるというふうに考えて予算を組んだのか根拠と合わせてですね、ご説明をいただきたい」と語りました。財務相は「具体的な水準ということでございますけれども、現在の経済状況、財政の状況に加えて、今後の人口減少少子化高齢化など構造的な変化の動向また財政運営に対する現状の評価、また今後に対する評価、こういったことを総合的に勘案して、最終的には市場参加者がですね、我が国の財政の持続可能性に対してどう評価をするかと、そこにかかっているというふうに考えております」と語り、数字の根拠を何を示しませんでした。

 浜野さんは「額を明示的に示すというのはなかなか難しいというのは、私は理解をいたします。市場で国債の消化が困難な状況に今あるわけではないと、こういう理解でよろしいでしょうか」「債務残高の対GDP比が一定の意味があるということを私は否定はいたしませんけれども、世界最悪だということを内外に財務大臣が説明するということはこれいかがなものか」「そういう説明されると、こちらはですね、可能性は絶対ありませんなどという説明は我々できません。ないことの証明はこれ極めて難しいわけですから、従って、私はそういう説明をされるんじゃなくして、可能性が強いのか。可能性が高いのか、可能性が低いのか、そういうですね、説明をして、今の政府の財政の状況について、正確に国民に対して説明をしていく必要があると思うんです。私は現状、無用な不安をあおりすぎていると考えるんですね。結局のところ消費マインドを下げさせてしまってる可能性があるというふうに思うんです」と正論をはきました。財務相は「最悪というのは数字で見てこれ最悪の水準でありますから、これは統計的には明らかな部分でございます」と何らの数字を示せずに答弁が終わりました。

 私は今、「国の借金」よりもローマ教皇フラシスコの「Xデー」が来た時に、バチカンの資金の運用を担うロスチャイルドの動きの方が気になります。前々回崩御された(3代前の)ヨハネ・パウロ1世は暗殺され、混乱を見かねて、世界のロスチャイルドグループが善意で資産運用を代行してきた経緯があります。財務省も「財源」をめぐる質問に「徹底した行政改革」という答弁書を官邸に平気であげるような体たらくなので、その時は近いでしょう。

 元日本未来の党代表で、日本維新の会の全国比例で再選をめざす滋賀選挙区の嘉田由紀子さんは、前原誠司共同代表らの高校授業料無償化は「1石4鳥だ」とパネルを使って力説しました。

【衆議院震災復興・災害対策特別委員会】
 まず、黙とう。当委員会は、ことしから、3大臣(伊藤復興、坂井防災、赤澤防災庁設置準備担当)が所信的あいさつをすることになりました。

 パワハラ気質が嫌われつつも、国民民主党の名簿不足により比例東海復活で命拾いした伊藤忠彦復興大臣は「先日、福島県において、福島広道集成材製造センターを訪問いたしました。新しい技術を用いて、付加価値の高い集成材を製造されており、その木材は、大阪関西万博のシンボルである大屋根、通称リングに使用されているということで、感銘を受けてまいりました」と述べ、福島復興と大阪・関西万博の「大屋根」を結び付けて、日本再生のストーリーを描きました。

【衆・安全保障委員会】
 きょうの理事懇談会をへて、あす定例日に安保委を開くことを委員長が決めました。安保は、火、木、金曜日が定例だとされています。参の外交防衛は火、木です。なので、国会開会中に防衛省職員を市ヶ谷周辺のライブに誘うなら火曜夜がおすすめです。

 ●あすは衆議院本会議はありません。議運は理事会だけ開かれます。火曜日が定例だとされる委員会のうち、法務と国土交通の2つは開かれず、やや日程闘争的な面が出てきたのかもしれません。あすは参議院では10の委員会で所信的あいさつがあります。トランプ政権と関税で掛け合うために渡米した武藤容治大臣の経済産業委員会だけは開かれません。

 あす火曜10時半から、玉木雄一郎国民民主党代表の定例記者会見。立憲の常任幹事会は、水曜日(3月12日)にスライドします。

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Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

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