それは本当にあっという間の出来事だった。風を伴い、雹混じりの雨が降ってきたかと思うと、みるみるうちに傘もさせないほどの大雨となった。私の着衣は雨に濡れ、やむなく私は近くの民家の軒先に避難したのだった。
予兆はあった。
弁当を食べ、ゴールまで残り2時間くらいになったころから盛んに稲光が空を走り、雷鳴が耳をつんざくように何度も何度も鳴っていた。
私はなんとか雨が来る前にゴールにと、疲れた足を懸命に動かしていた。
空は今にも降り出しそうな鉛色の空だった。
大雨が私を襲ったのは、網走市街地に入り、もう20分も歩けばゴールと思っていたときだった。
ぽつぽつと来たので、まず傘をさした。しかし、風が強く折り畳み傘では用が足さない。さてどうしょう、と思ったのもつかの間、雹まじりの猛烈な雨が私を襲った。見る間に私の着衣は濡れ出した。
「レインウェアを着なくては」と思ったのだが、近くに雨を避けるコンビニとか建物が見当たらない。止むをえず近くの民家の軒先に避難した。しかし、風を伴っているので民家の軒先ではほとんど雨を避けることはできない状態だった。
その時女神様が登場した。民家のドアが開き、そこの家のご婦人が「玄関の中で着替えてください」と言ってくれた。これは本当に嬉しい申し出だった。
私はゆっくりレインウェアを身に纏った。しかし、雨の勢いは収まらない。
道路は川のようになり、車は派手に水しぶきをあげている。見るとなかには危険を感じたのか、停車している車も何台かいた。
※ 降り始めて10分もしないうちにこのような状態だった。
レインウェアを纏ったといってもとても雨中に出て行ける状態ではない。すると婦人は「雨が止むまでゆっくりしていってください」とさらなる親切を言ってくださった。
10分後or15分後だったろうか、雨がやや小降りになったのでお礼を言って民家を後にした。
網走に古くからお住まいの由緒ある家のようだった。かすかに判読できる表札には「奥谷」と記されていた。住所も名前も判らないために礼状も送ることができないが、このブログを通して「奥谷」様に謝意を表したいと思う。本当にありがとうございました。
先ほどまでのあの豪快な雨はどこえやら、私は小降りになった雨の中13時40分無事ゴールを果たすことができた。
※ お世話になった「奥谷」様の玄関です。
さて、今日の「でっかいどうオホーツクマーチ」第一日目は、上記のようなハプニングがなければ次のような書き出しで始めようと思っていた。
初夏の陽光が降り注ぐ中、オホーツクからの風が心地よく通り過ぎる。
春ゼミが間断なく泣き続け、耳に快い。
※ 本日のベストショットになるはずだった「感動の径(みち)」の一コマです。
そんな第一日の始まりだった。
午前7時にスタートし、網走の自然を満喫しながら歩き続けること6時間40分、午後1時40分なんとか35kmを歩き終えゴールすることができた。
道中の詳しいレポートはできないが、爽やかな気候の前半、暑さにかなりバテた中盤、思わぬ大雨にたたられた後半と、網走の自然をたっぷりと味わうことができた。
これこそアウトドアライフの醍醐味なのだ、と思う。
※ ウォーキングの疲れで写真の整理もできない。札幌の帰宅してから写真と共に四日間を振り返ることができればと思っている。