ドイツのマイスターの話を聴いた。ただし、ドイツ人のマイスターではない。ドイツのマイスターの称号を取得した日本人の話である。中世以来の伝統を持つマイスター制度だが、時代の趨勢の中で制度の見直しも余儀なくされているようだ。
札幌国際プラザが開催する「○○を知るセミナー」は、札幌市の国際交流員が自国の事情などを語ってくれるセミナーなのだが、私たちが知らないような意外な事実を伝えてくれて興味深い。
ところが昨日(11月22日)の「ドイツ・ミュンヘンを知るセミナー」の講師は日本人の武市知子さんだった。
武市さんは札幌の中学校を卒業と同時にドイツに渡り、修行を重ねた後「金銀細工」の部門のマイスター試験に合格し、現在「宝飾細工師マイスター」としてミュンヘン市内にギャラリー&工房を開いているとのことだった。

※ ドイツのマイスター制度について説明する武市聡子さんです。
ドイツにおいて手工業の職種と位置づけられている職種は151種あるそうだが、開業の際に絶対必要とされる職種かどうかで三段階に分かれているそうだ。その内訳は…、
◇Aグループ ~ 開業の際にマイスターの資格が必要とされる職種 ⇒ 41職種
◇B1グループ ~ 法改正により開業のために資格を必要としない職種 ⇒ 53職種
◇B2グループ ~ 以前から開業のために資格を必要としなかった職種 ⇒ 57職種
そのマイスター制度だが、次のようになっていると武市さんが説明してくれた。
マイスター(Meister)
↑
マイスター国家資格試験 ※ 全日制のマイスター学校
↑
ゲゼレ(Geselle)職人・熟練工 ※ さらに3~5年間の修業期間
↑
ゲゼレ・職人資格試験
↑
見 習 い ※ 2~3年間働きながら職業学校に通う
その仕組みを見ていただければお分かりと思うが、マイスターの資格を得るには相当な期間と努力が必要なことが分かる。そのことがマイスター取得者に対する技術の信頼も生んでいると思われる。

※ 写真のように男装の麗人といった武市さんだが金銀細工職人らしくたくさんの作品を身に付けていた。
ここからは武市さんのお話を聴いた後、私が調べたことだが…。
ドイツでは手工業管理法を2003年に改正し、開業のためにマイスターの称号の取得が必要だった53職種に対して取得を義務付けない職種にしたということだ。
その基準は、それらの職種は技術の習得が比較的容易な職種であり、営業活動によって第三者の健康や生命に危険を及ぼす恐れがない職種と判断されたそうだ。
改正した背景には、失業者の増加とか、ドイツが他国と比較して個人の開業率が非常に低いということなどが挙げられるらしい。
ちなみに武市さんが取得した「木銀細工」の職種もB1グループの2003年の法改正により開業のために資格を必要としない職種となったという。ただし、やはりマイスターの称号は工房の信頼を得る上では大切なものであり、合格証を店内に掲示してあるとのことだった。
中世以来の伝統あるマイスター制度も変遷する時代の波の中で、その仕組みを変更せねばならなくなったことをどう考えるべきなのだろうか?
翻って、我が日本にはそうした資格制度はないものの、伝統的な手工芸の技術を護り継承する仕組みはどのような現状なのだろうか?
札幌国際プラザが開催する「○○を知るセミナー」は、札幌市の国際交流員が自国の事情などを語ってくれるセミナーなのだが、私たちが知らないような意外な事実を伝えてくれて興味深い。
ところが昨日(11月22日)の「ドイツ・ミュンヘンを知るセミナー」の講師は日本人の武市知子さんだった。
武市さんは札幌の中学校を卒業と同時にドイツに渡り、修行を重ねた後「金銀細工」の部門のマイスター試験に合格し、現在「宝飾細工師マイスター」としてミュンヘン市内にギャラリー&工房を開いているとのことだった。

※ ドイツのマイスター制度について説明する武市聡子さんです。
ドイツにおいて手工業の職種と位置づけられている職種は151種あるそうだが、開業の際に絶対必要とされる職種かどうかで三段階に分かれているそうだ。その内訳は…、
◇Aグループ ~ 開業の際にマイスターの資格が必要とされる職種 ⇒ 41職種
◇B1グループ ~ 法改正により開業のために資格を必要としない職種 ⇒ 53職種
◇B2グループ ~ 以前から開業のために資格を必要としなかった職種 ⇒ 57職種
そのマイスター制度だが、次のようになっていると武市さんが説明してくれた。
マイスター(Meister)
↑
マイスター国家資格試験 ※ 全日制のマイスター学校
↑
ゲゼレ(Geselle)職人・熟練工 ※ さらに3~5年間の修業期間
↑
ゲゼレ・職人資格試験
↑
見 習 い ※ 2~3年間働きながら職業学校に通う
その仕組みを見ていただければお分かりと思うが、マイスターの資格を得るには相当な期間と努力が必要なことが分かる。そのことがマイスター取得者に対する技術の信頼も生んでいると思われる。

※ 写真のように男装の麗人といった武市さんだが金銀細工職人らしくたくさんの作品を身に付けていた。
ここからは武市さんのお話を聴いた後、私が調べたことだが…。
ドイツでは手工業管理法を2003年に改正し、開業のためにマイスターの称号の取得が必要だった53職種に対して取得を義務付けない職種にしたということだ。
その基準は、それらの職種は技術の習得が比較的容易な職種であり、営業活動によって第三者の健康や生命に危険を及ぼす恐れがない職種と判断されたそうだ。
改正した背景には、失業者の増加とか、ドイツが他国と比較して個人の開業率が非常に低いということなどが挙げられるらしい。
ちなみに武市さんが取得した「木銀細工」の職種もB1グループの2003年の法改正により開業のために資格を必要としない職種となったという。ただし、やはりマイスターの称号は工房の信頼を得る上では大切なものであり、合格証を店内に掲示してあるとのことだった。
中世以来の伝統あるマイスター制度も変遷する時代の波の中で、その仕組みを変更せねばならなくなったことをどう考えるべきなのだろうか?
翻って、我が日本にはそうした資格制度はないものの、伝統的な手工芸の技術を護り継承する仕組みはどのような現状なのだろうか?