田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

アメリカ先住民はいま

2012-11-07 23:16:36 | 講演・講義・フォーラム等
 アメリカ先住民がいま現在も相当に虐げられていることを知った。日本を含め世界において先住民族がようやく自らの権利を主張できるような環境が出来てきた。アメリカ先住民のいまを知り、北海道の先住民であるアイヌ民族に思いを馳せた…。 

          

 11月3日、北海道開拓記念館(厚別区厚別町小野幌53-2)で「文化の日講演会」と称して「アメリカ先住民のいま」と題する講演会があった。
 講師は現地において長年アメリカ先住民の調査・研究を続けている鎌田遵氏だった。

 氏によるとアメリカの先住民といわれる部族は実に565もあるそうだ。そうした先住民たちは現在アメリカ国内334の居留地で暮らしている。肝心の人口だが、このカウントが実は難しく290万人とも520万人とも云われているらしい。
 この人口統計に幅があるのは、一つは婚姻が部族内だけで行われるとは限らず、他部族同士、あるいは非先住民との婚姻など、長い期間を経て非常に複雑化していることがある。そして今一つは先住民とカウントするのは本人からの自己申告であり、それを認める先住民自治政府の承認という過程を経なければならないことがあるらしい。

 鎌田氏は長い研究生活の中で、多くの部族の実態を調査したという。その中からいくつかの部族の実態について話された。
 まず先住民の居留地だが、先住民が有していた土地は次々と奪い取られ、現在は辺境の僅かな土地に追いやられているという実態がある。我々が面白おかしく観ていた(?)西部劇映画などは、実は先住民の土地が次々と奪い取られる様子を映画で楽しんでいたと云える。
 そうした居留地の一つ、シアトル近郊のマカ族の住民の失業率は54%と悲惨な状況だという。また、マカ族はもともと捕鯨を生活の糧とし、捕鯨が部族の文化の中心であったのだが、その捕鯨が今は認められていないということだった。

          

 一方、ニューメキシコ州にある12の居留地では生活のために大半がカジノの経営に手を出しているそうだ。
 また、ロスアンゼルスの近くの部族では生きるために核廃棄物処分施設の建設を認めたところもあるという。

 その他にもいろいろ伺ったが、総じてアメリカの先住民たちは土地を奪われ、文化を奪われ、狭い土地に押し込められてアメリカ社会の底辺に甘んじなければならない実態のようだ。(このようにあまりにステレオタイプに見ることは一方では危険なことだが…)
 今夜、アメリカ大統領選において民主党のオバマ氏が勝利したとテレビは伝えている。彼自身が有色人種の出であるだけに先住民族を含めたアメリカ社会のマイノリティーにこれまでより光が当たってくれることを望みたい。

 一方、私が住む北海道の先住民族アイヌの実態はどうなのだろう? と考えたとき、その実態についてあまりにも無知な自分が恥ずかしい。
 今月末、同じ北海道開拓記念館でアイヌの実態に関する講座が開催されることを知り、早速受講を申し込んだところである。