田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

二宮清純が考える札幌冬季オリパラ

2018-02-05 19:08:51 | 講演・講義・フォーラム等
 スポーツジャーナリストである二宮清純のスポーツを見る目、それに基づく文化や社会の分析には概ね賛同する私であるが、「スポーツ!北海道フォーラム」で来札した氏の話も傾聴に値する内容だった。トワ・エ・モアの歌も良かったけど…。

                

 2月3日(土)午後、道新ホールで北海道新聞社が主催する第5回の「スポーツ!北海道フォーラム」が開催され、二宮清純氏の話が聞きたくて参加した。
 今回のテーマは「スポーツと人づくり、街づくり~札幌に虹と雪のバラードを再び~」というテーマで開催され、盛りだくさんの内容だった。

 そのプログラムは次のとおりである。
 ◇「オリンピック・パラリンピック招致に向けて」 秋元克広札幌市長
 ◇「当時の映像で振り返るSAPPORO’72」
    秋元克広札幌市長、二宮清純氏、トワ・エ・モア、岡部哲也氏、辻紗絵氏
 ◇基調講演「オリパラ招致と人づくり、街づくり」 二宮清純氏
 ◇パネルディスカッション「北の大地とスポーツの未来」
    秋元克広札幌市長、二宮清純氏、岡部哲也氏、辻紗絵氏 
 ◇トワ・エモ・ア ミニライブ

                    

 今回のフォーラムは、どのプログラムとも興味のある内容で、その全てをレポしたいところだが、私の目的だった二宮清純氏の話に絞ってレポすることにしたい。
 二宮氏はまず、1964年開催の東京オリンピックと2020年に開催される東京オリンピックの違いについて触れた。それはそのまま1972年に開催された札幌冬季オリンピックと2026(or 2030)年開催の札幌冬季オリンピックと重ねて考えられるから、ということだった。
 二宮氏は二つの東京オリンピックを次のようなキーワードで分析した。
 1964年オリンピック 「成長」、「効率」、「高齢化率 7パーセント」
 2020年オリンピック 「成熟」、「快適」、「高齢化率 33パーセント」

 二宮氏はこのようなキーワードを挙げ、それはそのまま札幌にも当てはまることだと述べた。
 そして、これからの街づくりで重要性を増してゆくのは「パラリンピック」であると強調された。その意味は、ますます高齢化が進む日本社会において障碍者のスポーツ環境を整えることが、高齢化社会においては高齢化に対応する街づくりを志向することとイコールだということなのだ。氏は「障碍者は一般人の一歩先を行く先輩である」という言葉とともにその必要性を強調された。なるほどと思える視点である。

 また、二宮氏は街づくりに関して「ワンストップ & オールインワン」という言葉も紹介してくれた。これは一カ所で全ての要件を終えることができると直訳できるが、ヨーロッパではスタジアムやアリーナにさまざまな機能を併設することが新たな動きとしてあるということだ。例えばスイスのバーゼルではサッカースタジアムに老人ホームが併設されたものが建設されているという。
 それぞれが独立した施設として建設するのではなく、市民が必要な施設を併設することがコスト削減につながるし、利便性も増すということのようだ。
 「イノベーション」とは、技術革新のように使われるが、実は「新結合」のことだと二宮氏は言う。つまりこれまで考えられなかったもの同士を結びつけることによって新しい価値を生み出すことだという。

 最初の東京オリンピックも、札幌冬季オリンピックも大成功だった。しかし、その成功体験は現在には通用しない。新たな発想が必要である。「過去の成功体験は、未来の失敗要因である」として二宮氏は話を締めくくった。

                   

 今回のフォーラムに参加して良かったことの一つがトワ・エ・モアのミニライブだった。
 トワ・エ・モアの二人は私と同年代の歌謡ポップデュオであるが、彼らの爽やかな歌声とハーモニーは、あの名曲「虹と雪のバラード」によって札幌冬季オリンピック成功に大きく貢献したものだった。
 その彼らは年齢を経てもまったく衰えない声量で、私たちを魅了してくれた。彼らが披露してくれた曲は、◇「ある日突然」◇「空よ」◇「イランカラプテ」◇「道化師のソネット」そしてあの◇「虹と雪のバラード」の5曲だった。
 「イランカラプテ」こそ、2020年開設の「国立アイヌ民族博物館」のPR曲として最近出した曲ということだったが、他の4曲はいずれも懐かしく当時をしのばせる曲ばかりでひと時あの時代に帰ることができた時間だった。