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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

「わだば、ゴッホになる」棟方志功展

2018-02-17 19:48:07 | イベント
 「わだば、ゴッホになる」といって故郷・青森から上京した棟方志功は、洋画から版画家に転身し、「世界のムナカタ」として名声を博した。道立近代美術館で開催されている「棟方志功展」に足を運んだ。

               
               ※ 棟方志功の代表的な顔写真である。この写真も含めて、すべてウェブ上の写真を使用させていただいた。

 2月16日(金)午前、「棟方志功展」を覗いてみた。
 混雑を避け、平日の開館直後(9時30分)に近代美術館に向かった。けっこうな人が観覧に訪れていたが、目論見どおりゆっくりと観覧することができた。

               

 棟方志功というと、版木に極端に顔を近づけて、渾身の思いで彫り続ける壮絶な姿が印象的な方である。それは棟方の目が極度の近視だという理由もあったのだが…。
 会場に入ると当たり前のことだが、棟方ワールドがいっぱいに広がっていた。
 棟方の板画(版画ではない。棟方は自身の作品を「板画」と称したそうだ)で特徴的なのは、その作品のほとんどが仏像と女体の裸像であることだ。
 特に仏様のような女性の顔、自由奔放な姿態の裸像が目を惹く。

               

               

               

 もちろんそれ以外にも目を惹く素晴らしい作品がたくさん陳列されていた。
 例えば、佐藤一英作の詩「大和し美し」(やまとしうるわし)を読み、その心象画とともに全文を彫り込んだ作品には圧倒された。
 その凄さを私は的確に表現できない。ここに評論家(だと思われる)の松岡正剛という方が、それを見たときの印象を語っているのを拝借することにする。
「棟方志功の『大和し美し』を見たときは腰を抜かした。20枚続きの大作の乾坤一擲。昭和11年(1936)の第11回国画会展に出品された作品。それをのちに棟方志功展で見た。すごかった。打ちのめされた。版画作品だが、版画ではない。絵よりも文字が多い。美術であって美術ではない。文字が多いが、書ではない。はたして作品といえるかどうか、そのことすらをも突破している。嗚咽であり激闘である。」
 さすがの文章である。

        
        ※ 「大和し美し」の全作品です。文字の多さが目を惹く凄い作品である。


 その他には、そのスケール観が凄かった「大世界の柵・乾」と「大世界の柵・坤」の2作である。そのスケールはそれぞれ縦277cm、横1358cmというとんでもない大きさの作品だった。

               
               ※ 「大世界の柵」の2作品であるが、人の姿と比べてそのスケールの大きさを分かっていただけると思います。

 また、棟方の晩年は故郷青森に関する作品が多くなったそうだが、彼の死の一年前に創作された横17mの絵巻「禰舞多運行連々絵巻」は彩色がほどこされ、ねぶたのハネト(跳人)の生き生きとした姿が棟方流で表現されているところが印象的な作品だった。

               
               ※ 「禰舞多運行連々絵巻」の一部です。明るい色遣いにネブタによせる棟方の思いがあらわれているような気がします。

 いずれにしても棟方ワールドが広がる「棟方志功展」は必見である。
 展覧会は3月25日までとまだまだ時間はある。興味を持たれた方はぜひ近代美術館に足を運んでみてはどうだろうか?