ベストカー12月26日号は、徳大寺有恒氏の追悼特集だった。
現在販売されている本なので、内容について深く言及するのは、なるべく、控えたい。
「ダメなものはダメ。イイものはイイ。」と、自らのスタンスで語るのが、氏の評論だ。
かつての自動車雑誌は、スポンサーが自動車メーカーだったりしたので、いわゆる「行燈記事」ばかりだったらしい。
そこに切り込んで、自動車メーカーに対し遠慮せず、自らの見識を語り、ベストセラーとなったのが、1976年に氏が著した「間違いだらけのクルマ選び」だったという。
氏の評論は、まずは、自動車ユーザーを、育てた。
そして、自動車メーカーも、動いた。
現在の国産車が、総じて良くなったのは、氏の存在があったからこそだろう。
「間違いだらけの×××」というフレーズを一般化したのも、氏の功績かもしれない。
また、氏の評論は、ただ単に手厳しいばかりではない。
根底に、クスッと笑えるユーモアと、クルマに対する愛が、ある。
私には、徳大寺有恒氏と、吉田拓郎氏が、どうしても重なって見えるのだ。
当時アンダーグラウンドだったフォークを、表舞台に引き上げた、拓郎氏。
その歌には、反骨精神ばかりではなく、隠し味のユーモアと、出しゃばらない愛が、ある。
欠点を、指摘してばかりじゃ、駄目だ。
愛のない言葉は、人を動かさない。
徳大寺氏と、拓郎氏に、教えられながらも、それを実践できない、自分が歯痒い。