『漫画貧乏』

佐藤秀峰、2012、『漫画貧乏』、PHP研究所
いわゆる『ブラよろ』の無償ダウンロード化で、初めてこの作家の作品を読んだ。本書を読み始めたことがきっかけで、名前が記憶に残り、どこかのウェブニュースで無償ダウンロード化の話題が描かれていて、ダウンロードしてみたのだった。iPadをつかって楽しんで読んでいる。医者の子弟でもない青年が医師を目指し有名大学の医学部を卒業、医師免許をとって研修医として大学附属病院で各医局勤務をつづけて、それぞれの医局で現代医学の諸問題に立ち向かう話しだ。本書を読んでみるとわかるが、作者はまさに『ブラよろ』の主人公そのものなのだ。
漫画家が一人前になるにはどうするればいいのだろう、生活はどのようにして成り立たせるのだろう、原稿料は適正か?、また工房システムをとる作者の場合原稿料では工房は赤字経営となる。原稿料の値上げを出版社と交渉、挫折。今度は、印税のアップを交渉するが、これまた、ほぼ挫折。連載していた雑誌が休刊(廃刊)となり、自分で出版しようとして、コスト計算をしては頭を抱える。100万部を印刷完売すれば大儲けだが、出版経費と出版部数が比例しないので、最初から大部の印刷はできない。本を売るために書店をしてはどうか。
ここから、現代の電子書籍ブームとの波が重なる。無料でウェブページに掲載するだけでは収益を上げることはできないので、課金しなければならない。すると開発費を必要とする。今度は出版社との交渉と同様の開発会社との交渉が始まる。こうした格闘の結果立ち上がってきたのが「漫画 on Web」(以下のリンク)だった。ここでも、問題が起きる。起死回生の一発勝負となったのが『ブラよろ』の無料ダウンロード化だった。この宣伝効果によって、ようやく、サイトはうまく回り始めたかに見える。
本書は、漫画家の漫画を出版したいという意欲と出版業界の交渉過程なのだが、同時に著作権法のからくりも見て取ることができる。著作権法は必ずしも著作者の著作権を保護するためのものではないことがよくわかってくる。様々な伏線が読み取れて面白く読めた。
漫画 on Web: http://mangaonweb.com/welcome.do
いわゆる『ブラよろ』の無償ダウンロード化で、初めてこの作家の作品を読んだ。本書を読み始めたことがきっかけで、名前が記憶に残り、どこかのウェブニュースで無償ダウンロード化の話題が描かれていて、ダウンロードしてみたのだった。iPadをつかって楽しんで読んでいる。医者の子弟でもない青年が医師を目指し有名大学の医学部を卒業、医師免許をとって研修医として大学附属病院で各医局勤務をつづけて、それぞれの医局で現代医学の諸問題に立ち向かう話しだ。本書を読んでみるとわかるが、作者はまさに『ブラよろ』の主人公そのものなのだ。
漫画家が一人前になるにはどうするればいいのだろう、生活はどのようにして成り立たせるのだろう、原稿料は適正か?、また工房システムをとる作者の場合原稿料では工房は赤字経営となる。原稿料の値上げを出版社と交渉、挫折。今度は、印税のアップを交渉するが、これまた、ほぼ挫折。連載していた雑誌が休刊(廃刊)となり、自分で出版しようとして、コスト計算をしては頭を抱える。100万部を印刷完売すれば大儲けだが、出版経費と出版部数が比例しないので、最初から大部の印刷はできない。本を売るために書店をしてはどうか。
ここから、現代の電子書籍ブームとの波が重なる。無料でウェブページに掲載するだけでは収益を上げることはできないので、課金しなければならない。すると開発費を必要とする。今度は出版社との交渉と同様の開発会社との交渉が始まる。こうした格闘の結果立ち上がってきたのが「漫画 on Web」(以下のリンク)だった。ここでも、問題が起きる。起死回生の一発勝負となったのが『ブラよろ』の無料ダウンロード化だった。この宣伝効果によって、ようやく、サイトはうまく回り始めたかに見える。
本書は、漫画家の漫画を出版したいという意欲と出版業界の交渉過程なのだが、同時に著作権法のからくりも見て取ることができる。著作権法は必ずしも著作者の著作権を保護するためのものではないことがよくわかってくる。様々な伏線が読み取れて面白く読めた。
漫画 on Web: http://mangaonweb.com/welcome.do
![]() | 漫画貧乏 |
佐藤秀峰 | |
PHP研究所 |

