映画「Tar/ター」
ケイト・ブランシェット主演の音楽映画。レスビアンのパパのリディア・ターの物語。彼女はクラシック音楽界のスター、ベルリン・フィルの首席、「女性」初の才能ある識者、自信を持ちすべてを支配していこうとする。しかし、次第に様々な落とし穴にハマっていく。パワハラ、セクハラ、妬み、嫉妬、家庭内のいざこざ。彼女は次第に職をうしない、東アジア(漢字が見えたので東アジアの何処か)で、ようやく職を得るがそれは・・・。
ちょっとまってほしい。ケイト・ブランシェットはとてもいい。音楽に関するスクリプトもいい。しかし、ストーリーとして、エスタブリッシュしていたベルリンから落差のある東アジアに落ちぶれていくさまを描くというのは、これはどうなんだろう?
クラシック音楽はヨーロッパの文化的伝統ではあろう。それ以外の世界、この映画の冒頭では、主人公は4年間南アメリカに居住して、現地の伝統音楽を学んだと語られる。冒頭では、その歌唱が流れている。それを踏まえて、ヨーロッパの文化伝統であるクラシック音楽の頂点に立った。それにもかかわらず、本人の配慮の無さもあっただろう、しかし、映画の結末として、東アジアに持ってくるのはわからない。
映画「ミッション」ではないが(これは、これで、ヨーロッパクラシック音楽へのノワールではあったが)、たとえば、南米に救いを見出すといった設定ではなかったのだろうか。
興味深く見た映画ではあったものの、なんとなく、展開が腑に落ちない感じなのだが、どうだろう。