東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

古い三菱製トランジスタラジオ(カーラジオ) AR-232 HXの修理(1/5)

2013年12月04日 | 古ラジオ修理工房

この三菱製カーラジオAR-232 HXの修理履歴です。それぞれをクリックしてください。

  修理(1/5) 修理(2/5)  修理(3/5) 修理(4/5)
  修理(5/5)



  古い東芝製カーラジオの修理に見通しが立ったため、今度は三菱製のカーラジオの修理に入りました。同じ乗用車である日野コンテッサに取り付けるカーラジオです。最初、東芝製とほとんど同じ構造のカーラジオかと思っていたら少し違いました。μ同調プリセットのメカニックも少し違いました。会社が違えば中身も少し違うようです。

       東芝製と同様に、日野コンテッサに搭載されていた三菱製カーラジオ


 当時の日野自動車が、同じ仕様で各カーラジオメーカーに注文したのではないかと思います。両方の中身を見ることによって、当時の東芝と三菱の違いがよく分かります。私的には、メカニックも電子回路も東芝製の方がやや良いように思われました。
 まずプリセット機構ですが、メカニックの薄さでは三菱製の方が優れています。しかし、一番の違いは、受信周波数を示す指針の動きです。東芝製はプリセットしたボタンを押すと、セットした受信周波数にただちに針が移動して指示します。しかし、三菱製は移動しません。つまり、三菱製はボタンをラジオ放送局に合わせるプリセット操作をしている時、そしてチューニングボタンを回している時だけしかラジオ放送周波数が分かりません。単に三菱製プリセット機構が一部故障しているのかも知れませんが。

    左側〇:スピーカーBOX用端子,右下〇:アンテナ端子,右上〇:電源端子


  私的には東芝製の方が性能が良いように思いますが、東芝製は高価で三菱製は安価だったのかも知れません。そのため、大衆向けには三菱製を、高級向けには東芝製を採用しているのではないかと思われます。
 安価かどうかは、スピーカーに繋がる端子や電子回路を見るとある程度分かります。三菱製カーラジオの端子はスピーカーBOXの出力トランスに繋がっています。つまり、音質が良いと言われるOTLではありません。そして、電子回路的にA級増幅を採用しています。この方式は、トランジスタなどの部品点数を減らすことができるため、安く製造できるメリットがあります。しかし、A級増幅は音を小さくしても大きくしても常時同じ電流を流すため、電気をとても食います。バッテリーに多少負担がかかっているのではないかと思います。ちなみに、今主流のB級増幅は、音を小さくすると電流がとても少なくなります。

プリセットメカのチューニング機構          スピーカーBOXに接続する端子
 

 A級増幅は今ではデメリットの方が多く、子供用か学習用のような廉価なラジオ以外は採用されなくなりました。真空管ラジオでは、真空管の構造上A級増幅が普通でした。確か世界で初めてのトランジスタラジオもA級増幅だったように思います。しかし、家庭用の普通のトランジスタラジオではB級増幅の方が普通で、A級増幅はまずありえません。逆に言えば、この三菱製カーラジオはA級増幅を採用している稀で貴重なトランジスタラジオかも知れません。
 ところで、自動車メーカーには系列の自動車部品製造メーカーがあります。私は以前日立に勤めていましたが、日立は日産系列でしたのでトヨタなどとは取り引きがなかったようでした。30年位前は確か、那珂工場で自動車用部品を製造していました。カーラジオを作っているクラリオンは日立グループのようですが、那珂工場と何か関わりがあったのでしょうか。

                 三菱製カーラジオの選局部メカニック、静かで滑らかな動きに脱帽


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