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桜と絵本と豆乳と

「大人計画」は魅力あふれるネタである

2007年01月14日 | 読書
 行きつけの書店で『12歳の大人計画』(文藝春秋)という本が目にとまった。
 NHKの「課外授業 ようこそ先輩」の記録である。
 先生役は松尾スズキ。知る人ぞ知る「大人計画」のリーダーである。
 テーマは「大人」とある。「大人計画」の松尾が「大人」を小学生相手に教える。おもしろくないわけがないと早速購入した。

 演劇的手法?を入れながらの二日間、計8時間+アルファの授業はある意味淡々と進んだように感じた。
 そして最後まで読むと、このテーマ全体の流れはなかなかだ、使えるぞという考えに到った。
 何より、「別に大人になんかなりたくない」という今どきの子どもたちが「こういう大人になりたい」という積極的意志を示して終わっている(そういう形になっている)ことが素晴らしい。
 この授業の流れは大まかにこうまとめることができる。

 ○「大人」ってなんだろうと考える
 ○身近にいる大人の「大人」「子ども」の部分を考える
 ○身近な大人へインタビューする(宿題)
 ○自分が考えたこととインタビューをもとに、作文を書く
 ○大人のイメージを短い言葉でまとめる
 ○取り上げた昔の歌謡曲をグループごとに歌う
 ○まとめ

 
 教材の役割を果たしているものに「大人アンケート」と歌謡曲「銀座の恋の物語」がある。この内容も興味深い。
 子どもたちのやりとり、つまり子どもの発言に対する松尾氏の対応は、また演劇人独特の感性があるし、難しいと感じながらも子どもたちもぐいぐいと惹かれていったのではないかと想像できる。「大人図」「大人選手権」という食いつきのよさそうなネーミングや独特の図示も魅力があった。

 しかし、何より自分なりの最初の考えを持ち、実際にインタビューし、そこでの確かめや違いを作文にまとめさせたことが、この授業の核になっているように思う。
 この計画をもとに実際に授業化を図るとすれば「生き方教育」「キャリア教育」という枠組みになるだろう。もちろんその場合時間数の吟味や個別配慮が必要であろうが、高学年対象にじっくりと向き合ってみたいネタだなあと、改めて思う。

 「大人計画」は実に魅力にあふれている。