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整理は質的な変化を求める

2009年11月11日 | 読書
 『思考の整理学』(ちくま文庫)が書店で平積みされていたのは、夏頃だったと思う。

 へえーっ80年代に発刊されたこの文庫が今何のブームなのか、と思ったら、学生の間で売れているとのこと。個人的にも外山氏のエッセイなどは好きな方なので、もう一度書棚から取り出して再読することにした。

 改めて読むと、なるほど学生の論文作成にはヒントになることが多いと感じる。
 題名となっている「思考の整理」に関して、ダイレクトに記しているところが結構あってインパクトがある。

 思考の整理とは、いかにうまく忘れるかである。P127
 思考の整理の究極は、表題ということになる。P145

 こう書いてみると、情報をいかにまとめ収斂させていくかということが中心のように見える。もちろんそれが「整理」の本質でもある。ただ、思考を量的処理し精選を図ると同義ではないということは忘れてはいけない。

 質的な変化

 これを求めるために整理が行われる。
 つまり

 思考の整理というのは、低次の思考を、抽象のハシゴを登って、メタ化していくことにほかならない。P77
 
 そのためには、線的、平面的な情報に縛られないことが大事であろう。多面的、回転的?な情報が入ってくるような構えが必要だ。
 さらに、書く・読むといった脳作用を伴う反芻の仕方。触媒を求める体験、待つ時間などの重要性もこの本では説かれている。

 意識的であるなしに関わらず、自分なりの収集、整理の仕方がある。思考の質的な変化がはたして可能なのか、学生に戻った気分でちょっと見定めたい気がしている。