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哲学は、逆境を救う、か

2010年01月31日 | 読書
 『稲盛和夫の哲学』(PHP文庫)を再読する。

 週刊誌などでは例のJALのことで様々な話題が取り沙汰されるが、経営の第一線を退いたとはいえ、やはりその影響力の強さは甚大なのだろう。

 著者は、老師より「あなたは、得度して実社会で社会のために貢献していくことが仏の道でありましょう」という言葉をいただいたと、この書の終わりに書かれている。
 それを、どんな形で具現化できるか、今回のことは多少なりとも関心を持って見守りたい。

 さて、JALの顛末のことが書かれた記事をみるにつけ、これはこの書に書かれてある「運命と因果応報の法則」に当てはまるような気がする。
 もちろん経営破綻の明確な原因はあるはずだが、突き詰めていけば人の心の向きが決定的であるように思う。

 自分たちの仕事の意義を忘れず邁進することより、栄達を求めたり人間関係の軋轢に苦悩したりした数多くの有為な人材…ある新聞には、その罪の重さを強調していた。
 社会の中で栄華を誇った企業が、内部崩壊を起こしていることを知っていても手を出せなかった構造的な問題とは…まるでドラマを見ているようだが、現実にまだまだ存在することを露呈した。

 この逆境をどんな手立てを持って救うというのか。凡人には想像もつかない。
 某政党幹事長の剛腕もちらつきながら、経営という本質を見せてくれるのだろうか。

 こういう文章がある。

 大事なことは、最初の段階で理性で考え、実際の対応において情をつけることだと思います。 

 なるほど。頭ではわかっているようで実際に組織を動かす場合に自分ならどうなのだろうと、反省させられる言葉だ。
 そのギャップを毅然として使い分けられるのか、ということだ。

 JAL問題よりも、目前のことをしっかりやれよ、と言われている気がする。