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そんな自分とパラレルで

2010年01月18日 | 雑記帳
 BS2で『MASTER TAPE ~荒井由実「ひこうき雲」の秘密を探る~』という番組をやっていた。
 音楽モノを久々に興味深く視聴した。

 音楽の技術にどうのこうのは言えないが、当時あれほど聴き込んだアルバムがどんなふうに作られ、どんな思いを抱かれたものか、曲に懐かしさを覚えながら、「職人」のような方々の会話を聞いた。

 一年という長い期間をかけて出来上がったデビューアルバム「ひこうき雲」で、一番多く時間を割かれたのはボーカルであり、納得の声に届くまで徹底的に追求したというプロデューサーの信念が強く印象に残る。
 売れる売れないは結果論だろうが、当時のミュージィックシーンは、こうした人たちの熱によって盛り上がっていたことは間違いない。

 出演者のリクエストに応えて、テイク別の録音をかけるという場面が多かった。
 特に「きっと言える」のガットギターとボーカルだけがすごく素敵で、思わず聴き入ってしまった。今、こんなアレンジで発売されたら絶対買うだろうと思わせられた。

 憧れのミュージシャンたちもそれなりに齢を重ねて、今それぞれの音楽を作り上げているのだと思う。「ひこうき雲」を作った当時の自分をどんな感じでとらえているのか、ちょっと思いを馳せた。
 ユーミンが番組の最後に「他人事のよう」「別人格」と言いながら、「いつも横にいる」「パラレルで」と言っていたことに、何か重みを感ずる。

 自分にもそういう時期があるのかもしれない、と、ふと思う。
 しかし「ひこうき雲」を聴いて心に浮かぶのは、6畳の狭いアパート、季節は冬。布団にくるまりながら、ぼんやりと天井を見ている時間だったりするので、その時期のそんな自分とパラレルだったら、それはそれで少し悲しい。