すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

連休手当たり次第に読む

2011年05月05日 | 読書
 連休初日、家族の買い物につき合って出かける。ショッピングモールに降ろし、急いで中古書店へ。
 与えられた時間は40分弱。そこそこ見る時間はあるかなと思いつつ、105円コーナーを順に見ていくとあっという間に時は過ぎる。
 こうなれば…とぱっと目に入ったものを10冊ほど、そういいながらカゴの中は、16冊にもなってしまった。


 『沖で待つ』(絲山秋子 文藝春秋)

 芥川賞作品。これって前に読んでいる?という思いで読んだが結構面白かった。表題作より「勤労感謝の日」と名づけられた小品が作者の本性むき出しの感じが出ていて、笑えながら心迫る。

 調べたら、一昨年文庫化されたときに読んでいると判明。印象に残らなかったのかなあ。急ぐ本選びはとかくこんな調子だ。
 それにしてもこの題名は、詩的だ。


 『いい齢 旅立ち』(阿川佐和子 講談社)

 著者の文章のうまさを讃えている記事があったので、一度は読んでみたかった。
 ずいぶんと前からのエッセイを収録したものだが、確かにうまい。いずれもごく短い量の文章とはいえ、読ませるコツを知っているというか、小気味いいというか。

 緻密に計算されている印象はないので、やはり天性のものかと考える。
 書いている素材もありふれているが、視点を少しずらしてる、その「ちょっと感」が惹きつけるのかもしれない。


 『木を植えた人』(ジャン・ジオノ 原みち子訳 こぐま社)

 この題名には見覚えがあった。
 どこかで書評を見たのだろうか。奥付をみると、89年発刊、そして93年に第21刷発行とある。ずいぶんと売れた本らしい。
 心に染み入る短編である。淡々と書かれた内容には、人が生きることの意味を問うフレーズがところどころに散りばめられている。

 倦まずたゆまず与えつづける美しい行為

 木を植える行為とは、今私たちが直面している科学技術の問題と大きく重なることにも気づかされる。