すぷりんぐぶろぐ

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惜しみなく力を出させること

2011年05月21日 | 読書
 先日紹介した、道徳の副読本にも載っている上大岡トメの本をまた見つけてしまった。

 『しろのあお』と題されているが、副題が興味をそそる。

 小学生に学ぶ31コのこと

 まあ、目次をぺらっとみれば、「キッパリ」線上の小学生主人公版と言えることはわかるのだが、なかなか面白そうではないか。
 
 誰しも小学生だったことを思えば、中味は「あるある」の連続だが、どうしても途中から教師モードに入っている自分がいて、結局端を折り込んだページの「学んだこと」は、次の三つ。

 耳の穴を開いてもらうために、相手が興味を持つ話題を探そう

 時には、ボイスチェンジも効果的

 毎日、惜しみなく力を出しきろう


 と、ごく平凡な感じのものになってしまった。
 
 しかし、先の二つはともかく、三つ目は少し考えさせられるところがある。
 この本にはこう書かれている。

 小学生たちを見ていて、いちばん自分と違うと強く感じるのは、「惜しみなく、毎日全部のエネルギーを使い切っている」ということです。

 大人との比較であればそうとも言えるだろうが、最近の小学生の多くが本当にそういう過ごし方をしているかと言えば、大きな疑問符が浮かぶ。
 主人公のモデルは著者の息子らしいので、そういう姿が見られるのであれば、それはそれで伸び伸びとした家庭環境があればこそという気がする。

 去年のPTAの場だったか、保護者に向けて話したことの一つに、「お願いをぎりぎり一つに絞り込めば、学校で教室で全力を出せるように毎日送り出して欲しい」ということがあった。そのための心身の管理として…とつなげたのだが、実はこれは私たちにはね返って来る大きな課題でもある。

 つまり、そうやって登校してくる子に対して「全力を出し切らせる活動をさせているか」ということである。様々な環境に育ち、多様な条件をもっている子どもたちを相手にどのような活動をどれだけ組んでいくか…
 「全力を出させること」自体に、年々制限が加えられていくような学校を取り巻く現状がある。その点についても凝視していかねばならない。