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子どものことはどうでもいい国

2012年10月08日 | 雑記帳
 昨日の午後,武田邦彦氏の講演を聴いた。

 案内やチラシには現在出演しているテレビ番組のことが書かれていた。しかしふだん見ていない番組なので,そういえばそうだったという感じである。

 それより私が注目したのは,岩井俊二監督の震災のドキュメンタリー映画だ。原発に関して,いわゆる「転向」と周りから批判され,自らも主旨は違うが「転向」を認めて発言していることに興味が惹かれた。

 町の生涯学習の一環で「家庭で行う正しいエコ生活とは」と題された講演だったが,予想通りに話は原発問題から始まった。

 「今日は女性が多いからいいですが,男性しかも50代以上は頭が固いから,私の話を聴くと怒り出すかもしれない
と前置きした内容は,さすがに刺激的だった。

 地球温暖化の話,石油埋蔵量の話,諸外国との関係…今まで耳にしたことのない切り口で話が進む…さすがにマスコミ露出も多い方なので弁はたつし,笑いも誘う。しかしこりゃあ,批判は多いだろうな,と素直に感じた。

 帰宅してネットで検索してみると,自身の広報,論評活動も積極的であるが,いやいや他からの批判攻撃もかなり目立つ。
 科学的な論証が必要なこと,歴史的に決着のついていない問題など素人には判断がつかない。どれを信じていいか正直にはわからない。

 ただ真偽はともかく,武田氏が述べたことの論理は筋道が通っていたと思う。
 私が抱いている関心にフィットした一言は,実は本当に重い現実だし,それはやはり認めなければならないのではないか。
 武田氏は,こう語った。

 この国の大人の基本認識は「子どものことはどうでもいい」である

 子どもに勉強せよと言うけれど,学校を出たあとに職を準備できないような社会を作っている我々は,やはりどこかで道を間違えている。

 愛知の玉置校長先生が,自校のホームページに研究大会で聴いた山中伸弥教授の講演をまとめていらしたが,かの研究所で働く9割が正規採用でない実態があるそうだ。
 http://swa.komaki-aic.ed.jp/weblog/index.php?id=komaki_j&type=1&column_id=85295&category_id=1196

 多くの網が絡まっている状態で抜け出せなくなっているイメージが浮かぶ。鷲掴みにして振るってみようという人もいるだろう。どこかの水面に浮かべることも方法の一つか。
 現状への様々なアプローチはあるにせよ,先ずは根気よく身の周りの網をほぐすこと。武田氏の話もその一つのヒントだと思う。