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「いつも通りに」と言えないマスクマン

2013年01月16日 | 教育ノート
 家庭の事情があったり、急な通院があったりで、職員数が足りなくなり、午前中の丸々4時間を2年生の補充をすることになった。
 4年ほど前にいた山間部の小さな学校では、何度かあったような気もするが、前任校では記憶にない。この学校でも担任外の教諭が複数いるので、今まで単発で入ることはあったが、貼り付けのような形で入るのは初めてのことだ。
 この先もあまりないと思うので、記念に?メモしておこう。

 基本は学級担任の予定した通りで行う・
 1時間目算数「大きな数」の導入、教科書を使って進めてくれとのことである。
 2時間目国語「漢字テスト」。全校で実施しているもの、全員できたら読書という指示だ。
 3時間目生活「雪遊び」か「かるた」。
 4時間目国語「だれかしら」という教科書に載っている詩の導入、二時間扱い中の一時間目をしてくれという。

 補充に入ることを昨日の午後3時過ぎに聴いた。しかも、体調が今一つである。それでも、「大きな数」だけはモノが必要だなと思い、1円玉を模したプリントを印刷し、何枚か作成しながら構想を練る。

 で、本日。体調は最悪である。
 マスクは離せない。声もかなりがらがらしてきた。
 うがい薬とサプリで気合いを入れて臨む。
 
 この学級はわずか15人と、校内でも極端に児童数が少ないので、その面ではまあまあ扱いやすいが、発達段階から考えると、担任外が来たらまあずいぶんとうるさくなるだろうと予想した。
 案の定、そんな雰囲気が見えたので、
「先生は今、声が出にくいので、何度も同じことは言いません」
とマスク越しに、静かに語ってみせるところからスタートした。

 算数。
 昨日作っておいた1円玉がたくさん並んでいるシートを見せ、いくらぐらいあるか予想させる。
 3人グループにして、「何個あるか、どんなふうにしたらわかりやすく見えるか」を課題に、作業させる。5つのグループのうち100のまとまりに目を付けたのはわずか1グループだけだった。
 それぞれのグループのやり方を取り上げながら、100のまとまりをつくることを確かめる。
 教科書を使って、100のまとまり、そして1000のまとまりについて指や鉛筆で作業させながら、理解させる。

 漢字テスト。
 全員終わって、残った時間が15分。辞典に興味を持ち始めた子が出てきたというので、「辞典クイズ」をしてみる。
「辞典には何が載っているの?」
「黒板に『意味』を書くので、なんという言葉の意味かあててごらん。」
 ノートに「①あ」「②い」…というように、頭文字だけはヒントとして掲げた。
 単純だが、答え合わせは結構盛り上がった。

 生活。
 雪も細かく降っているし、私自身の体調もすぐれないので、「カルタ」にすることに…。しかし子どもたちは少し不満をくすぶらせている。
 どうしたら、カルタだけで一時間持たせられるか。
 用意されていたのは、カルタが5つ。しかも全部種類の違うものだ。
 そこでひらめく。
 算数で作った5グループをもう一度つくり、一人は読み手、残った二人で対戦する形とする。一回は5分間。もちろんたくさん札を取った子が勝ち。その子は黒板に来て自分の名前を書く。
 この形を繰り返していくわけだが、カルタをそのままに、場所だけ移動して2回戦、3回戦を行うこととする。つまり、三度とも違う種類のカルタを行うという設定である。
 これは目先が変わり、飽きを見せる子もいなかった。
 最後はグループ対抗。リレー方式にしたら盛り上がったのはいうまでもない。

 国語。
「だれかしら」は与田準一の作品だ。視写から始める。
 改行、マス明け、句読点…正確に視写することは、これほどまでに難しいのかよくわかる。
 半分(10行程度)書けた段階でチェックしてみると、正確なのは2名。すばやく直させて後半。ここで一発合格できたのも半数ほどである。
 最後は、暗唱までのステップ練習である。声があまり出せないので、指示棒代わりの鉛筆でリードしていく。
 散漫な子を繰り返しによって集中させることに力を注ぐ。
 最後は暗唱できるようになったが、自己採点は70点ほどか。

 マスクをしての半日授業は、ちょっとつらい。

 担任が「いつも通りに」と指示を出せることの偉大さ!を改めて感じる。