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天才の「すがた」に親しむ

2013年01月03日 | 読書
 『人間の建設』(小林秀雄・岡潔 新潮文庫)

 対談だから少しは理解できるのではないかと思ったが,全然歯が立たなかった。
 理解できたのは1割程度かもしれない。

 二人の「歴史的天才」の対談は,「有り体にいえば雑談である」と書かれてあるが,そのレベルについていける人は,この国で何パーセントいることか。
 この文庫本の解説は,かの茂木健一郎であるが,彼はそのなかの一人であるようで,なかなか面白い解説を書いている。
 そしてこの表現は,実に妬ましくなる。

 時おり声に出して読んでみる。実にすがすがしい気分になる。

 こういう境地に到るには,相当の知識,教養が必要なんだろうなと正直に思う。
 ただ,少ないけれど頭に残り心に入ってくる文章から私にだって想像できることはある。

 この二人は,かなりの「大物」だ。

 何を今さらと言うなかれ。
 ここでいう「大物」には,自分なりの定義がある。
 世界や存在を大きく見ているということだ。つまり,考えの幅がとてつもなく広い。

 人類の進化といった話題に限らず,「情緒」のこと,「一」のこと,「時間」のこと…想像が追いついていかないのは恥ずかしい限りだが,どこまでも広がる会話に開放感を感ずることはできた。


 一つ,とてもわかりやすく,心にすとんと落ちたことをメモしておこう。

 最後に「素読教育」に触れた小林秀雄の言葉だ。
 古典の暗誦の教育性を見事に表しているだけでなく,他の事象についても深く本質をついている。

 「すがた」には親しませるということが出来るだけで,「すがた」を理解させることはできない。とすれば,「すがた」教育の方法は,素読的方法以外には理論上ないはずなのです。

 折にふれてこの本も声に出して読んでみようと思う。