「2014読了」4冊目 ★★★
『ぽてんしゃる。』(糸井重里 東京糸井重里事務所)
2007年から一冊ずつ発刊されている「小さいことば」シリーズ。昨年の分である。
夏には手に入れていたのだが、ベッドの横に置いたままにしてあり、たまにぺらっとめくってみるだけだった。
年が改まり、じっくりと手にとってみた。
2013年版には当然その前年に書いたことが多く、糸井にとっておそらくかなり重要な「吉本隆明」について、何ページかが割かれている。
二人のつながりについてはファンであれば、誰しも知っているわけだが、その深さを量るのはなかなか難しい。
しかし糸井が書いたこの文章に驚くとともに、ある肌触りや息遣いが伝わってくるなあと思ったのだった。
ぼくは、何年も前から
吉本さんがこの世から亡くなることを惜しまないようにしようと、
じぶんを慣らしていました。
たぶん、見つめつづけ、寄り添いつづけ、求めつづけてきた者の独白だ。
そして、この子どものような、おとなのような表現の仕方いやあり様といったらいいか、そんなところは、ほとんど詩集なのだと思う。
メッセージは、対象の存在するありかを強く示していて、また吉本隆明を読んでみようと感じさせる。
「戦争」のことも「原発」のことも、どこでつながっているか、新しい読みとりになるような気もする。
さて、このシリーズは、とことん自分の理性や感情に向きあって、観念的にならず具体的であろうとしながら、世の中に放り出されている言葉を布でごしごし磨いていくような、そんな私の大好きな糸井の姿が見えるような構成になっている。
今回の一冊では、かなり個人的な好みで、面白いなと思ったのはこの一行。
汚れちまった悲しみにとは言わないよ。おとうさんだから。
どんなふうに解釈すればいいのか、ちょっと迷っている。おとうさんだから。
『ぽてんしゃる。』(糸井重里 東京糸井重里事務所)
2007年から一冊ずつ発刊されている「小さいことば」シリーズ。昨年の分である。
夏には手に入れていたのだが、ベッドの横に置いたままにしてあり、たまにぺらっとめくってみるだけだった。
年が改まり、じっくりと手にとってみた。
2013年版には当然その前年に書いたことが多く、糸井にとっておそらくかなり重要な「吉本隆明」について、何ページかが割かれている。
二人のつながりについてはファンであれば、誰しも知っているわけだが、その深さを量るのはなかなか難しい。
しかし糸井が書いたこの文章に驚くとともに、ある肌触りや息遣いが伝わってくるなあと思ったのだった。
ぼくは、何年も前から
吉本さんがこの世から亡くなることを惜しまないようにしようと、
じぶんを慣らしていました。
たぶん、見つめつづけ、寄り添いつづけ、求めつづけてきた者の独白だ。
そして、この子どものような、おとなのような表現の仕方いやあり様といったらいいか、そんなところは、ほとんど詩集なのだと思う。
メッセージは、対象の存在するありかを強く示していて、また吉本隆明を読んでみようと感じさせる。
「戦争」のことも「原発」のことも、どこでつながっているか、新しい読みとりになるような気もする。
さて、このシリーズは、とことん自分の理性や感情に向きあって、観念的にならず具体的であろうとしながら、世の中に放り出されている言葉を布でごしごし磨いていくような、そんな私の大好きな糸井の姿が見えるような構成になっている。
今回の一冊では、かなり個人的な好みで、面白いなと思ったのはこの一行。
汚れちまった悲しみにとは言わないよ。おとうさんだから。
どんなふうに解釈すればいいのか、ちょっと迷っている。おとうさんだから。