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「白鵬」連れて国技館②

2016年09月14日 | 読書
『白鵬のメンタル』(内藤堅志  講談社+α新書)


 力士が自分の型や武器を発揮するためには、しっかり考えなければいけないという当たり前のことを言っているに過ぎない。ただ白鵬に限らず「成功者」たちはそのための努力、工夫を怠っていない。そのための言語化は有効であると改めて感じた。今回の休場は地方巡業の参加強行も一つの理由だが、それも決断だ。


 それだけの努力を重ねてきた白鵬であっても迷いはある。この新書の一節「白鵬は、相撲においても『後の先』(受けて立つこと)を重視しています」は、そうであってほしいが、ここ1年ぐらいは素人が見てもそう思えない取組もあり、苦渋は続いている。横綱は、重圧が益々高くなるのが「宿命」。覚悟は相当なものだ。


 テレビの前の日本人横綱を期待する多くの目。国技館で観戦者たちはその典型である。従って初日の「あの敗戦」の(そしておそらく昨日の敗戦も)落胆する空気は独特だった。その理由はもはや「流れ」をつくりだせないことにあるのは明らかである。しかしこれほどの応援をうけ、これほど裏切られるのも珍しい。


 さて、国技館初体験の感想。滞在3時間半ぐらいであり、館内を巡る余裕はなかった。ただ目立ったのは外国人の多さである。観光としては当然ありだが、どんな感覚で見ているのだろうか。格闘技としての面白さというより、伝統ある様式美のような目で見るのかもしれない。そう考えると、見る側の嗜みも大事だ。



 観客のかけ声で一番客席が湧いたのは、本県出身の豪風に対する一声。「タケカゼーーーーー」という語尾の長さに拍手があった。また家族連れが嘉風に対して小さな横断幕を作り、懸命にかけ声を送っていた。その期待を受けて嘉風は金星。嘉風以上にその一家に対する観客の拍手が大きく、ライブの良さを満喫した。