すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

二回目からクスリ(二階から目薬)

2017年11月08日 | 読書

(UGO 2017.11.6③)

 先日読了した『ことわざおじさん』(山口タオ ポプラ社)の面白さをもう少し書いてみたい。

 「ことわざパロデイ」がいくつかの解釈パターンができることに気づいた。

例1
原 作「犬も歩けば棒にあたる」
parody「犬も一日中歩けば、ぼーっとする

 原作は、積極的に動いたり外に出たりすれば幸運(もしくは災難)に出逢うという意。パロは、積極的に動き続ければかなり疲れるということ。
 いわば対蹠的(物事が正反対)な関係と言っていいし、また「やりすぎ厳禁」という歯止め効果を狙う句とも言える。

類似句「スズメ百まで踊り忘れず」→「スズメ百まで踊り過ぎではないか


例2
原 作「果報は寝て待て」
parody「あほうは寝てます

 これも例1と似ているが、原作をかなり批判的な目で見ている。
 つまり、いい知らせは自然にやってくるからあせらず待て、と考えているのは「阿呆」。動かない者への批判、嘲笑的な意味合いを感ずる。

類似句「棚からぼた餅」→「激辛ぼち餅


例3
原 作「絵に描いた餅」
parody「絵に描いたモチベーション

 これは類似系というか、現代的な新解釈だ。
 原作は、立派そうに見えるが実際には役に立たないものを指している。
 「餅」を「モチベーション」と言い換えると、実に今風で、若者に(だけではないか)ありがちな状態を示すではないか。
 つまり「長続きしない」。根拠のない自信を持つこともある面で評価できるが、こう言われてはぐさっとくる。

類似句「天災は忘れた頃にやってくる」→「返済は忘れた頃にやってくる



 同系はあまりないが、「柳に風」→「柳に『なぜ?』」が、なかなかシュールでイチ押しである。
 
 原作からの意味とかなりかけ離れるが、答えは風に吹かれているというイメージが心地よい。